映画『アス』 自分自身が襲ってくる! 環境が違えば自分がモンスターになっていたかもしれないという事実からは目をそらしちゃいけない
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映画

映画『アス』 自分自身が襲ってくる!
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
2019年9月6日に日本公開となった『アス』を観てきました!
原題は『Us』ですね、私たちってことです。それ以外の意味も?
では、まず予告編を観ていきましょう!
『アス』予告編90秒
怖いですね、ドッペルゲンガーです!
ジョーダン・ピール監督のホラーを使った社会派な映画となっているそうですよ。
映画『アス』はこんな人にオススメ!
どんな人が『アス』を楽しめるか考えてみました。
・ホラーコメディな人
・ドッペルゲンガーとは何かを知りたい人
・アメリカをもっと知りたい人
こんな感じ。
ホラーでありコメディです! 恐怖って一歩引くとコメディになるんですよね、そのバランスが絶妙な作品となっていますよ。
そしてドッペルゲンガーとは何か。本当にいるんですよ、ドッペルゲンガー。ほんとすぐ近くに。
最後に、アメリカを知りたい人。アメリカを知ることで、今の日本のこと、これからの日本のことも見えてきます。
ではネタバレを含んだ感想を載せていきますね!
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『アス』 もっとも怖いのは自分の中にある狂気
原題は『Us』です。予告も含め、ドッペルゲンガーが出てくるホラー映画であることがわかります。
自分自身が怖い、自分で恐怖を作ってしまっているってことですね。
木目が人の叫び顔に見えて怖かったり、カーテンの揺れが人が動いているように見えたり。
大したことないことでも、思い込みで世界を歪めてしまう。見たいように見てしまう、自分の無意識な部分がもっとも怖いんですよね。
アデレードが実は地下で育ったレッドであったというラストを迎えますが、そのことに気づいた本人も、きっと息子のジェイソンもそのまま生きていくでしょう。
都合よく解釈したり、見て見ぬ振りをしたり。無関心がもっとも怖いことだとジョーダン・ピール監督は言いたいのではないでしょうか。
前作『ゲット・アウト』では、人種差別をコミカルに描いていました。
本作は富裕層と貧困層の対立を生み出す自分たち自身をコミカルに描いています。より一歩踏み込んだ、より内面を描いていると感じましたね。
『ゲット・アウト』を観てない方はぜひ観てください!
『アス』 何もしていないことは罪かもしれない
私たち自身を指すUsであると同時に「United States」の頭文字でもある。つまりアメリカ自体を描いている映画なんです。
86年のテレビCM「ハンズ・アクロス・アメリカ」はアメリカを西から東まで人が手を繋いで貧困層を救おうという慈善イベントが流れる。
実際に行われたイベントだったんですが、これが大失敗でお金は集まらなかったそうです。
そりゃそうだ、なんで手をつなぐ必要があるんだ、その時間があったら他にやることあるだろ! ってのがジョーダン・ピール監督の言い分。確かにね。
日本でも24時間走ったりしてますが、あれも同じようなもので本当の狙いは救済ではなくイメージアップだったりします。
イベント後も富裕層減税と福祉削減が行われ、貧困層の増加、富裕層と貧困層の格差が広がり、アメリカ全体で手を繋ぐどころか2つに割いちゃったみたいです。
これがアメリカの現状。ってなんだかこれ、日本の現状とそっくりではないですか?
この世は実力社会、努力してのし上がれなかったやつのことは知らない。タピオカミルクティ持ってインスタ映え狙うけどカロリー高いからほとんど飲まないでプラスティック容器ごとそこらにポイ。
僕はいっぱい稼いでいるから消費税がどれだけ上がろうと関係ないし、選挙も興味ないね。
なんて言ってると、自分とそっくりな、でも苦しんでる人に襲われるかもしれませんよ。
自分はたまたま恵まれていただけ、だから穏やかに生きている。そう思うともうちょっと世の中に目を向けなきゃなと思えますよね。スマホばっか見てる場合じゃない
アメリカの問題を扱った映画は日本にすぐ置き換えられるなと、いろんな映画を観るたび感じます。
『アス』 便利なものは凶器になる
本作で印象的なのはハサミですよね! ピカッと光ってシャキーンと鳴るハサミ、「切る」って言葉もなんだか怖い〜。
どこの家庭にも普通にある、とっても便利なハサミ。我が家にも6個ぐらいあるかな、でかいやつも2個ぐらいあります。
左と右の刃が離れたりくっついたり、本作のドッペルゲンガーのようですよね。もともとくっついていたものを断ち切ってしまう、格差が広がるって意味にも取れます。
超便利でどこにでもある道具、それは一歩間違えば人を殺す凶器になり得るんです。
ハサミだけではないですね、料理に使う包丁とか、道路を走る自動車とか。
危険はすぐ近くにあるんです、少し違えば誰かの命を奪う道具がいっぱいあるんですよ。
その事実を忘れずに過ごせているか。交通事故を起こした加害者を責めている人も、いつ自分が加害者側になるかわかりませんよ?
襲ってくるのは自分自身、『アス』は誰にでも当てはまる映画なんです。
最後に
しっかし1人2役なんですけど、全然違くてびっくり! 当たり前だけど俳優さんってすごいですね。
怖いんだけど、観終わると爆笑しちゃうジョーダン・ピール作品、大好きです!
GANO
もしものストーリーを楽しもう!


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