映画『アド・アストラ』 孤独になって現れる本性を描くSF。優秀な人材ってなんだ? 自分の弱さを知り、0に戻してから自分を再構築する
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映画
映画『アド・アストラ』 孤独になって現れる本性を描くSF
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
2019年9月20日に日本公開となった『アド・アストラ』を観てきました!
ブラッド・ピット主演の宇宙モノという印象が強く打ち出されていますね。
では、まず予告編を観ていきましょう!
映画『アド・アストラ』予告編
父親との対峙がメインとなりそうな予告です。
結構アクションがありそうな宣伝ですよね。
映画『アド・アストラ』はこんな人にオススメ!
どんな人が『アド・アストラ』を楽しめるか考えてみました。
・安定した生活を維持している人
・孤独を受け入れている人
・未来の宇宙開発を体感したい人
こんな感じ。
安定した生活を維持している、人間関係上手くこなしてると”思っている”人ですね。主人公ロイもそんな人なんです。
そして孤独を受け入れている人。それって本当に孤独ですか? 本当の孤独を味わうために、宇宙に行っちゃいましょう!
最後に宇宙開発大好きさん。そう遠くない未来の宇宙開発を体感できます。そうなるかはさておき、実際に開発している、していたものに基づいてお話が作られています。
ではネタバレを含んだ感想を載せていきますね!
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『アド・アストラ』 宇宙モノだからこそ描ける人間の内側
主人公ロイによる客観的な語りが続く本作は、とっても広い宇宙空間でとっても小さな個人の内面を表現した作品です。
僕はどうあるべきだろう? 僕は孤独でいたいのか、いたくないのか。目指すものはなんだ?
と自問するような映画です。すごく個人的、でもその個人からすれば宇宙以上に謎めいた部分を扱っています。みんな自分のことわかってるようでわかってないってこと。
そういった非常に抽象的な部分をわかりやすく描くために、宇宙という未知で広く夢と希望と恐怖が混在する場を使用しています。
最近ですと母子の愛、母親の記憶を宇宙人とのファーストコンタクトで描いた『メッセージ』
重力や時間は相対的な存在であり、愛こそ絶対的な存在であることを描いた『インターステラー』
生と死、母と子、生命自体を描いた『ゼロ・グラビティ』
などですね。どれも宇宙の神秘を解き明かす! みたいなことではないんです。
宇宙空間でちっぽけで無力な自分を感じ、人間ってなんだ、自分ってなんだと考えるにはSFってぴったりなんですよね。
本作はブラッド・ピットの一人芝居と言っていいほどロイの内面だけを描いています。超魅力的!
もし本作を見てピンとこなかったら、今一度、人間の内面を描いた映画なんだと思いながら観てはいかがでしょうか?
『アド・アストラ』 優秀な人間と評価されるとはどういうことか
冒頭からロイは非常に優秀な人材として評価されています。
感情を表に出さず脈も乱さない、どんな時にも冷静沈着で命令は絶対聞く、お父さんとの会話を全部決められててもOK。
だから優秀な人材なんですね。本人もそれが安定する手段であって、それでいいと考えています。
映画内だけでなく現代もそうですよね。優秀な人、良い人ってつまりは指示する側にとって都合の良い人。マシーンみたいな人なんです。
完璧に自分の心を偽り、みんなに壁を作って人間関係を希薄にし必要最低限の指示で動く方が楽なんですよ。それで評価も高ければ文句なし。
って、それでいいのかよ! 俺は一体なんなんだ、なんのために生きているんだ! となるのが本作の面白い部分です。
父親クリフォードはロイと同じく自問自答した側の人間ですね。地球や人間のルールや倫理感から遠く離れた宇宙という空間で、仲間が死のうとなんだろうと自分の欲望のために突き進んだ。
宇宙から見れば人間はちっぽけだと言いますが、本当に何もない誰もいない世界にいたら欲望むき出しの怪物にもなり得ますよ。それが人間の本性です。
じゃあその完全孤独な空間において、ロイはどうするのか。
ロイはやっぱり、人と人のつながりを求めて、愛を求めて地球に帰るんですね。エヴァンゲリオンのシンジくんみたいなものです。
この映画で伝えたいのは、優秀であるって本当に優秀? もう一度0に戻して考え直そうよってことだと思います。
何かおかしい、当たり前を当たり前と思わず考え直す。そうできると新しい自分に出会えるかもしれません。
『アド・アストラ』 賛否両論の理由は?
本作は日本で賛否両論。僕はじんわり心に響いた良い映画だったと思っている側なんですが、そう評価していない人も多いみたい。
なんでかな〜とちょっと考えてみましたよ!
よく言われる予告詐欺になっている
これは本作だけでなくよくあるパターンですね。どこから詐欺とするかは悩ましい部分なんですけど。
劇場で流れるものも含め予告を見ていると、どうも父親が地球を滅ぼそうとするやばいやつで、息子がなんとかするって感じになってるんですよね。
すごいアクションとミステリーと、父親と息子の対決! みたいに写ってしまいがち。
全然そんなんじゃなくて、すごく静かで内面的な映画だったわけで。それで「思ってたんとちゃう」って評価で批判する人が結構います。
「思ってたんとちゃう」かっても、頭を切り替えて楽しんでほしいのですが、そういう切り替えられる層を集めるような予告になっていないと感じます。
とにかく客を集めたい! と思ってこういう宣伝方法を取るのでしょうが、長期的にみるとむしろマイナスなので、まっとうに予告をお願いしたいですね。
寝てしまったからという感想が多い
感想の中で一番多いこの言葉! 僕は怒ってますよ!
あのね、寝てたら、面白いかどうか、わからないでしょ!!
派手なアクションがあったら面白い映画なら、ずっとジェラルド・バトラー映画だけ観といてください。
派手さがなかったら寝ちゃうって、赤ちゃんじゃないんだから。
結局何が言いたいのかわからないという感想も多い
これはSF映画に多い感想ですね。
僕もスッカスカの劇場で『メッセージ』観たんですが、僕は号泣してたんですけど周りから「意味わからないw」「結局何ww」みたいな声がガンガン聞こえてきまして。
宇宙人がなんだったのか、なぜ来たのかは重要じゃない映画だったのですが、そこがわからない人が多かったみたいです。
本作もそうですね。ほとんどロイの1人語りなので、静かで説明も少なくわからない人にはわからない。
わかったら面白いので、繰り返し観て、解説を読んでもう一度チャレンジして欲しいですね。
という感じでして、ちゃんと内容がわかれば面白い映画です!
ちょっと評価低いのが寂しいので書いてみました。
最後に
宇宙空間に置かれた人間の孤独感が伝わってくる映像で非常に良かったですね。
ブラッド・ピットの演技も、当たり前ですが良かった。
GANO
ドッペルゲンガーは本当にいるんです!
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