Vol.70 JazzとDrum’n Bassの融合『I’ve Been Hit / Kudu』

公開日: : 最終更新日:2018/07/23 ANALYZE ,

I’ve Been Hit / Kudu

どうも、GANO(@Past_Orange)です。

以前JazzにDrum’n Bassを組み合わせてポップスに落とし込んだイギリスのBen Westbeechを取り上げました。


小洒落ていて落ち着いた音楽に落とし込まれていますよね。

イギリスではこのようにJazzとDrum’n Bassを組み合わせたミュージシャンが出てきた一方、アメリカはニューヨークよりBen Westbeechとは違った形でJazzとDrum’n Bassを組み合わせてエレクトロニカに落とし込んだバンドがいました。今回はそのバンドを紹介します!


Kudu – I’ve Been Hit

どうでしょうか?これもBen Westbeechと同じJazzとDrum’n Bassの融合です。パワフルで泥臭いような印象を僕は受けました。

Kuduはニューヨークの4人組バンド。ボーカル&ベース、ドラム、キーボードが2人の編成でして、I’ve Been Hitも生演奏可能なようです。太く迫力のあるシンセのヒット音と人力Drum’n Bassの絡まり方が心地よくてたまりません!!

この絡まり方を出せるか出せないかが頭を使って作っているかの違いだと僕は思います。ドラムパターンを見るとしっかりと音を縦に並べて作っているのが分かります。確認しましょう!

スポンサーリンク

I’ve Been Hit のドラムパターン

まずは冒頭の迫力あるユニゾンのドラムパターン

iv1

完全ユニゾンですね!1小節目と2小節目の違いは16分音符1つしかありません。2小節2拍の3つ目が歯抜けになっています。ここが歯抜けになるかならないかで大きく印象が変わりますよ!

まず1小節目でこの曲は16分音符で細かく刻む曲なんだという印象を与えます。そして2小節目の入りを1小節目と同じにすることで「あぁもう1回繰り返すのね」という期待を与えつつ2拍目で裏切る。「タタタタ」が「タタータ」になるだけで一気にグルーヴが出ます。この一工夫がかっこいい。

そして16分音符で刻むこと、ちょいちょい裏切る印象を与えながらメインテーマにつながります。

iv2

繰り返される4小節の前半2小節部分です。ぜひ縦割りで見てください!16分音符でひたすら刻むハイハット、シンセヒットとキックとベースのユニゾン、その間をすり抜けるようなスネアの3つからなっています。

冒頭部分では全パートが同じ動きをしていましたが、メインテーマに入った途端バラバラに動き出す、これ気持ち良い。この展開力も参考になりますね。

ほとんどの場合、スネアのすぐ後にシンセヒットが来ているのが分かります。「トタートター」のリズムが癖になってツイツイ体が揺れてしまいます。グルーヴ作りに工夫がされていますね、インテリっぽさがあります。

iv3

こちらは後半2小節部分。スネアが16分で刻む際はスネアが8分に切り替わっています。ここでスネアとハイハットが同じ動きをしてしまうとバカっぽくなってしまう気がしますね。

そして前半同様スネアとシンセヒットは間を縫って鳴っています。加えてハイハットもよりグルーヴを出すため歯抜け状態に。縦で割ってみると組み合わさるように計算されています、この人たち絶対インテリなんですよね。

この曲から学ぶべきはドラムパターンの緩急だと思います。各々の間を埋めるように音数を増やしてあげるとグルーヴが生まれることが分かりますね。このようなパターンも使っていきましょう!!

スポンサーリンク

最後に

Kuduのことが気になった方に注意があります。YouTubeでの画像のアルバムにはI’ve Been Hitは入っていないので買い間違いのないように!

Kudu自体2006年以降活動情報がないので現在は解散してしまっているかもしれませんね。CDで購入したい!って方は早めの入手をオススメします。

GANO

ドラムパターンを見ていこう!



仕事依頼thumbnail

スポンサーリンク

関連記事

Vol.141 すれ違う2つの心を、コード進行が優しく包む。『One Of These Hearts / Benny Sings』

One Of These Hearts / Benny Sings どうも、GANO(@Past_

記事を読む

Vol.3 1つのコード進行がループするディスコリバイバルな1曲。『Get Lucky / Daft Punk』

Get Lucky / Daft Punk どうも、GANO(@Past_Orange)です。

記事を読む

Vol.39 呑気な日々を送れるのは、戦いが終わったからなんだ。『Saturday in the park / Chicago』

Saturday in the park / Chicago どうも、GANO(@Past_Ora

記事を読む

Vol.110 iPhone iPad向けOS iOS 10のCM曲がカッコ良い!『Hey Hi Hello / Hollywood Wildlife feat.Fran Hall』

Hey Hi Hello / Hollywood Wildlife feat.Fran Hall

記事を読む

Vol.86 僕らは若くて、何も知らないままなのか。『The Motorcycle Boy Reigns / Broken Records』

The Motorcycle Boy Reigns / Broken Records どうも、GA

記事を読む

Vol.42 熱く開放的な夜には、何かが起こる予感『Fire / Matt Bianco』

Fire / Matt Bianco どうも、GANO(@Past_Orange)です。 夏

記事を読む

Vol.30 2つのコードとタイムストレッチ、そして最高のMVで酔わされる。『Suit&Tie feat.Jay-Z / Justin Timberlake』

Suit&Tie feat.Jay-Z / Justin Timberlake どうも、G

記事を読む

Vol.134 映画「プラダを着た悪魔」で使用され強く美しい女性の曲として使われるようになった。『Suddenly I See / KT Tunstall』

Suddenly I See / KT Tunstall どうも、GANO(@Past_Orang

記事を読む

Vol.12 ヌルッと4回も転調する浮遊感のある大人な曲。『A Strange Arrangement / Mayer Hawthorne』

A Strange Arrangement / Mayer Hawthorne どうもGANO(@

記事を読む

Vol.88 やりきれない日常と、自分自身から逃げ出したい。『The Reeling / Passion Pit』

The Reeling / Passion Pit どうも、GANO(@Past_Orange)で

記事を読む

  • gano1
    作詞曲家・DTMer・WEBライター。DTMを中心に歌モノ・BGMを制作しています。シティポップ系やブレイクビーツなどを好んでます。
    詳しくはこちら
  • 仕事依頼
    thumbnail