Vol.86 僕らは若くて、何も知らないままなのか。『The Motorcycle Boy Reigns / Broken Records』

公開日: : 最終更新日:2018/07/23 ANALYZE ,

The Motorcycle Boy Reigns / Broken Records

どうも、GANO(@Past_Orange)です。

若いがゆえにいろいろなものを悲観的に取られてしまう時期があります。思春期ってやつですね。

思春期には情緒不安定になっていたり物に当たってしまったり。大人と子供の中間で揺れている時期なので大変です!

まだまだ子供なのに、大人になってすべてを知ったと思い込んで絶望していたり、悩みがちになってしまう時期がみんなあったはずです。忘れていっちゃうけどね

今回紹介するのはこの曲!


Broken Records – The Motorcycle Boy Reigns

6/8拍子ですね!ポップスは4/4拍子が多いため新鮮ですね。

Broken Recordsはスコットランドのバンドです。容姿や楽器、作風から知的な印象を受けますね!

知的だからこそ物事に暗くなっているのかな?と直感で感じてしまうこの曲。

さて、どんな曲なのでしょうか?

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The Motorcycle Boy Reignsの歌詞について

タイトルの「The Motorcycle Boy Reigns」は「オートバイ少年の統治」って訳になります。!ザ・直訳

バイクは基本は1人で乗るモノなので、「孤独な少年の苦悩」のような意味なのではないかと思います。難解そう〜

Sing yourself to sleep
Because I don’t know your name
To the ocean we will go
If the land won’t stop us first

初めて会う人とは自己紹介をしますよね、「はじめまして、GANOです。出身は〜」みたいに必ず名前を最初に言うことになります。

最初にもらうはずの名前を知らないってことは、それ以降の情報も何ももらってないよ!ってことなので、「I don’t know your name」は「君のことを何も知らない」と訳しました。

その続きの海へ向かうよ〜大地が止めなければ〜の部分は比喩になっていると思うのですが、詳しいことはまだわかりませんね。

非常にネガティブな歌に聴こえるので、死について歌ってるような気もします。バイクに乗ったまま海に入ったら沈む一方ですからね。

もしくは住み慣れた土地を離れゆく様を歌ってるのかも?

So kiss yourself for life
From the threats you can’t bend
Oh, of all the things we have done
It doesn’t seem good enough

先ほど子守唄が出てきましたので、ここではお休みのキスを自分自身でしなよって言ってるのではないでしょうか。

「life」は人生ですね、人生にお休みのキスをするってことは、自ら人生を終わりにしなよってことです。暗いなぁ

より良い人生を歩むため試行錯誤してきたけど、脅威(世の中の流れのことかな?)からは逃れられないから死ぬしかないね。

そんな言い回しに聴こえます。

So we sing at the source that we love
We were young and we don’t know your name

バイクに乗ってどこか遠くに行ってしまうので、門出の歌を歌おうよってことかも。

何も知らないよと繰り返しますね。苦悩している、絶望感でいっぱいな気がします。辛い!

Do you ever sit and stare?
The quickening of time
Is there something else for us?
Or a line we’ll never cross

ここから少しだけポジティブに感じるような内容が入ってきます。

時間は過ぎて行っちゃうよ、座っててもいいの?って聞いていますね。越えられない線があるのかもしれないけど、何かあるかもしれないと揺れています。

歌詞に出てくるyouは自分自身なのではないかと思います。自問自答している曲なんですね。

世の中に不満を持った少年が矛盾を覆そうと行動を起こしてきたけど、結局このまま死んでいくのではないかと悟っているんです。

だったらいっそ今死んでしまっても一緒じゃないか?と冒頭あたりでは考えているのですが、後半に少しだけ光が見えますよね。

曲自体もずっとマイナー寄りだったものが最後の最後で明るいメジャーに変わっています。

何も知らないことに絶望していた少年は、これから知っていけば良いと気づいたのではないでしょうか。

若かったからこそ傷ついたし、まだ若かったからやり直せる。そんな印象を受けました。

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The Motorcycle Boy Reignsのコード進行について

わかりやすくAメロ・Bメロ・サビ・アウトロで見ていきたいと思います!

Aメロ 譜面で
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キーエディターで
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Cマイナーの曲なので前半4小節はⅠm→Ⅶ/Ⅱ→Ⅲ→Ⅶです。メジャーコードばかりでこれだけ聴くと明るいですね。

ベースラインがなだらかに上昇しⅢで止まれば明るさだけなのですが、終わらないでⅦへと落ちてきます。そのまま後半へ

後半はⅥ→Ⅳm→Ⅰmとマイナー色が強くなります。ベースラインも下降したのちにマイナーコードが強進行で繋がるので悲しく聴こえます。

前半のやや明るい雰囲気が後半で打ち消されるようなコード進行、「ちょっと期待したけど、残念〜」みたいな。

Bメロ 譜面で
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キーエディターで
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Ⅰm→Ⅶ/Ⅱ→Ⅰm/Ⅲ→Ⅶ/Ⅳ→Ⅶです。ベースラインはスケールをなだらかに上昇していくのに対し、コード自体はⅠmとⅦをいったりきたり。

思春期の繊細な感情を表現しているかのようです。期待するベースラインと停滞するコードが混在する状態、明るいんだか暗いんだか。

サビ 譜面で
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キーエディターで
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Ⅵ→Ⅶ→Ⅰmです。ⅠmがⅠになってくれれば明るく能天気レベルアップ!!な感じになるのですが、しっかりマイナーで落ち着くところが「落胆」している印象を与えます。

前半のメジャーコードが続くところがあるばっかりに、少し諦めきれないようなじれったさも感じますね!Ⅳm→Ⅴm→Ⅰmなら諦めついてそうなんだけど。

アウトロ 譜面で
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キーエディターで
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最後の最後にして急に明るい!Ⅲ→Ⅴm/Ⅱ→Ⅵ/Ⅰ→ⅢとⅢ/Ⅴ→Ⅵ→Ⅶ→Ⅲです。

E♭メジャーで考えればⅠ→Ⅲm/Ⅶ→Ⅳ/Ⅵ→ⅠとⅠ/Ⅲ→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰです。こっちで表記する方が妥当ですよね。

明らかにメジャーのコード進行ですが、これが散々マイナーで来た曲の最後にくることに意味があるので、ここではマイナーコード進行として載せておきます。

ずっと落胆してきた少年が、最後の最後で希望を見出した!って印象がサウンドからもしますよね。歌詞にはない希望の部分が作曲面で盛り込まれていて救われる展開です。

ズラズラ〜っと書いてきてみましたが、1つでも使ってみてはどうでしょうか?

最後に

Broken Recordsはこの曲以外も比較的暗いし、6/8拍子の曲も多めですし、歌もはっきりと聞き取れなかったりします。

これはスコットランドの民謡から影響を受けているのではないかなと感じました。幼い頃から親しんできた音楽を織り交ぜて作っているようです。

ちなみに、今回はブロガーのラカさんからのリクエスト曲でした。お世話になってます。


好きな曲とのことだったので、和訳とかコード進行とか間違ってないかなぁ〜間違ってたら指摘お願いしますね〜。

GANO

ちょっと怪しくね?って曲



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  • gano1
    作詞曲家・DTMer・WEBライター。DTMを中心に歌モノ・BGMを制作しています。シティポップ系やブレイクビーツなどを好んでます。
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