映画『シェイプ・オブ・ウォーター』は大人の女性のファンタジー。愛は水のように形を変えて寄り添う。

公開日: : 最終更新日:2019/01/20 映画

映画『シェイプ・オブ・ウォーター』は大人の女性のファンタジー

どうも、GANO(@Past_Orange)です。

2018年3月1日に日本でも公開となった『シェイプ・オブ・ウォーター』を観てきました!

60年代アメリカを舞台とした怪物映画ですね。

では、まず予告編を観ていきましょう!


THE SHAPE OF WATER | Official Trailer | FOX Searchlight

ホラー要素もありそうな雰囲気が漂ってますよね!

アメリカではR18、日本でもR15となっています。

『シェイプ・オブ・ウォーター』はこんな人にオススメ!

どんな人が『シェイプ・オブ・ウォーター』を楽しめるか考えてみました。

・人ではないものたちの物語が好きな人
・グロエロ系が大丈夫な人
・孤独を感じて生きている人

こんな感じ。

怪物映画ですので、ウルトラマンシリーズとかゴジラシリーズとか、怪物が出てくる映画が好きならオススメできます。

怪物ってその存在だけで敵にされてしまいますからね。そんな部分に疑問を持っている人は観てみると良さそうです。

そしてグロいものとエロいものが大丈夫な人! R15ですからね。一部にモザイクがかかっているのでR18からR15に下げていますが、カットなしなのでほぼR18なようなものです。

でも思ってるほどグロエロ強くないですよ? 大人なら大丈夫。高校生も、大丈夫だよもちろん。観よう高校生、観て優しい気持ちになろう。

最後に孤独を感じて生きている人。その孤独感をなくせるかはわかりませんが、心にくるものがあると思います。

ではネタバレを含んだ感想を載せていきますね!

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『シェイプ・オブ・ウォーター』は『美女と野獣』の別解釈


出典:YouTube

ディズニーがアニメや実写で映画化している『美女と野獣』は有名ですよね。


子供から大人まで楽しめ、しっかりメッセージもある美しい映画です。

美しい映画ではありますが、一点において批判の声もある映画です。

そう、野獣が最後イケメン王子様になっちゃうところですね。

「なんで野獣のままじゃ駄目なんだ! 結局イケメンに限るって話なんだろ!」

おぉ、そんな悲しい解釈。わからなくもない、「ただしイケメンに限る」の言葉に苦しめられてきた男たちの悲しい叫びが聞こえます。僕は最初から諦めていたよ。

「あの野獣のモフモフが好きだったのに! イケメンよりモフモフ!」

人ではないもの、人外キャラなんて言いますよね。人外キャラ好きの人たちの叫びも聞こえてきます。あんな怖い見た目なのに、匂いを気にして風呂入ってるところとかいいですよね。

なぜ怪物は怪物のまま愛してもらえないのか。そこが問題なんです。

「ベルは野獣の心を好きになったのだから、見た目が変わろうと愛は変わらない」 その通りです!

「心を好きになったんだから、見た目が野獣のままでもいいだろ!」 そ、その通りです、、、

このバトルに終わりはありません。だから別解釈の『シェイプ・オブ・ウォーター』があるのです。

美女じゃなくても、イケメン王子にならなくても、掃除係のおばさんと半魚人がそのままで幸せになれても良いはずです。

ありのままの自分を好きになってくれる人がいたら、幸せなんですよね。

見た目が変わっても、変わらなくても真の愛は続くのです。

『美女と野獣』と『シェイプ・オブ・ウォーター』は、愛の形を別解釈で表現した作品だと言えますね。

『シェイプ・オブ・ウォーター』は大人の女性のファンタジー


出典:YouTube

先ほどの「美女じゃないと幸せになれないのか!」部分にもかかっていることですね。

大人の女性だって素敵な恋をしたい! そんな願望を叶えてくれるのも『シェイプ・オブ・ウォーター』です。

主人公イライザの首には左右3つの切り傷があり、声が出せない原因とも言われています。

幼い頃から首に傷、家族もいないし声も出せない。こんな人生で1人のまま死んでいくのかしら。僕だったらそう考えながら生きていそうです。

そこに現れる半魚人。声も出せないしエラ呼吸だし、違う2人だけど似た者同士ですよね。

ラストではイライザの首の傷がエラとなり、海の中でも呼吸ができるようになります。

まるで半魚人と出会うことが運命であったかのような展開です。この忌々しい傷も、もしかしたら幸せを掴むために必要なものかも?

そう考えるといつまでも夢を見続けることができるじゃありませんか。

いつか白馬に乗った王子様が迎えに来てくれる、そんな展開を待っている大人の女性が幸せになってもいいんだよ!

『シェイプ・オブ・ウォーター』は大人の女性のファンタジーなんだと思いました。可愛くて素敵なお話だなと思いましたよ。

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『シェイプ・オブ・ウォーター』の孤独な人たち


出典:YouTube

大人の女性と怪物のラブストーリーではありますが、孤独な人たちの物語という視点でも観ることができます。

1960年代のアメリカという点がより孤独にさせています。

言葉を発せないイライザ

主人公イライザは孤児ですので家族はいません。

さらには首に傷があり、その影響か声を発することができず、人から差別の目で見られていたようです。

それでも毎日淡々と生活している姿は健気で、健気な分その裏にある孤独感を感じてしまい悲しくなりました。

友人ジャイルズに向かって「彼(半魚人)は口のきけない私をありのままで見てくれた」と訴えるシーンは涙なしでは見られませんでした。

偏見なく接してくれる、心を見てくれる相手に惹かれていくのは当然ですよね。泣けてくるぜ

研究材料にされる半魚人

半魚人もまた孤独な存在です。

よくわからない生物(半魚人からしたら人間は異様な存在でしょうね)に連れられて、狭い水槽に閉じ込められる。

電流を流されたりボコボコに殴られたり、誰にも助けてもらえず苦しい思いをし続けたのでしょう。

この映画では怪物を怪物として捉えるのが一番の正解だとは思いますが、例えば奴隷として連れてこられたアフリカの人たち、ユダヤの人たちとも重なる部分があります。

同じ人間とは見てもらえず実験道具として扱われた過去もあり、その人たちのメタファーとも言える存在です。

ゲイのジャイルズ

イライザの隣人であり友人のジャイルズも孤独な存在ですね。

会社から首にされ、外注として絵を描くも蹴散らされる。やるせないです。

そして恋愛対象が同性ということでも孤独を感じていますね。

気になるパイ屋の男性は黒人差別もゲイ差別もする理想とは懸け離れた存在でした。

理想は理想のままで、飛び越えてしまうと現実を叩きつけられて傷つけられてしまう。

傷つくくらいならずっと部屋に閉じこもっていよう。そんなことをジャイルズは感じているのかもしれません。

『シェイプ・オブ・ウォーター』で一番の孤独を味わい続けるのはジャイルズかもしれないですね。

黒人のゼルダ

イライザの同僚のゼルダはおしゃべりで、声の出せないイライザとは名コンビですね。

明るくたくましいゼルダも、ストリックランドから差別的な発言を連発されます。

掃除係の同僚や黒人たちは仲良く接してくれますが、1960年ですからまだまだ差別されていたと思います。

その差別が、今も残っているのはおかしなことですが。2018年現在、隠れていた差別がまた出てきている感じがありますよね。

ゼルダのような孤独な思いをしている人がまだまだいるってことです。

ソ連とアメリカの間に挟まれるホフステトラー博士

ソ連のスパイとしてアメリカに送り込まれたホフステトラー博士、彼もまた孤独な存在です。

ソ連からは半魚人を始末しろと言われ、アメリカ(ストリックランド)からはお前が犯人じゃないかと疑われ。

ソ連とアメリカ、両方から睨まれ、それでも半魚人を逃がそうと奮闘する姿は完全なる正義ではないですが応援したくなる存在です。

スパイですから覚悟していたとは思いますが、最後は雨の中いたぶられ死にます。

スパイという存在はいつも孤独ですよね。

水は怖く優しい愛のようなもの


出典:YouTube

以前グアムに遊びに行った時、シーウォーカーって海の中を歩くマリンスポーツをやったんですよ。

顔全体を覆う宇宙服の頭部分だけみたいなやつをかぶって、そこに酸素が送られるんですが、その重さだけで海底を歩くんです。結構楽しかったですよ。

海に入る前は、足をつけたり腰まで浸かったりしているときは海の水がちょっと冷たいんです。

だけど海底まで沈んで全身海水に漬かると、なんと全然寒くない。海の中という感覚もなくなってですね、そこが本来の世界のような不思議な感覚なんです。

そしてなんだか居心地が良い。これって生まれる前の、お母さんのお腹の中のような感覚だからでしょうか?

体にぴったりと隙間なく寄り添ってくれる水、どんな形だろうと包み込んでくれる、完璧なる愛とは水みたいなものなんでしょうね。

ただ優しいだけでなく、時に恐怖もあります。海の中では息ができないし、体も十分に動かせない。声も届かない。

水は優しく、ときに厳しく。愛は水のようなものだと、ギレルモ・デル・トロ監督は言いたかったのかもしれませんね。

↓GANOが作った作曲ツールです!↓
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最後に

ストリックランドのこと全然出しませんでしたが、あの嫌なやつ感良かったです。

悪役は悪役らしく、同情を買わない清々しさがありラストにもスッキリです。家族がかわいそうではありますが。

万人受けはしない映画ですが、素敵な映画だなと思いました。

GANO

かっこよすぎる2018年のヒーロー!



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    作詞曲家・DTMer・WEBライター。DTMを中心に歌モノ・BGMを制作しています。シティポップ系やブレイクビーツなどを好んでます。
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