どんなコンペに参加すべきか? 参加すべきコンペの報酬や著作権譲渡など条件とは
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作詞作曲法
どんなコンペに参加すべきか?
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
作詞や作曲、その他音楽に関わるお仕事をしていこうと考えている方なら何度も目にし耳にする「コンペ」という言葉。
正式には「コンペティション」ですね、「競争」という意味です。
そして、似たようなもので「コンテスト」や「オーディション」というものも多くあります。
「コンテスト」は「賞を争う」、「オーディション」は「試験」という意味ですね。
コンペもコンテストもオーディションも違う意味なのですが、最近(僕が知る限りではずっと)はほぼ大差ない使われ方をしていると感じます。
今回、専業・副業とも、音楽に関わる形で生活をしていきたいと考える方たちは、どんなコンペ・コンテスト・オーディションに参加すべきなのか?
こんなことを考えていきたいと思います。
(コンペ・コンテスト・オーディションと常に書いてると読みづらいと思うので、多くの場合「コンペ」のみを書いていきます。3つの意味を含めていると思ってくださいね!)
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なぜコンペは開かれるか?
コンペ・コンテスト・オーディション、どれかに参加したことはありますか?
僕も何回か参加したことがあって、これは勝てるなって感じるときにしか参加しないのですが、それでも勝率50%ぐらいです。
曲の良し悪しもありますが、主催者との相性もあるので落選しても凹まないでいいよとよく言われますが、最初のころは結構凹むものです。
そう、コンペ・コンテスト・オーディション、どれにも必ず主催者がいます。
なぜ主催者はコンペを開くのか?
埋もれた才能を掘り起こしたいから
希望のある言い方です。主催者にはこう思っていて欲しい!
ライブハウスで人気も出ず、それでもめげずにシャウトするバンドマン。
路上で誰も足を止めず、めげずに弾き語るシンガーソングライター。
Web上に上げても再生数2桁、DTMer。
良い曲を作っていたとしても、需要と供給が結びつかないとうまくいかないものです。
そこをコンペやコンテストなら掘り起こせる可能性がある。
だから主催する、そんなパターンがありますよね。全部これであって欲しい。
探しに行く手間が省けるから
さっきも言ったように、需要と供給が結びつくまでが大変なんです。
音楽事務所やレコード会社、その他広告代理店とか、みんな才能と出会いたいんですよ。
でも毎日ライブハウスに通ったり路上をさまよったりサンクラを手当たり次第聴いたり。
非常に効率が悪いです。お金と時間がとってもかかります。
そこでコンペ! 「報酬は◯万ですよ〜こんな曲が欲しいですよ〜」と言えばやる気のあるミュージシャンが集まってきます。
その中から見合うミュージシャンを見つければ良い。
ミュージシャン側も闇雲に動くよりはメリットがありますよね。
いろいろ手間が省けるんですね。効率が良い。
交渉する手間が省けるから
また手間です。手間が省けるんですよコンペは。
こんな曲が欲しい! これは誰々に頼もう!
その次に来るのは条件交渉です。
主催者「今回はこんなテイストで〜金額はこのくらいで〜納期は〜」
作家「それじゃ無理だよ、ここはこうしてくれないと」
なんて押し問答があるわけです。面倒ではありますが、お互いにとって大事なことです。
そこがコンペだと省けちゃう。
主催者「今回はこの条件で作ってくれる人の中から選ぶ!」
作家「わ〜チャンス〜」
非常に楽ですね。主催者は待つだけですし、ミュージシャンはチャンスの場でもあります。
そんなにコンペは悪くない
「なぜコンペは開かれるか?」をこうやって考えてみると、実はそんなに悪いものではないことが分かります。
じゃあ若手は手当たり次第参加しよう!
とはなりません。コンペ参加大好き勢だけでなく、コンペ絶対やらない勢がいるんだから、デメリットがあるんですよね。
じゃあどんなことに気をつけるべきなのか?
気にしたいコンペの条件は?
どんなコンペ・コンテスト・オーディションに参加すべきなのか?
これはもう、参加するミュージシャンが考える部分です。主催者は条件提示しますからね。
まず大事なのは、しっかり条件部分を読み込むこと。報酬だけ見て参加すると後で泣きます。
報酬
まず見ちゃう部分です。
コンペなら報酬、コンテストなら賞金、オーディションなら「メジャーデビュー!」みたいな部分ですね。
報酬は結構考えやすい条件部分だと思います。
果たして製作時間と見合ったものなのか? コンビニでバイトした方がいいのではないか??
労力やその他条件との兼ね合いで、良さそうなら参加する。そんな感じですね。
ちなみに僕が受かったコンペの中で一番高かったのは1秒1万円です。
高いと思ったし受かった時は飛び上がったけど、今考えると安かったなってなります。だから条件をしっかり読んで参加しましょうね!
納期
納品日までに主催者の望むクオリティまで上げられるか。
確実に間に合うなって場合だけ参加すれば良いかなと思います。クオリティ高くても好みがあるし、参加する方の多くがそのクオリティですので。
徹夜して参加するぞ〜! とか、学校会社を休んで製作に〜! みたいなのは極力控えた方が良いです。
もちろん条件次第なんだけど、無理した後に落選が重なると心折れます。
納期短いけど得意分野だから余裕〜! ぐらいだと参加者も少なくて勝ちやすそうですよね。
案件の種類
これは「作詞作曲」とか「編曲」なんて書かれている部分ですね。楽曲のどこを担当するかという部分です。
作詞作曲コンペなんかだと、落ちても他のコンペに出すことができますよね。
BGMのコンペだったら、落ちたとしてもオーディオストックで売ってみるなんてことができますし。
難しいのは歌モノの「作曲編曲のみ」。先に歌詞が用意してあってそこに曲を書く場合です。
コンペに落ちた場合、歌詞は使えませんが曲自体は自分のもの。別の歌詞をあてがって使うことができます。
ただこれ、作詞能力がないと使い物にならなかったりしますね。シンセメロ乗せてBGMにしちゃうと嘘くさくなったりします。
意外に流用できないなとなってしまうことがあります。
結構厳しいなと思うのが「編曲」もしくは「編曲ミックス」です。
作詞作曲は担当していないので、落ちたらその曲はもう使えません。流用できないのでゴミ箱行きです。
編曲ミックスって時間めちゃめちゃかかるのに、ボツになると流用できないってかなりの落差です。
流用できる方いるのかな? 僕は難しいと思います。
かなり良い条件の時だけ「編曲」コンペに参加するのが無難だと思います。
著作権譲渡
ここも良く話題になりますね、大事な部分です。
著作権は譲渡するとか、著作権は買取なんて書いてあります。原盤権もそうですね。
今後どんなにこの楽曲で売り上げが出ようと、あなたにはこの報酬のみですよって意味です。
もっと細かくあるのですが、専門家ではないのでググってもらえると嬉しいです。いっぱいわかりやすい記事がありますのでね。
これも、使われ方次第では譲渡しちゃった方がお得だなって場合もあります。
逆に、こんだけ使われるんだったらこの報酬じゃ安いって感じる場合もあります。
バランスです。バランスですが、譲渡する場合は「もう私の曲ではない」ぐらいの吹っ切れが必要だと思います。
著作者人格権を行使しない
備考欄に小さく書いてあったりするこれ、著作者人格権。
著作物には著作権と著作者人格権というものがありまして、先ほども書いたように著作権は譲渡することができます。
著作権は譲渡できますが、著作者人格権は譲渡することはできません。著作権を譲渡しても、その楽曲の著作者人格権は保持したままになります。
今回の記事、ここが一番大事だと僕は思っています。
著作者人格権があると、「クレジットに私の名前入れといてね」とか「勝手に切り張りしたり、今の状態から変えないでよね」と言えます。
結構大事なんですよ、著作者人格権。なのに大体小さく書かれています。
「著作者人格権を行使しない」もしくは「著作者人格権を主張しない」と書かれています。
こう書かれていたら、クレジットに載らなくても、勝手にアレンジやら加工やらされても文句言えないってことです。
僕としては、アレンジやら加工は全然OKなんですがね。
問題はクレジットに載らないこと。
「著作者人格権を行使しない」とある場合、クレジットに載らない、この人が作りましたよと公表してもらえないことが多いです。もちろん著作権も譲渡ですね、ほぼ。
となるとセットで「実績には載せないでください」も書かれている場合が多いです。
クレジットにも載らなければ自分のサイトやプロフィールに実績としても書けない。
これ、単発のバイトみたいなものです。
結構安いコンペだな〜と思っても、実績として残るなら大手だしやるか! ってことはあると思います。
実績があれば仕事も来ますから、安くても実績作りでコンペ参加は大いにアリだと思います。
だからこそ「著作者人格権を行使しない」の文字を見落とさないでいただきたい。
「著作者人格権を行使しない」でも参加するなら、お小遣い稼ぎぐらいの気持ちで参加しましょう。
参加作品は主催者側が自由に使える
これはコンペよりコンテスト系に多くある内容です。規約みたいなところにちょこっと書いてあったりします。
書き方はいろいろあるんですけど「提出された楽曲は当選落選に関わらず、主催者は自由に使えるものとする」的な感じで載ってたりします。
それと合わせて「参加者は提出楽曲を使用できない」的なのも書いてたりします。
これ、著作権は譲渡するし著作者人格権も行使ってことですからね。実質です、そうとは書いてないですが。
当選して賞金をもらったり、メジャーデビューとかなんかのきっかけになるなら考える余地あると思いますが、応募時点でボッシュートは厳しい。
「君の曲は落選、でも宣伝とか番組とかでは使っちゃうからね〜」
ってそれ採用ってことじゃん! ってなります。
主催者は1曲採用するだけのお金で、100曲自由に使えるようになるみたいな仕組みなんです。
これちょっとひどいですよね。でも規約に書いてるからと言われたらそこまでなんです。
しっかり規約を読んでコンテストに参加してくださいね。
プラットフォームの手数料
盲点! 主催者がそのサイトでコンテストなりオーディションなりやっている場合ではなく、複数のコンペを取り扱っているプラットフォーム限定のお話です。
コンペを開く場所を提供しているプラットフォームにお金が入る、それは問題ないですよね。
問題は、主催者が条件として出している報酬の中に、プラットフォームの手数料が含まれていること。
「報酬は10万円!」につられて参加、当選後に振り込まれた額は7万みたいな。
プラットフォーム側の利用規約に小さく「30%の手数料をいただきます」的なのが書いてあったりします。
さらに税額も取るので10万だと思ってたら6万5千円だったみたいなことに。
多く楽曲を集めたいから、一番大きい額を出す場合が多いです。やっぱり商売ですからね。
利用規約に書いてあるので文句言っても仕方がないんです。
なので、しっかり利用規約を読んでプラットフォームを利用しましょう。
組み合わせでしっかり考えよう!
とは言っても、これは組み合わせ次第なんです。
「報酬は手取り10万だけど実績に載せられないから参加するのやめとこう」
もあれば
「報酬なしだけど著作権は保持したまま、実績にも載せられる」
もあります。
なんでもバランスです。
そして、今何が自分に必要なのかを考えて参加するようにしましょう。
とりあえずお金が欲しいのか、実績なのか、印税なのか。
手当たり次第参加するのもアリだと思います。武者修行的に。
最後に
一時期はコンペ絶対参加しないマンだったんですが、最近は参加しても良いかな〜って気持ちになってます。お題みたいな感じもあるますしね。
後で泣かないために、焦って参加するんじゃなく、冷静に勝てるかどうか、条件はどうかを考えて参加しましょう!
GANO
コード進行で悩むことはもう終わりです。
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