Vol.12 ヌルッと4回も転調する浮遊感のある大人な曲。『A Strange Arrangement / Mayer Hawthorne』
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最終更新日:2018/07/23
ANALYZE GANO's ANALYZE, Mayer Hawthorne
A Strange Arrangement / Mayer Hawthorne
どうもGANO(@Past_Orange)です。
突然振られる経験をされた方は、突然振られたからという理由で相手を瞬時に嫌いになることは難しいですよね。
突然振られた方は、いつまで相手を好きでい続けるのでしょう?
今回紹介するのはこの曲!
A Strange Arrangement / Mayer Hawthorne
どうだいこのソウルフルな楽曲。60年代は最高だなぁ...と思いきや、これはなんと2009年リリース!!
古くさい、けどミックスは少し新しく聴こえます。
アメリカはデトロイトのシンガーソングライター、Mayer Hawthorneの1曲です。
Mayer Hawthorneがソウルを歌うまで
小さい頃から古い曲も聴いてたみたいなんだけど、2007年ごろまではほとんどHip Hopに浸かってたようです。DJもこなします。
また、数々のカヴァーバンドで楽器を弾いていたらしく、生音も得意としています。
Hip Hop系のDJって毎日トラック作るために古いレコードを聴き漁ってて、古い音楽からサンプリングしてくる作業ばっかりなわけです。
なのですごい幅広く音楽を知っていて、その影響もあってか結構SoulやFunkが好きな人が多いんですよね。
メイヤーもその傾向にあったのでしょう。
歌いだしたのも2007年ごろから、作詞作曲でさえ同時期に始めたばかりなのに、このソウル感。
そうとう聴き込んでますし、器用なことが伺えますね。
では、A Strange Arrangementの歌詞とコード進行を勉強していきましょう!
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歌詞について
歌詞を一部を引用して見ていきましょう。
We took the long and steady road
And from the start you had a heart of gold
You broke the mold
I never thought you would decide
The grass was greener on the other side
Of love’s divide
僕たちは長い長い道を一緒に歩いた
そして君は純粋な心を最初から持っていたね
君は型を壊した
僕は君がそんな決心をするなんて考えてなかった
分かれ道の向こう側は緑が茂って見えたんだね
歌詞の内容は全て過去形になっています。
そして語り口は主人公からの情景のみ、別れた後の話のようです。
安定した関係が続いていたため、刺激を求めて彼女は離れていったのでしょうか。
You were everything that I wanted and more
Now we can’t go back where we started
We’ll never be like before
君は全てで僕にとって何もかもだった
今はもう出会った頃の二人には戻れない
もう元には戻らないんだ
ここでは彼にとって彼女がどれほど大きな存在だったかを歌っています。
君は全て、いやそれ以上だったと、かなり好きだったことがわかります。
Darling me and you, we had a strange arrangement
But you broke all the rules
And I’m through playing the fool for love
Darling yes it’s true, we had a grand engagement
But I can’t stand by, while you break my heart in two
Oooh, I’ve got to be a man
Baby I’ve got to take a stand, so
ねぇ君と僕にはおかしな決まりごとがあったよね
でも君は全てのルールを破った
そして僕は愛のためにバカなフリをして通したんだ
本当さ 僕らには大切な決まりごとがあった
でももうそばにはいれない 2回も君は傷つけたんだ
僕は男になるよ 立ち直らなきゃ
カップルは多くのルールを作りすぎると、それがかえって関係を悪化させることがあるようです。
ここでもルールを作りすぎたため、彼女が嫌になり破局に至ったのでしょう。
それでも彼はおどけて過ごして、元に戻らなくなってしまったんですね。
う〜ん、辛い。
未練タラタラソングを書く際の参考にしてくださいね。
続いて、コード進行との関わりです。
コード進行について
では、コード進行を見ていきましょう。
そう、問題はここなんです。転調しまくりなんです!
Aメロ・Bメロ・サビと考えていきます。
Aメロ
譜面で
キーエディターで
AメロのでのキーはGマイナーです。
E♭M7→Dm7→Gm7→Cm7→Dm7なのでⅥM7→Ⅴm7→Ⅰm7→Ⅳm7→Ⅴm7です。
E♭M7→Dm7→Gm7までは分かりやすい終止をするのですが、特徴的なのは後半のCm7→Dm7ですね。
Cm7→Dm7をつけるだけで次への期待感を感じさせることができます。
ドミナントコードでの期待感に飽きた場合は、このようなコード進行を使ってみると良いですね。
Bメロ
Bメロ1 譜面で
キーエディターで
Bメロ1でのキーはD♭メジャーです。
B♭m7/E♭→B♭m7/A♭→D♭M7なのでⅥm7/Ⅱ→Ⅵm7/Ⅴ→ⅠM7です。
ベースラインのみ見るとニーゴーイチになっており、このままのコードをつけるとやや行儀よく力強すぎ。
なので和音は6度から1度に進む形にして、分数コードになったのだと思います。
非常に大人な響きではないでしょうか。
さて、すぐに転調しましたね。♭2つから♭5つまで増えました。
各キーの共通音をメロディで通り、Dm7とコード構成音の近いB♭m7へスライドさせて転調しています。
ヌルッとした転調の仕方、しっかり練習しないと歌が外れそうです。
Bメロ2 譜面で
キーエディターで
Bメロ2でのキーはBメジャーになります。
G#m7/B→G#m7/D#→G#m7/F#→F#6なのでⅥm7/Ⅰ→Ⅵm7/Ⅲ→Ⅵm7/Ⅴ→Ⅴ6です。
こちらもベースラインは動きながらも和音はほぼ動きません。
6度の和音G#m7で落ち着きつつ、最後はF#7でなくF#6でドミナント感を薄めています。
サビ前で明らさまに盛り上げたくない時にどうでしょう?
さてさて、ここでも転調ですね。
♭5つから#5つに転調しています。
こちらも各キーの共通音をメロディで通り、B♭m7とコード構成音の近いG#m7へスライドさせて転調しています。
ヌルッと転調をさせたい場合は今鳴っているコードがフラット系とシャープ系の2パターンでどういう構成音なのかを考えると良いです。
サビ
サビ1 譜面で
キーエディターで
転調はせずBメジャーのままですね。
EM7→C#m7→C#m7/F#→BM7なのでⅣM7→Ⅱm7→Ⅱm7/Ⅴ→ⅠM7です。
始めやすい4度からのニーゴーイチ、とっても綺麗なコード進行だと思います。
F#7でなくC#m7/F#を使うことで大人な雰囲気が出てますね!
サビ2 譜面で
キーエディターで
EM7→C#m7/F#→BM7→BM7/A#→BM7/G#→BM7/F#なのでⅣM7→Ⅱm7/Ⅴ→ⅠM7→ⅠM7/Ⅶ→ⅠM7/Ⅵ→ⅠM7/Ⅴです。
EM7→C#m7/F#→BM7で十分なのですが、ベースの下降が綺麗なので載せておきます。
このままベースがスケールを下って行き、サビ1のEM7にたどり着く流れまでが1セットですね。
この後にBm7のワンコードがありAメロへと戻ります。
なのでGマイナー→D♭メジャー→Bメジャー→Bマイナーと転調してきたことになります。
明らさまな転調ではなく、ちょうど良い浮遊感を保ちつつヌルッと転調していると感じます。
ダイナミックな展開ではない転調をしたい時に参考にしたい曲ですね。
最後に
Mayer Hawthorneは多くのHip Hop系のミュージシャンとコラボしてますね。
トラックがディスコっぽかったりして『レトロ』で様々な時代の音楽を現代風に歌い上げています。ぜひ聴いてみてください。
GANO
Tuxedoとしても活躍してます
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