Vol.155 1つのコード進行をベースラインの変化でちょっとお遊び。『South Of The River / Tom Misch』

公開日: : 最終更新日:2018/07/23 ANALYZE

South Of The River / Tom Misch

どうも、GANO(@Past_Orange)です。

今住んでいる場所がベストな場所だと思えている人はどれほどいるのでしょうか。

田舎で育った人は、都会の生活に慣れたあと、田舎の生活に戻ることができるでしょうか。その逆も。

今回紹介するのはこの曲!


Tom Misch – South Of The River (Official Audio)

Tom Mischの2017年の楽曲です。

Tom Mischはイギリスのシンガーソングライター、トラックメイカー、ギタリストですね。若いのに多彩なミュージシャンです。

このSouth Of The Riverもトラックがシンプルで気持ちが良いですね!

South Of The Riverとは川の南側という意味もあれば、ある特定の場所を指す言葉でもあります。

Tom Mischはイギリス人かつロンドン出身なので、テムズ川より南の、南ロンドンを指しているのかもしれません。

南ロンドンはちょっと田舎? ちょっとのどかなんだとか。

では、歌詞とコード進行を勉強していきましょう!

スポンサーリンク

South Of The Riverの歌詞について

歌詞の一部を引用して見ていきましょう。

I want to stay South of the River
With the chains and the gold
We could be out here together
But, you have places to go

「South of the River」はテムズ川より南、南ロンドンということでしょう。

南ロンドンのことでもあるし、南ロンドン側から川を眺めてる、川の南側と考えるとぴったりです。

「the chains and the gold」は、ギャングスターな感じではなさそうなので、輝かしい絆と考えてみました。

みんなで一緒に南ロンドンに集まってきたのに、いつしかバラバラになっていく。そんな情景が見えます。

Watching the sunshine blaze the gray
I don’t know why you wouldn’t stay
You should come South of the River
Where the loving is gold

太陽が薄暗く照らす、という表現なので夕日にしてみました。朝日の可能性もあるな〜と思いつつも、切ない感じが夕日かなと。

川沿いで夕日が沈むのを見ているのかもしれません。こんな風景を君といつまでも見ていたかった。そんな感じ。

外の世界に出なくても、ここにいれば幸せなのに。なんで君は出て行くんだい? わけがわからないよ。

そんな、離れ離れになる友人たちや恋人を思っている曲に感じます。

取り残された自分という悲しい聴き方もできますし、南ロンドン最高だよね! という賛歌にも聴こえますね。

歌詞を書く際の参考にしてくださいね。

続いて、コード進行との関わりです。

スポンサーリンク

South Of The Riverのコード進行について

ではコード進行を見ていきましょう。

South Of The Riverは1つのコード進行を、ベースラインを変えることで2つのコード進行にしています。

コード進行1 譜面で

キーエディターで

South Of The RiverのキーはDマイナーになります。

Dm7→Bm7♭5→B♭M7/C→Bm7/A→Aaug add9なのでⅠm7→#ⅥM7♭5→Ⅵm7/Ⅶ→#Ⅵm7/Ⅴ→Ⅴaug add9です。

なにやら難しそうな字面ですね。

キーエディターを見てもらえると、そこまで大きな変化をしているわけではないことがわかります。持続音が結構ありますね。

ゆるやかな変化をベース音で複雑に見せている感じでしょうか。

半音の動きとベースのダイナミックさでバランスをとっているコード進行だと言えます。セクシーだと感じますね。

先ほども述べましたように、このコード進行のベースのみを変えて、ちょっと雰囲気の違うコード進行をもう1つ使っているんです。

コード進行2 譜面で

キーエディターで

Dm7→Bm7♭5/F→Gm9→Bm7/A→Aaug add9なのでⅠm7→#Ⅵm7♭5/Ⅲ→Ⅳm9→#Ⅵm7/Ⅴ→Ⅴaug add9です。

2小節目、3小節目のコードが違いますね。ただ構成音は変わりません。

コード進行1は不安(緊張)と緩和の繰り返しが強め、コード進行2は順次進行で流れに身を任すような感覚です。

ぶっちゃけそんな聴き心地は変わりません! ベースが自由に動いちゃってるぐらいの違いです。

コード進行1と2を入れ替えても大きく変化してるようには聞こえませんが、ちょっとした遊びとして、歌メロとの兼ね合いで差し替えてみても良いのではないでしょうか?

↓GANOが作った作曲ツールです!↓
thumbnail

最後に

こんなクールなトラックなのに、ちょっと寂しい内容の曲ですよね。

日本で言えば「木綿のハンカチーフ」のような曲なのかもしれません。

GANO

別れの寂しさを感じる曲です



仕事依頼thumbnail

スポンサーリンク

関連記事

Vol.121 一時転調とコードのスライドによって気持ちの高ぶりを表現する1曲。『Don’t Take Your Time / Roger Nichols & The Small Circle of Friends』

Don't Take Your Time / Roger Nichols & The Sma

記事を読む

Vol.70 JazzとDrum’n Bassの融合『I’ve Been Hit / Kudu』

I've Been Hit / Kudu どうも、GANO(@Past_Orange)です。

記事を読む

Vol.40 電気グルーヴ”Shangri-La”の元ネタの曲!『Spring Rain / Silvetti』

Spring Rain / Silvetti どうも、GANO(@Past_Orange)です。

記事を読む

Vol.116 JINRO のCM曲! メジャーとマイナーを行き来するアゲアゲなコード進行。 『割る! / 岡崎体育÷JINRO』

割る! / 岡崎体育÷JINRO どうも、GANO(@Past_Orange)です。 「MU

記事を読む

Vol.6 ネチネチとした感情をコード進行でも表現した楽曲。『Somebody That I Used To Know / Gotye feat. Kimbra』

Somebody That I Used To Know / Gotye feat. Kimbra

記事を読む

Vol.92 ピアノとホーンセクションがかっこいいハウスナンバー 『Mousetrap / Sounds Of Life』

Mousetrap / Sounds of Life どうも、GANO(@Past_Orange)

記事を読む

Vol.5 Earth, Wind & Fire や Michael Jacksonへのリスペクトを感じるディスコソング。『Treasure / Bruno Mars』

Treasure / Bruno Mars どうも、GANO(@Past_Orange)です。

記事を読む

Vol.47 曖昧で不確かで言葉にできないような感情。『なんだかもう / Kidori Kidori』

なんだかもう / Kidori Kidori どうも、GANO(@Past_Orange)です。

記事を読む

Vol.142 Funkyなワンコードからリハーモナイズし哀愁あるサウンドに変化する曲。『Souffles H / MONDO GROSSO』

Souffles H / MONDO GROSSO どうも、GANO(@Past_Orange)で

記事を読む

Vol.46 真夏に起こる切ない雪のラブストーリー。『Snow Men / 星野源』

Snow Men / 星野源 どうも、GANO(@Past_Orange)です。 7月21日

記事を読む

  • gano1
    作詞曲家・DTMer・WEBライター。DTMを中心に歌モノ・BGMを制作しています。シティポップ系やブレイクビーツなどを好んでます。
    詳しくはこちら
  • 仕事依頼
    thumbnail