Vol.100 ナヨナヨして言い訳ばかりだけど、あなたがいないとダメなんだ。『Believe In Me / Todd Rundgren』

公開日: : 最終更新日:2018/07/23 ANALYZE ,

Believe In Me / Todd Rundgren

どうも、GANO(@Past_Orange)です。

僕は映画やドラマやアニメ、歌の内容にしてもイケメンで完璧な二枚目キャラよりも冴えない三枚目キャラの方が好きです。

実際、物語の主人公のような二枚目キャラの人って少ないですよね。みんなどこか弱くて欠点があって。

そんな近い存在に感じる、自分を投影したような三枚目キャラが好きです。

今回紹介するのはこの曲!


Todd Rundgren – Believe In Me

優しいピアノ、優しい演奏、優しい歌声。優しさでできているような2分ちょっとの短い曲です。

Todd Rundgrenの1st Album『Runt』に入っている曲でして、大好きです。僕の曲はこの曲にかなり影響されてる!

Toddが22歳の時にこのアルバムをリリースしているので、作曲したのはもっと前でしょうか。すごいですよね。全部自分で演奏してミックスしてるんです。

優しさが詰まったBelieve In Me、この優しさはどこから来るのでしょう?

歌詞とコード進行を見ていきましょう。

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Believe In Meの歌詞について

遠回りな言い方ばかりで真に迫ることはなかなか言わないため、和訳すると分かりづらいかも。

Please don’t look at me that way,
I can hardly say what I have to say,
There is nothing that I haven’t told to you
That I didn’t believe you knew.

冒頭から、誤解しないでくれよ〜そうじゃないんだ〜と言い訳から始まります。

言いたいけど言えないってことを言っちゃうあたりがまた言い訳がましいですよね。でも、これあるなぁ。

以前は相手のことを心から信じてなくて、それも見透かされているって気づいたから、あえて全部話していたよ。そんな言い回しですね。

弱いです、非常に弱くて言い訳ばかりでナヨナヨしてます。22歳の男の本音、22歳にかかわらずか!

I am thinking of another time
I could feel you thinking that you were mine,
Now I hold out my hands ‘til my arms get tired
And you wait on the other side.

以前の関係を思い出していますね。相手は自分のことを信じてくれていないって分かっていながらも、好いてくれていたんですね!いい人やで。

でも現在は相手はどこか遠くにいて、そこに向けて主人公は手を差し伸べ続けている。こっちに戻っておいでと。何があったのさ!

You and me, we’re both the same,
Don’t let me take all the blame,
I promise that I will do all it takes to make up for my mistakes.

別れる、別れそうになっているみたい。こりゃ主人公が何かしましたね。

でも、お互いに非があったよね!って言っちゃう感じがまた責任逃れでダメだな〜。正直に謝れていない感じが、これ男の本音すぎ。

最後にはちゃんと反省して、もう間違ったことしない!とは言えないにしても努力するみたい。言い切れないところがまた!!

So, I’m trying hard to be the man
And it’s not a hard thing to understand,
For I think that my being would cease to be
If you didn’t believe in me, if you didn’t believe in me.

相手の理想の男になれるよう努力するから、努力してるってことは分かって?って、いけませんね〜。男になるよ!ってだけでいいのに、保険をいっぱいかけてます。

あなたがいないと僕は意味がなくなっちゃうよ、と最後の殺文句。

これでね、相手は「仕方ないわね」って戻ってきてくれますよ。男のダメなところも包み込むような相手でしょうね。

このダメダメでナヨナヨで三枚目な感じが、本当はこっちの方が「男らしい」のだと思います。

全てにおいて正直な表現をしているから、優しさが出るんですよね。

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Believe In Meのコード進行について

イントロ部分はヴァース後半と一緒なので飛ばしまして、ヴァースとコーラス、アウトロで見ていきたいと思います。

多いですので、覚悟してください!!

ヴァースその1 譜面で
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キーエディターで
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まずFメジャーの曲ですね!

FM7→B♭M7→Am7→Dm7なのでⅠM7→ⅣM7→Ⅲm7→Ⅵm7です。

ダイアトニックコードを強進行を使いながら流れるように進むコード進行です。

イチヨンサンロクって結構使いやすいのではないでしょうか?定番と言ってもいいですよね。

物語の始まりにピッタリのコード進行です。

ヴァースその2 譜面で
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キーエディターで
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Gm7→Dm7→Dm7/G→G7→Gm7/C→F7なのでⅡm7→Ⅵm7→Ⅵm7/Ⅱ→Ⅱ7→Ⅱm7/Ⅴ→Ⅰ7です。

出ましたね!Todd Rundgrenの分数コードの連発!美しく大人な響きです。

少しずつ情景が変わるように分数コードを使って細かくコードチェンジしていますが、簡略化することもできます。

Gm7→Dm7→G7→F7、Ⅱm7→Ⅵm7→Ⅱ7→Ⅰ7ですね。機能的に考えるとこの形になるのですが、やや強引ですよね?

強引な流れもスムーズに聞こえるように分数コードで丁寧に間を縫ってあげているんですね。

このコード進行をまんま使っても良いですし、考え方だけを取りだして応用するのもアリです。

ヴァースその3 譜面で
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キーエディターで
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B♭M7→Am7→Gm7→Gm7/C→FM7なので、ⅣM7→Ⅲm7→Ⅱm7→Ⅱm7/Ⅴ→ⅠM7です。

ⅣからダイアトニックスケールをⅠまで下降してくる流れと、トゥーファイブワンを組み合わせたようなコード進行です。

一見難しいように見えますが、取り入れてみると使いやすいです。

7thコードを抜かして使っても良いですね!分数コードのところだけ深みが増します。

ヴァースその4 譜面で
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キーエディターで
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E♭M7/B♭→F6/A→F6/G→G7→Gm7/C→C7なので、♭ⅦM7/Ⅳ→Ⅰ6/Ⅲ→Ⅰ6/Ⅱ→Ⅱ7→Ⅱm7/Ⅴ→Ⅴ7です。

この曲の中で一番トリッキーなコード進行ですよ、これは使い方が難しい!

分数コードはベースラインを綺麗にしたい時に使いますが、それでもE♭M7/B♭のような第二展開系はほとんど使いません。クラシックでⅠ/Ⅴが出るくらいでして、狙いがないときは使わないほうが良いです。

今回、ベースラインがB♭より下降してくるのでセーフです。かつ上に乗っかる和音もE♭→F→Gと全音で上昇してくるため、流れを邪魔しません。

ベースラインをシカトして前半の和音の流れを考えると、E♭M7→Dm7(F6と同じ)→G7です。Gマイナーのコード進行のようにも(Gmで終止せずG7に置き換え)見えるし、Cメジャーのコード進行のようにも(Cマイナーからの借用を踏まえて)見えます。どっちにしろ、借用をしつつもスムーズな流れになっています。

ベースの流れ、和音の流れがスムーズなので2つを合わせてトリッキーな響きが出来上がっているんですね。

ここに関して言えば、本当インテリだと思います。手癖もあるでしょうが、頭を使ってメロディもぶつからないようにコード進行を捻出していると感じます。

使う場合は本当にこれを使う必要があるか、メロディや他の音はぶつからないかをよく考えて使いましょう!

コーラスその1 譜面で
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キーエディターで
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B♭M7→Am7→Dm7→Dm7/G→G7なのでⅣM7→Ⅲm7→Ⅵm7→Ⅵm7/Ⅱ→Ⅱ7です。

前半B♭M7→Am7→Dm7の流れに後半Dm7/G→G7と考えてください、後半は簡略化するとG7のみですよね。B♭M7→Am7→Dm7→G7と考えるとシンプルです。

Dマイナーのコード進行にも感じますよね、メジャー曲の中に悲しさ、暗さを入れたい時にこのように借用してきます。

コーラスその2 譜面で
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キーエディターで
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Gm7/C→Am7/CなのでⅡm7/Ⅴ→Ⅲm7/Ⅴです。

C7のワンコードをきらびやかにするために分数コードを用いていると考えてよいと思います!

C7の前進したい響きとマイナーコードの近場をゆらゆらと漂う悲しい響きが組み合わさっていますね。

ワンコードにするのか、分数コードできらびやかにするのか。感情表現を考えてコードを選んでいきましょう!

コーラスその3 譜面で
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キーエディターで
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B♭M7→Am7→Gm7→Gm7/C→C7なのでⅣM7→Ⅲm7→Ⅱm7→Ⅱm7/Ⅴ→Ⅴ7です。

分数コードを省略してB♭M7→Am7→Gm7→C7と考えると、ヨンサンニーゴーでトニックに帰りたくなりますね。

コーラスその2でのC7ワンコードでFへ行きたがり、コーラスその3でもFへ行きたがり、曲の頭に戻るぞ〜!とパワーを思いっきり貯めている感じです。

期待感がかなり高まっていますよね。これでFM7へしっかり戻るので緊張と緩和がうまくできているんです。

アウトロ 譜面で
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キーエディターで
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最後に2小節だけのチョ〜短いアウトロがついてます。Toddらしいです。

B♭/F→Am/F→Gm/F→FなのでⅣ/Ⅰ→Ⅲm/Ⅰ→Ⅱm/Ⅰ→Ⅰです。

Am/FはFM7と同じなのですが、このコード進行ではベースをFに置きながら和音が下降してくると考えた方が良いのでこのように書きました。

このようなベースを動かさずに和音を移動させる手法をペダルポイントと呼びます。

以前紹介した『Wonderful Christmas Time / Paul McCartney』でも使われています。


『Wonderful Christmas Time / Paul McCartney』では徐々に広がっていく感覚を与えるペダルポイントでしたが、Believe In Meではトニックに向かって閉じていくような感じ。

静かにオルゴールの蓋を閉じる感覚だと僕は思います。優しい終止の仕方ですね。

しっとりと曲を終わらせたい時に使えますよ!

↓GANOが作った作曲ツールです!↓
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最後に

たった2分の曲なのに相当な量になってしまいました!

それほどまでに作詞作曲的に情報量の多い楽曲だと言えます。

この曲でアナライズは100曲になりましたね!節目にToddの曲がやれると嬉しいです。むしろ節目じゃないとToddには手を出したくないかな。大変だから

GANO

Todd Rundgrenの以前の曲はこちら!



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  • gano1
    作詞曲家・DTMer・WEBライター。DTMを中心に歌モノ・BGMを制作しています。シティポップ系やブレイクビーツなどを好んでます。
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