『ラ・ラ・ランド』は心をえぐられる! 夢を見せることで理想と現実のギャップを叩きつけてくる映画

『ラ・ラ・ランド』は心をえぐられる!
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
2017年2月24日に日本も公開となった映画『ラ・ラ・ランド』を観てきました!
ゴールデン・グローブ賞やアカデミー賞で多く部門を受賞した話題作です。アカデミー賞の作品賞のくだりは拍子抜けしましたが、あれも演出じゃないか? という声も聞きますね。
感想としては「音楽最高! 映像も美しい!! つ、辛い、辛すぎる……」といった感じ。この映画、涙腺をガンガン攻撃してきます!
まず予告編を観てみましょう。
「ラ・ラ・ランド」本予告
映画館で観る前は予告を観て「おぉ〜楽しそう!」という感じだったのですが、観終わってから予告を観ると「つ、辛い。なんて悲しい予告なんだ……」と真逆の感想が出てきます。
では、ネタバレ大有りの本編感想をつらつらと書いていきましょう。
あらすじなんかはググればいっぱい出てくるのであえて書きませんね。というか映画観ないでこの感想読むのはダメだから! 絶対劇場に足を運んでくださいね!!
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『ラ・ラ・ランド』で号泣! こんな場面で泣きました
『ラ・ラ・ランド』は後半にかけてドンドン観客を悲しい気持ちにさせていく構成になっているのですが、僕の場合は最初から号泣。たぶん音楽やってて男だったらみんなそうなるんじゃないかと思いましたね。
夢追い人の辛さがよく分かって泣いた
女優を目指すミアがオーディションに落ちまくるシーンは泣けます。たった一言で帰らされたり、オーディション中に遮られたり。
オーディションではなく自分で脚本を書いて一人芝居をしよう! と準備するも、小さな劇場にお客がパラパラといるだけ。しかも客からの悪評が聞こえるなんて……。「もうすべて終わったの、もう恥をかくのはごめんよ!」と実家に帰るミアの辛さがひしひしと伝わってきます。
弁護士になる勉強を中断して大学を中退してまでなりたかった女優業。心が折れてまた勉強に戻る。かなり現実味があってえぐられます。
そしてジャズピアニストとしてお店を開きたいセブ。日雇いの仕事ばかりで、好きな曲も弾けず苦悩するセブの姿は涙をそそります。
資金調達のため、そしてミアのために好きではない音楽を演奏する。本人的にはゴリゴリのジャズが弾きたいんですが、時代はもっと違うものを求めている。ジョン・レジェンド演じるキースの「革命は新しいものがあってこそ」という言葉も嘘ではないし、ジョン・レジェンド自体そういったミュージシャンなので説得力がありました。
お金がなくて店を開けない、お金があっても忙しくて店は開けないしミアにも会えない。辛い、辛すぎる。
周りの意見なんか気にするな、自分が良いと思うことをしよう! と2人とも奮いたつのですが、やはり周りから認められなければ成り立たない職業です。そのギャップに本人たちも辛くなってしまう。
誰もが一度は夢を持っていたはず。だから共感して泣いてしまうんですね。
夢は叶ったのに恋は実らなくて泣いた
結果的に一旦の別れをし5年、ミアはハリウッド女優に、セブはジャズのお店を出すことに成功します。
しかし、ミアには新しい旦那と子供もいて。たまたまセブのお店に来てしまう。店名はミアが考えた「セブズ」、あんなに拒んでいたのにセブはミアのことを想い「セブズ」とつけてる。そして旦那と一緒にいるミアを発見し「……ようこそセブズへ……」と紹介。もう悲しすぎる! 男はいつでも待っているばかりなのかい……。
そしてセブは2人の思い出の曲を演奏します。その曲を聴きながら、理想的な流れ、2人が別れなかったらどんな5年間だったかをミアは夢想します。ここで大号泣!
もしあの時キースとまともに話さなかったら。もしあの時ミアの一人芝居を見に行っていたら。もしあの時パリについていってたら……。
ミアは女優として成功、セブもジャズバーでピアノ演奏、子供を産み幸せな家庭を築き、フラッとジャズの流れるお店に入る。
理想的であるそのストーリーは、絶対ありえないとわかるので泣けてきます。だってキースと仕事をしなければ資金源はなかったし、ミアはパリで失敗するかもしれない。セブがお店を開かなければそこには店は存在しない……。絶対に叶わない世界なんです!
お互いに夢は叶ったけど、想い描いていた夢とはなんだか違う。特にセブはピアノが弾きたいのに経営と料理に忙しく、自分より上手いピアニストを雇わなければいけない立場に。泣ける……。
あんなに怒っていたレストランの経営者ビルも、笑顔で2人を送り出す。絶対にありえないビルの笑顔に涙がボロボロボロボロ。
こんな夢のような世界は、夢でしかないんですよね。そんなに都合の良いことばかりではない、現実は厳しい。女優とジャズ店オープンが叶っただけでも良い方なんですが、だからこその悲しさがそこにはあります。
そして最後のセブの笑顔。
これで良かったんだよと、ミア良かったねと言っているようで。きっと後悔の念に駆られていたのでしょう。もうこの笑顔が悲しくて悲しくて。
夢と恋。何かを得るためには何かを捨てなければいけない現実を、夢の世界で表現しています。
期待していたストーリーは夢の中だけだったので泣いた
この作品予告編が秀逸なんですよね、こっちの気持ちを裏切るような作りになっています。
例えばこの出合頭ミアにいきなりキスするシーン。これ序盤で出てくるのですが、その時はキスせず肩をぶつけて終わりでした。予告を見た人は「あれ? じゃあいつあのシーンがあるの?」となって物語を追います。まさか最後の夢の中のシーンだったなんて。
夜を2人で歩くシーンも、本当はセブではなく新しい旦那が横にいます。予告の多くはなんと夢の中のシーン、僕たちの求めていたラ・ラ・ランドは最後の最後の夢の中だけでした。
だからこそ、ただただハッピーな映画ではなく心に刺さったのだと思います。
ラ・ラ・ランドは音楽が秀逸!
ミュージカルですので音楽が一番重要です。その音楽が本当に素晴らしくて、今サントラを聴くだけで涙が出てきます。
曲数はあれど使われているモチーフは数個。同じメロディをアレンジを変えて何回も流してくるんですよ。だから過去の映像の今が交錯して涙が出てくる。
‘Mia & Sebastian’s Theme
この曲なんか辛い場面でいっつも使われるから悲しくて悲しくて。ミアの一人芝居を見に行きたいのにわけのわからんカメラマンに無理に写真を撮られるセブが、何か弾いてよと言われてこの曲弾くもんだから切なくてですね。
La La Land Soundtrack – Epilogue (Justin Hurwitz)
また最後の夢想シーンでは、これまでの曲がメドレーのようにつながって流れます。たった1年の出来事なのに、こんなにも深く悲しい気持ちになるのも、この音楽があったからこそでしょうね。
どの曲もどこか哀愁があり、100%ハッピーな曲ってわけではありません。だから繰り返し聴くことで味が出て涙が溢れる。
観終わった方はぜひサントラを聴いていただきたい! 劇中のミアのようにラ・ラ・ランドの名シーンが脳内されますよ。
最後に
色彩が綺麗、音楽も最高、話も深く心に突き刺さる映画『ラ・ラ・ランド』。正直辛すぎてかなり引きずっています。
何かを得るためには何かを捨てなければいけない、そして捨てたとしても理想的なラストがまっているとは限らない。
そんなメッセージを受け取りました。辛く悲しい、だからこそ美しいものになっています。
ぜひもう一度観てくださいね!
GANO
ローグ・ワンでも号泣しました。

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