Vol.149 価値あるものはのし上がらないと分からない。『Slide feat.Frank Ocean & Migos / Calvin Harris』
公開日:
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最終更新日:2018/07/23
ANALYZE Calvin Harris, Frank Ocean, GANO's ANALYZE, Migos
Slide feat.Frank Ocean & Migos / Calvin Harris
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
絵画の価値ってわかりますか? 何が上手くて何が下手か、僕にはよくわからないのですが。
芸術作品というものは、そのもの自体に決まった価値があるのではなく、受け取る側が価値を見いだすものなのでしょう。
何も知らない赤ちゃんは、金塊よりもガラガラが大事という話もありますよね。
今回紹介するのはこの曲!
Calvin Harris – Slide (Audio Preview) ft. Frank Ocean & Migos
スコットランドのDJ Calvin Harrisの2017年の楽曲です。アルバム「Funk Wav Bounces Vol. 1」に収録されますね。
Calvin HarrisはEDMの人という印象があり、積極的に聴いてはいなかったのですが、このSlideはすごく良い!
というか「Funk Wav Bounces Vol. 1」がかなり良いと感じています。
EDM路線から、ソウル路線にシフトしたのでしょうか?
では、歌詞とコード進行を勉強していきましょう!
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Slideの歌詞について
歌詞の一部を引用して見ていきましょう。
I might
Empty my bank account
And buy that boy with a pipe
Buy that boy with a pipe
I might, I might
「パイプを持つ少年」とはピカソの絵画ですね。今ちょろっと調べてみたんですけど、最高額が130億円!
なんで130億円の絵が欲しいのさって気持ちもそうですが、それよりも口座に130億円入っていることの方が驚き。
お金なんてのはただの紙で、価値はないんだよ。価値あるものを手に入れよう、そんなことを言いたいのかなと思います。
Do you slide on all your nights like this?
Do you try on all your nights like this?
Put some spotlight on the slide
Whatever comes, comes through clear
タイトルにある「Slide」が出て来ました。Do You Slideの部分のSlideは、自分の腰がスライドしているってことですね。前後か、上下か。
こんな風に毎晩楽しみたいかい? と言ってますね。挑発的です。やれるもんならやってみろ、って葉っぱをかけているようですね。
そして2つめの「Slide」、スポットライトの光をスライドさせるって意味ですね。
でかいライトがなくたって、小さなスポットライトがあればいい。
1つ1つを照らしていって、真実を見ていけばいいさと言っているようです。
挑発的なようで、やはりどこか励まされているようにも感じますね。
親の七光りがなくても、でかでかとLEDライトが天井にぶらさがってなくても、のし上がっていける。
そうやってやってきたんだ俺はと、だからお前ものし上がってこい。そんな鼓舞するような内容に聞こえます。
持ち前のライトで真実を見極めて、価値あるもの(例えばピカソの「パイプを持つ少年」)を見つけろ、そんな感じです。
歌詞とは離れますが、この「Do you」の入り方が絶妙で僕は大好きです。
4拍目より少し遅く入る「Do you」、このタイム感がたまりませんね!
歌詞を書く際の参考にしてくださいね。
続いて、コード進行との関わりです。
Slideのコード進行について
ではコード進行を見ていきましょう。
Slideは4小節をぐるぐると回るのみの構成となっているので、ここではコード進行をスライド1、スライド2と考えていきます。
スライド1 譜面で
キーエディターで
SlideのキーはC#マイナーになります。コード進行的にはC#マイナーに聞こえますね。
AM7→G#m7→G#m7/C#なのでⅥM7→Ⅴm7→Ⅴm7/Ⅰです。
トニックのC#mで終わらせずに、G#m7/C#という分数コードでリッチなんだけど曖昧な響きになっています。
機能としてはC#mなのですが、G#m7/C#がそのままC#7になることもあるので、不確かで不安定な印象を受けますね。
ふわふわとして気持ちのよいコード進行です。G#m7をG#7に代えるとあからさまに悲しさが出ますので、選んで使ってくださいね。
スライド2 譜面で
キーエディターで
F#m9→G#m7→AM9なのでⅣm9→Ⅴm7→ⅥM9です。
スライド1とほとんど同じ響きで、オッとなるのは最後のAM9ぐらいですよね。
これはF#m9はAM7のベースをF#に変えただけだからです。
ベースを動かしただけですが、AM7が明るめだったのに対し、こちらはちょっと悲しげ。儚げですね。
AM9での9thはスライド1に戻るときに同じ響きにならないよう入れているのでしょう。9thが入ることで少しリッチな響きになっています。
全体的にすごくシンプル、使いやすいコード進行だと言えます。
最後に
なんだか優雅なようにも聞こえるし、少し悲しげにも聴こえる曲です。
豊かな生活とは、今までの努力の上に成り立っているってことを考えてしまいます。
ピカソの絵画には、それを書くまでの人生すべてが含まれているから価値があるのではないでしょうか?
GANO
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