『ブレードランナー 2049』は虚無を感じる映画。美しい映像で魅せる偽物とモブの存在。
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最終更新日:2019/01/20
映画
『ブレードランナー 2049』で虚無を感じる映画
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
2017年10月27日に日本でも公開となった『ブレードランナー 2049』を観てきました!
美しい映像と、ストーリーに心奪われる作品でした。
では、まず予告編を観ていきましょう!
映画『ブレードランナー 2049』予告2
リドリー・スコットが作り上げた『ブレードランナー』をしっかり受け継いだ作品だとわかりますね。
SF映画の金字塔、サイバーパンクはブレードランナーの世界観を指すなど、『ブレードランナー』は根強いファンがいます。
そのファンが35年間待った続編は、果たして満足できる作品になっているのでしょうか?
『ブレードランナー 2049』はこんな人にオススメ!
どんな人が『ブレードランナー 2049』を楽しめるか考えてみました。
・ブレードランナー好き、サイバーパンク好き
・もしかしたら自分は特別な存在かも? な人
・美しい映像にのめり込みたい人
こんな感じ。
『ブレードランナー』好きにオススメって当たり前だろ! なんて声が聞こえます。あなた、本当にそう言えますか?
根強いファンがいる作品ほど、待たされる期間が長いほど理想は高くなり期待値が上がります。
「2」とつく映画ほどコケがちなのは、その期待値を超えられないからなんですよね。
でも大丈夫、『ブレードランナー』&サイバーパンク大好きな人、ぜひ観てください! これが2017年の技術で観るブレードランナーの世界です。
そして「もしかしたら自分は特別な存在かも?」とちょっとでも感じたことがある人。観ましょう!
自分は他の誰かとは何か違うな、ちょっと特別かも? そんな気持ち、実はいつも抱いていたりしません? その気持ちに応えてくれるはずです。
そしてそして、映像美しすぎ! これは予告でも十分伝わってるはずですね。その美しさに、ちょっと泣きます。
『ブレードランナー 2049』の前に予習しましょう!
いきなり『ブレードランナー 2049』を観ても大丈夫なようにできてはいます、というかよく分からないことが面白さでもあるのがSFなんですよね。
でもね、やっぱり前作観てから観ましょう。ハリソン・フォード出てきますし、予習大事です。
前作観てオッケーとはいきませんね。
公式で2019年を舞台とした『ブレードランナー』から2049年を舞台とした『ブレードランナー 2049』をつなぐ前日譚が3つ公開されています。
【渡辺信一郎監督による前奏アニメ解禁!】「ブレードランナー ブラックアウト 2022」
【『ブレードランナー 2049』の前日譚】「2036:ネクサス・ドーン」
【『ブレードランナー 2049』の前日譚】「2048:ノーウェア・トゥ・ラン」
全部観ても30分ほどなので、ぜひ観ましょう。
前作と前日譚を観てから、ぜひ『ブレードランナー 2049』をご鑑賞ください。
ではネタバレを含んだ感想を載せていきますね!
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『ブレードランナー 2049』でデッカードはレプリカントだったのか?
まず前作からのファンとしては、デッカードはレプリカントだったのか? が気になりますよね。
夢の中で出てきたユニコーンをガフが知っていたと、落ちていた折り紙から感じ取るというラストの『ブレードランナー』、僕はデッカードはレプリカントだったと解釈しています。
これ意見が分かれますよね! 血に染まった水で顔洗っちゃう感じも人間ではないなと僕は解釈してて。
ただそれはリドリー・スコットが途中からそうしたからつじつまが合わないなんてこともあります。
じゃあ『ブレードランナー 2049』でのデッカードはどうだったか?
ここも正直ビミョー。意見が分かれそう。
年老いていく容姿は人間っぽいですよね、レプリカントが年老いていくのかどうかも定かではないのでなんとも言えませんが。
でも年老いているにしては、Kとの格闘シーンではかなり動けてます。
すみかにしているホテル中に仕掛けをセットしていて、その位置を常に覚えて30年間生活するのも人間離れ。
2049年には微量になっていたにせよ、放射能濃度の高い場所で1人生活し続ける様も人間では無理だと感じます。
やっぱりデッカードはレプリカント。リドリー・スコットの思い描くデッカードとしてそこにいたということですね。
ネクサス6型の寿命が4年だったのに対し、デッカードは30年経った今も生きている。ということは新型? ネクサス7型なのかも。
『ブレードランナー 2049』で『ブレードランナー』が深まっていく
『ブレードランナー 2049』を観て嬉しくなったのがですね、前作『ブレードランナー』では疑問に思わなかったことが疑問に変わっていく部分なんです。
デッカードはレプリカントで4年しか生きられないレイチェルに恋をするんですよね。
そして『ブレードランナー 2049』ではレイチェルが子供を産んだという事実が主軸となっています。
レイチェルはネクサス6型とは違う、子供が産めるレプリカントとして作られていたのかも。
子供を産むために父親が必要だったはず。自家受精では人間らしくはならないですから、男女ペアで妊娠できると僕は考えます。
ということは、デッカードがレイチェルに恋をしたのは偶然ではなく必然だった?
Kはレイチェルとデッカードのやり取りを聞いて、女が気を引こうとしていると発言しています。
さらにウォレスは、レイチェルに一目惚れするようデッカードが操作されていたのではと言っていますね。
『ブレードランナー』での2人の出会いは、すべてタイレル社が仕組んだことだったんじゃないか。
なんと!! すべて仕組まれていたなんて!!
ラブロマンスだと思っていた部分が、恋に落ちるという感情部分は芽生えたのではなくシステムだったとは。
レプリカントはレプリカント、人間にはなれない。模造品である、そう叩きつけられたような気分です。すごい!
『ブレードランナー 2049』でレプリカントから生まれた子供は何だったのか?
レプリカントから子供が生まれた。
その秘密を知りたいウォレスと、その事実を消したいLA市警。
結論から言いますと、レプリカントに作り物の過去を与えるアナ・ステリン博士がデッカードとレイチェルの子供だったわけですよね。
レプリカントから生まれたアナ・ステリン博士、彼女はレプリカント? それとも人間?
この謎も明確にならず作品は終わります。
レプリカントと人間の中間、いいとこ取りならばニュータイプみたいな存在なのかもしれません。
アナ・ステリン博士がデッカードの子供であることは、レプリカント解放軍しか知らない事実ですよね。
奇跡の存在、自分たちが人間に近づく第一歩のような存在を解剖なんてするはずないです。
解剖したいウォレスにも、今後バレることはないでしょう。
アナ・ステリン博士だけ守ろうとするあたり、レプリカント解放軍は旧型も最新型も子供が産めないんですよね。
レプリカントが産んだ最初で最後の子供です。
レプリカント側からは希望と崇められ、ウォレス側からはレプリカントを生み出すための大切な同業者。
人間とレプリカントに使われる神のような存在にさせられた、そう感じます。
ガラス張りの部屋でしか生活できない、悲しい神様。デッカードは今後どうするのでしょうか?
なぜアナ・ステリン博士は自分の記憶だと言わなかったのか?
ちょっと疑問に思っていたので。
なんでKの記憶を見た際に、これは私の記憶だとアナ・ステリン博士は言わなかったのか?
これは本当の記憶だなんて遠回しに言わずとも、私の記憶だと言ってくれればKは苦しまずに済んだはずです。
なぜ遠回しの言い方をしたのか?
アナ・ステリン博士の記憶にはその過去はなかったからなんですよね。
そういえばアナ・ステリン博士は「宇宙に移住する前に自分だけが病気になってしまい、両親がこの部屋をくれた」と言っています。
母親であるレイチェルは出産後死んでいますし、デッカードは生まれる前に身を引いています。
アナ・ステリン博士が信じている過去もまた、操作された記憶だったわけですね。
だからKが持っている過去の記憶が本物だとわかっても、自分のものだとはわからなかった。
悲しいですね〜。
『ブレードランナー 2049』で主人公Kは主人公ではなかった
長くなりました。本作の主人公、ライアン・ゴズリング演じるKのお話!
Kは主人公ですが、主人公じゃなかった! ここが辛い! あぁ辛い。
ずっとレプリカントとして安月給で旧型を始末する日々。
そこになぜか自分が特別な存在かもしれないという展開。動揺しつつも、人間に近づけるかもしれないと、脇役ではなく主役になれるかもと少しだけ希望を見出してましたよね。
なのに、なのにレイチェルが産んだのは女の子だなんて。
いざという時のコピーだったってことですよね。
もしかしたら、ラストKが死んだ(と僕は思ってます)あと、ウォレスにレプリカント解放軍はレイチェルの子供はKだったと言うかもしれません。
最初から最後まで使われる道具のような存在。本物になりたかった偽物。
人間に近づけようとすればするほど、人間との違いが出てしまう。
人間だと思って生きてきたデッカードがレプリカントだった前作があるので、レプリカントとして生きてきたKが人間だったと言うオチも待っていたのですが、レプリカントでした。
しかも脇というよりモブ。モブゴズリングで虚無ゴズリングですよまったく!
自分はやっぱり作り物なんだ、ジョイに対する感情もデッカードを父親だと思いたいという感情も、すべて作り物の感情なんだと悟ったKの悲しさ。
ラ・ラ・ランドでもラストは悲しみゴズリングだったけど、今回も辛みゴズリングやったね、、、
『ブレードランナー 2049』のジョイは今後の現実でも出てきそう
Kの帰りを待つ優しいホログラム、ジョイ。魅力的でしたよね。
予告だと生身の人間かレプリカントのようでしたが、劇中ではスケまくり、ホログラム感満載。だから悲しい。
愛するKを触ることすらできない、他人の体を使って愛を育もうとするシーンでは、なんとも言えない切なさがあります。
雨の中屋上で愛を確かめ合っている最中に、マダムからの連絡で停止するジョイ。可哀想すぎ。一番辛いのはKなんですけどね。
壊れたら復元できない、持ち運べる状態だけでそばにいたいとKに言いますよね。
本当の人間の女の子だって、万が一のことがあったら死んでしまう。私もそうなりたい。
そんな献身的な姿勢と、最後死を悟った時Kに「愛してる」と叫ぶところ。悲しくて涙が出てきます。
最近ではアニメキャラクターや過去の偉人をホログラムでその場にいるように再生するなんてこともできる世の中になってきました。
ジョイのような存在を生み出していると考えると、悲しい未来を招いているだけなのかもしれません。
もっとも悲しいのはKだけどね
えぇ、Kが一番悲しいですよ。
ラヴがウォレス社のお客にレプリカントは高い的なことを言ってますよね。
生身のレプリカントは高い、だからKはホログラムであるジョイを購入したんです。お金がなかったんだよねきっと。
データであるジョイ、でもKにとっては唯一の存在。
あなたは特別な存在よ、だから名前をつけなきゃ。ジョーはどう?
なんて言っていて、Kはやめろとその場では言っていますが、のちにデッカードに名前を教えろと言われ「ジョー」と答えてますよね。
なんだかんだ、ジョイに名付けられたその名を好んでいたはずです。
でも、そのジョイが消滅し、自分もただのモブだったとわかったあと。
巨大なホログラム広告のジョイがKに話しかけます。
「今日はどんな日だった?」
毎日ジョイがKをねぎらうように言っていた言葉です。
愛を込めて聞いてくれていた言葉、データだったんだと。
そして追い討ち、「あなたはGood Joe(いい人)ね」、、、
good joe(グッド ジョー)って、good job(グッドジョブ 良い仕事)をもじった言い回しですよね。
愛するジョイが名付けてくれたその「ジョー」という名前さえも、データだった。量産されるジョイが男性につける名前だったわけです。
わかってたはずなのに、自分もレプリカントで、モブで、愛した相手もただのデータ。
辛い、辛すぎます。
エンドロールでも「ジョー」ではなく「K」となっていました。辛すぎる、、、
作り物とデータの恋、こんな悲しいなんて聞いてませんよ。
最後に
さすがドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、圧倒的美しさと情報量の映画でした!
正直まだまだ書き足りないんですが、どこで終わっていいかわからないのでこの辺にしておこうと思います。
『ブレードランナー』を見返したくなる映画でしたね。
レプリカントを奴隷として使いたい人間、偽物の主人公レプリカント、モブのレプリカント、ホログラム。
あなたは一体どのような存在なのでしょうか?
GANO
大勢のうちの1人を追ったらこのスケール
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