Vol.114 短3度上のキーへ行ったり来たりして違和感なく場面変化を与える曲。『On My Way / Giovanca』

公開日: : 最終更新日:2018/07/23 ANALYZE ,

On My Way / Giovanca

どうも、GANO(@Past_Orange)です。

ツンデレなんて言葉がありますが、皆さんはお好きですか?

ツンツンばかりしていると冷たく感じるし、だからと言ってデレデレばっかりだと鬱陶しい。

絶妙なバランスが求められているから”ツンデレ”なんて言葉が生まれたんでしょうね。

今回紹介する曲は、”ツンツンツンツンデレ”ぐらいの曲です。


Giovanca – On My Way

オランダのシンガー、Giovancaの楽曲です。非常にポップですね!

彼女はオランダでモデルとしても活躍されていて、そんな二面性を持つ彼女らしさが曲にも表れています。

プロデュースはBenny Sings。Benny Sings好きは必聴といった具合ですね。

歌詞とコード進行を見ていきましょう!

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On My Wayの歌詞について

では歌詞の一部を引用して見ていきましょう。

Sun is up, finally
Got a thing or two I wanna do
And I don’t wait for you, I’m on my way

As soon as I, easily
Slip into another dress or two
Decided where I’m going to, I’m on my way
So let me say,

朝が来たらさっさと着替えて出かけるわ〜、好き勝手行動するわ〜って感じですね。

わざわざ相手のことを待ったりしないという、強い意志を示しています。

Baby, goodbye I’m off
I just can’t be bothered with waiting
But hey, don’t you cry my love
Tonight the table’s set for two

コーラス部分ではツンツンしているようですが、ヴァースではちょっとだけ”デレ”が見えます。

あたかも冷たくあしらって二度と会わないというような展開かと思いきや、今晩一緒に食事するために店に予約を入れてあるなんて。

自分勝手に行動するけど、あなたのことは好きよ!

そんな感じでしょうか。自立した大人の女性って感じですね。

City calls, eagerly
Wanna step into the morning due
No sorry I can’t wait for you, I’m on my way

I’m ready know, all of me
So where’s my key, peck on the cheek
Cell and shades is all I need, I’m on my way

コーラス部分に戻るとやはりドライ。

私のやりたいことをやるのよ〜って感じ。

so now I’m on my way
I’ll walk to fiery roads again,
Oh yes I’m on my way

Sun is up, easily
I don’t know where I’m going to, but I know I’ll return to you
I’m on my way.

しっかりと”デレ”がありますね!

大人で自立した女性の歌詞という印象を受けます。

僕は勝手にキャリアウーマンの歌と思って聞いているのですが、皆さんはどうでしょうか?

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On My Wayのコード進行について

それではコード進行を見ていきましょう。

今回はコーラス・ヴァース・セカンドコーラスと考えていきます。

コーラス

譜面で
omw1

キーエディターで
omw2

On May WayのキーはE♭メジャーです。

E♭M7→A♭M7なのでⅠM7→ⅣM7です。

トニックとサブドミナントを行ったり来たりするコード進行です。

コーラスでⅣM7→ⅠM7は結構あるのですが、ⅠM7→ⅣM7は現段階のアナライズコーナーにおいてはまだありませんでした。

ⅣM7→ⅠM7は『到着した』感が出るのに対し、ⅠM7→ⅣM7は『出発した』感じ。

ここにたどり着いたのか、これから旅に出るのかでコードの位置を変更していくのも手だと思います。

ヴァース

ヴァース1 譜面で
omw3

キーエディターで
omw4

A♭m7→D♭7→G♭M7→B♭m7→B♭♭m7なのでⅣm7→♭Ⅶ7→♭ⅢM7→Ⅴm7→♭Ⅴm7です。

なかなかややこしく見えてしまいますね。

ヴァース部分では短3度上のG♭メジャーに転調した形になっています。

G♭メジャーと考えるとⅡm7→Ⅴ7→ⅠM7→Ⅲm7→♭Ⅲm7です。

こう考えるとニーゴーイチの後にⅢm7が半音で下降してくるだけだと分かります。

なぜこうも簡単に短3度上のキーに転調できるか。

これは同主調E♭マイナーの平行調に当たるからなんですね!

つまり近親調だから。

簡単ですが、ガラッと雰囲気が変わったように感じますね!

ヴァース2 譜面で
omw5

キーエディターで
omw6

A♭m7→D♭7→B♭m7→E♭7なのでⅣm7→♭Ⅶ7→Ⅴm7→Ⅰ7です。

ヴァース1の後半部分が変わったコード進行です。

前半A♭m7→D♭7はG♭へ進むためのトゥーファイブ、後半B♭m7→E♭7はA♭へ進むためのトゥーファイブです。

トゥーファイブワンとならないため、解決することがなく期待感を持ちながら何回も繰り返すことができるコード進行です。

これだけで1曲作れちゃいますね!

ヴァース3 譜面で
omw7

キーエディターで
omw8

C♭M7→D♭7なので♭ⅥM7→♭Ⅶ7です。

♭Ⅵ→♭Ⅶの流れは「勇敢さ」を演出できるコード進行です。

このままトニックに帰れば勝利のファンファーレのようなコード進行になります。

非常に力強くポジティブな印象を受けるコード進行です。

トニックに向かうまでの期待感を高めさせたい時に使えますよ。

セカンドコーラス

譜面で
omw9

キーエディターで
omw10

コーラスのコード進行を繰り返したのち、セカンドコーラスのコード進行が入ります。

C♭M7/E♭→B♭m7/D♭→Fm7→Fm7/B♭なので♭ⅥM7/Ⅰ→Ⅴm7/♭Ⅶ→Ⅱm7→Ⅱm7/Ⅴです。

これまたややこしいですね。

ヴァースに入る時のⅣM7がⅣm7になるような形で、ここでもE♭M7はE♭m7にしたかったのではないかと思います。

でも仮にE♭m7→E♭m7/D♭としてしまうと、ちょっと悲しすぎ&ドラマチックすぎちゃう。

そこでE♭m7の7thを全音下げちゃってC♭M7を使って分数コードとしています。

なかなか説明するとややこしいのですが、こういった流れでこのコード進行は出来上がっています。

そしてヴァース同様G♭メジャーからの借用和音でもありますね!

短3度上のキーと行ったり来たりする不思議な楽曲となっています。

↓GANOが作った作曲ツールです!↓
thumbnail

最後に

大人で自立しているけど、ちょこっとデレる部分がある女性の曲でした。

こんな女性が好きですか? ちょっとツンツンしすぎ?

GANO

Benny Singsは三枚目キャラです。



仕事依頼thumbnail

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    作詞曲家・DTMer・WEBライター。DTMを中心に歌モノ・BGMを制作しています。シティポップ系やブレイクビーツなどを好んでます。
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