Vol.135 ドミナントを多用し勢いをつけたダンスナンバー。『Chance and Fly feat. Hamish Stuart / The Baker Brothers』
公開日:
:
最終更新日:2018/07/23
ANALYZE Average White Band, GANO's ANALYZE, The Baker Brothers
Chance and Fly / The Baker Brothers
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
「日本人ウケの良い楽曲」という分類の仕方がありますよね。キャッチーなメロディーでノリの良いリズム。
その反面、玄人には軽すぎてウケない曲になりがちなのですが、こちらの曲はどうでしょうか?
Chance & Fly feat. Hamish Stuart / The Baker Brothers
イギリスのJazz Funk BandであるThe Baker Brothersの2008年の楽曲です。
ダン・ベイカーとリチャード・ベイカーの兄弟が始めたバンドだったのでThe Baker Brothersなのですが、2016年現在は2人とも脱退。
ベイカーブラザーズのいないThe Baker Brothersとなっています。僕的には複雑。この楽曲では2人ともいますのでね。
ボーカルをとるのはあのAverage White BandのHamish Stuartです!
イギリス人が黒いサウンドをやるということでは大先輩になりますね。志が一緒なのでしょう。
では、歌詞とコード進行を勉強していきましょう!
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Chance and Flyの歌詞について
歌詞を見ていきましょう。
……と、言いたかったのですが、なぜか歌詞が見つかりません。
残念ですね〜。
見つかり次第追加しますので、よろしくお願いします。
続いて、コード進行との関わりです。
Chance and Flyのコード進行について
では、コード進行を見ていきましょう。
ここでは、イントロ・ヴァース・コーラス・間奏・アウトロと考えていきます。
イントロ
イントロ1 譜面で
キーエディターで
Chance and FlyのキーはA♭メジャーになります。
D♭→Cm→B♭m→A♭なのでⅣ→Ⅲm→Ⅱm→Ⅰです。
Ⅳからダイアトニックコードを順番に降ってくるコード進行です。
終止しますよ〜終止しました〜と丁寧な感じがしますね。
淡白ではなく順序だてて説明してくれる優しい先生的なコード進行だと僕は感じます。
If I Ain’t Got You / Alicia Keysや、Man In The Middle / Roos Jonkerも7thを加えた同じコード進行を使っています。
イントロ2 譜面で
キーエディターで
Fm→F♭→G♭→Fm→E♭m→B♭mなのでⅥm→♭Ⅵ→♭Ⅶ→Ⅵm→Ⅴm→Ⅱmです。
F♭(Eと同じです)がハッとさせますね、このままE♭へ進みたくなります。
その流れを踏まえつつ、A♭メジャーの下属調D♭メジャーからコード進行を借用してきます。
G♭→Fm→E♭mの部分ですね、E♭メジャーならⅣ→Ⅲm→Ⅱmです。
Fmというピボットコードを経由しつつ、Fm→F♭で起きたE♭へ向かいたい流れをE♭mで消化、またピボットコードのB♭mで着地する技ありなコード進行です。
ポップでキャッチーなコード進行ですが、聴く人が聴くと知的な感じを与えられます。
ヴァース
ヴァース1 譜面で
キーエディターで
D♭m→Fm/CなのでⅣm→Ⅵm/Ⅲです。
D♭m、これは同主調A♭マイナーからの借用和音です。
なので出だし1発目にD♭mが来るだけでグッと怪しい感じが出ていますね。
Fm/CがA♭メジャーのコードなので、メジャーキーとマイナーキーを行ったり来たりしているようで怪しさが増しています。
ヴァース2 譜面で
キーエディターで
D♭m→Fm/C→Fm/B♭なのでⅣm→Ⅵm/Ⅲ→Ⅵm/Ⅱです。
ヴァース1の最後にFm/B♭が加わった形です。
Fm/B♭はB♭7を少しまろやかにした和音なので、Fm/C→Fm/B♭でE♭へ向かうためのトゥーファイブができています。
こちらもD♭mのマイナー感とトゥーファイブのメジャー感が良い対比となっていると感じます。
ヴァース3 譜面で
キーエディターで
D♭m→Fm/C→B♭mなのでⅣm→Ⅵm/Ⅲ→Ⅱmです。
ヴァース1と2の変形になりますね。変形ですが、効果は異なります。
ヴァース2と違いはB♭mしかありませんが、Fm/B♭はB♭7であるので向かう先が違います。
こちらはレ♭→ド→シ♭と降ってくることに加え、ダイアトニックコードであるB♭mを使用することでトニックに戻る落ち着いた流れを作っています。
ヴァース1と2の変形でありますが、効果はイントロ1と似ています!
コーラス
コーラス1 譜面で
キーエディターで
D♭→Cm→B♭m→B♭m/E♭なのでⅣ→Ⅲm→Ⅱm→Ⅱm/Ⅴです。
これは定番のコード進行、Ⅳから降りてきてトゥーファイブする形です。
丁寧に終止することを説明しながらも、落ち着きすぎずトゥーファイブでしっかりと盛り上げています。
恋 / 星野源や、Believe In Me / Todd Rundgrenでも似たようなコード進行を使っていますよ。
コーラス2 譜面で
キーエディターで
Fm→F♭→E♭m→E♭m/A♭なのでⅥm→♭Ⅵ→Ⅴm→Ⅴm/Ⅰです。
ここではイントロ2同様に、下属調のD♭メジャーから借用されています。
D♭メジャーと考えると、Ⅲm→♭Ⅲ→Ⅱm→Ⅱm/Ⅴですね。実はコーラス1と似ているんです!
Ⅲから降ってきてF♭をいれて半音での流れを作りつつ、トゥーファイブをする丁寧で勢いのあるコード進行です。
近親調からこのようにガッツリコード進行を借りてくることもできます。
間奏
間奏1 譜面で
キーエディターで
F♭→E♭→E♭♭→D♭なので♭Ⅵ→Ⅴ→♭Ⅴ→Ⅳです。
これに関してはメジャーコードのスライド! としか言いようがありませんね。
勢いある明るいコード進行です。飛び道具的に、メロディーを乗せるよりは最後のコードに着地するまでの助走のように使うと良いです。
間奏2 譜面で
キーエディターで
E♭→E♭♭→D♭→E♭m7♭5/B♭♭なのでⅤ→♭Ⅴ→Ⅳ→Ⅴm7♭5/♭Ⅱです。
E♭→E♭♭→D♭の流れは間奏1同様にメジャーコードのスライドですね。
間奏2ではトニックに戻るための準備をしっかりとしています。
D♭→E♭m7♭5/B♭♭はフォーファイブの変形、E♭7ではなくE♭m7♭5/B♭♭を使うことで明るすぎない前進感&ベースをB♭♭(ラですね)にすることで半音下降でA♭に着地することができます。
スカすようにぬるっとトニックに戻るためのコード進行だと言えます。
アウトロ
アウトロ 譜面で
キーエディターで
アウトロといいますか、アウトロに向かうためにコーラスの最後の最後に入れられたコード進行を紹介します。
Fm→F♭→B♭♭→E♭♭→C♭→D♭♭なのでⅥm→♭Ⅵ→♭Ⅱ→♭Ⅴ→♭Ⅲ→♭Ⅳです。
フラットばかりですいません。The Baker Brothersの代わりに謝っておきます。
F♭から強進行でまずB♭♭へ、この時点でドッペルドミナントになっていますね。トリプルドミナントですね、これ言わないでしょうが。
つまり勢い重視のメジャーコード連発コード進行です。
最後のC♭→D♭♭でD♭mへ戻るための流れを作っています。パワーがすごい
明るく軽快に演奏されていますが、実はこのような知的な流れが確認できる曲となっています。
最後に
軽快で聴きやすく、SoulやFunkの入りには十分ですが、玄人ウケも良い楽曲だと思います。
Hamish Stuartってのがまたいいですよね!
GANO
Average White Bandの楽曲もぜひ聴いてみてください!
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