Vol.19ピッチが上ずって聴こえる。『パーフェクトスター・パーフェクトスタイル / Perfume』

公開日: : 最終更新日:2018/07/23 ANALYZE ,

パーフェクトスター・パーフェクトスタイル / Perfume

どうも、GANO(@Past_Orange)です。

人は別れた瞬間から、相手の成長を考えなくなります。

自分が成長しているのだから、同じ時間を過ごす相手も成長しているはずなのに、会わないと時が止まっているように感じてしまうんですね。

今回紹介するのはこの曲!


Perfume 「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」

Perfumeの2006年の楽曲になります。まだ地下アイドルと呼ばれている時代の楽曲ですね!

当時は鳴かず飛ばずで、解散ギリギリだったはず。深夜番組Neo Waveにも出ていましたが、今のように世界を飛び回るなんて想像できませんでしたね。

中田ヤスタカもこんなに表に出る人ではなかったし、あの頃を思うと涙が……。

話は楽曲に戻りまして。

では、歌詞とコード進行を勉強していきましょう!

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パーフェクトスター・パーフェクトスタイルの歌詞について

歌詞の一部を引用して見ていきましょう。

パーフェクトスター

I still love キミの言葉が まだはなれないの
あの日あの場所で 凍りついた時間が
逢えないままどれくらい たったのかなきっと
手をのばしても もう届かない

あの日あの場所で凍りついた時間、これは別れた日から相手の思い出だけを胸に秘めていることを指します。

写真は時間が経っても当時のままを写していますよね? 思い出も老けてはいきません。

会わないままだとずっと相手の成長は止まったままです。

でも実際は自分と同じように成長している。いつの間にか手の届かないところに行ってしまった、そんな内容ではないでしょうか?

たぶんね キミは本当は(そう) 全てパーフェクトなスター
つかめない風のように 気楽そうに映るスタイル

ありのまま ゆらがないように 後ずさりなんてできない
今も大切なあのファイル そっと抱えたあのまま

相手はキラキラと光る星のような存在、そして自分はそれを眺める普通の人。元から釣り合わなかったのかもね。

芯もブレずに、風のようにスイスイとどこかへ行ってしまう。でも自分は一緒にいた時間ばかりを振り返っている。

だから変わらず今も好きなままでいちゃう、そんな歌詞に聞こえます。

さまざまな憶測がある歌詞ですが、僕はこんな解釈をしてみました。

歌詞を書く際の参考にしてくださいね。

続いて、コード進行との関わりです。

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パーフェクトスター・パーフェクトスタイルのコード進行について

では、コード進行を見ていきましょう。

ここでは、イントロ・ヴァース・コーラスと考えていきます。

イントロ

譜面で
pp1

キーエディターで
pp2

パーフェクトスター・パーフェクトスタイルのキーは、ここではGメジャーと考えます。

実際にはGメジャーのFメジャーの中間ぐらいになります。

G/B→Am/C→D→EmなのでⅠ/Ⅲ→Ⅱm/Ⅳ→Ⅴ→Ⅵmです。

安定したトニックから始まるコード進行で、ベースラインをスムーズにつなげるため、分数コードが使われています。

ベースがスケールを順番に駆け上がることで、Am→Dの強進行をなくし強烈な進行感を解消しています。

このコード進行は基本形で、DがBm/Dだったり(11)ついていたりします。中田ヤスタカ……。

ヴァース

ヴァース1 譜面で
pp3

キーエディターで
pp4

E/G#→F#m/A→B→C#mなのでⅥ/#Ⅰ→Ⅶm/Ⅱ→Ⅲ→#Ⅳmです。

イントロの最後のコード、Emからソを半音上げてEにしています。

ベースが同じ音で続くと変化が少ないため、ここでも分数コードを使っていますね。

イントロと同じで、ベースラインをスムーズにつなげることで強進行をなくしています。

Gメジャーの平行調Eマイナーの同主調、Eメジャーへの転調になります。ハッとさせられる転調ですね!

ヴァース2 譜面で
pp5

キーエディターで
pp6

E/G#→F#m/A→B→BmなのでⅥ/#Ⅰ→Ⅶm/Ⅱ→Ⅲ→Ⅲmです。

ヴァース1とほとんど一緒ですが、最後だけBmになっています。

これは、またGメジャーへ戻るための準備ですね。結構強引だと、僕は感じます。

メロディーラインありきの転調方法だと思っても良いのではないでしょうか。

コーラス

コーラス1 譜面で
pp7

キーエディターで
pp8

C→D→EmなのでⅣ→Ⅴ→Ⅵmです。

フォーファイブときたのでワンに戻りたいですが、ここでもイントロ同様6度のEmで終止しています。

明るいようで最後は落胆。コード進行だけなら落ち着いているようにも感じますが、マイナスな感情にこの曲では感じますね。

コーラス2 譜面で
pp9

キーエディターで
pp10

C→Bm→EmなのでⅣ→Ⅲm→Ⅵmです。

Dではなく代理コードのBmを使用しています。

これにより、Bm→Emで強進行が生まれ、より終止感が強くなります。

落胆が大きくなったように感じますね。

コーラス3 譜面で
pp11

キーエディターで
pp12

Am→C→Bm→EmなのでⅡm→Ⅳ→Ⅲm→Ⅵmです。

コーラス2をさらに変形させたコード進行。

ベースラインだけおっかけると、3歩進んで2歩下がる的な、進んでいるけど不安や後悔で後ろにも戻っている、そんな感じがします。

コーラスでは3パターンのコード進行が使われていますが、これも作曲者の手グセでバリエーションがついたのだと思います。中田ヤスタカ……。

↓GANOが作った作曲ツールです!↓
thumbnail

最後に

ピッチも上ずっている、コード進行も作曲者の手グセがガンガン出ている曲でした。

聴いていると音がビュンビュン飛んで複雑に聞こえますが、中身は意外にシンプルですね。

僕はのっちが大好きです。

GANO

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    作詞曲家・DTMer・WEBライター。DTMを中心に歌モノ・BGMを制作しています。シティポップ系やブレイクビーツなどを好んでます。
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