映画『パラサイト 半地下の家族』 貧富の差を描く悲喜劇に笑い恐怖しつつ現実を見る。寄生しているのは何なのか?
公開日:
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最終更新日:2020/07/14
映画
映画『パラサイト 半地下の家族』 貧富の差を描く悲喜劇に笑い恐怖しつつ現実を見る
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
2019年12月27日に日本公開となった『パラサイト 半地下の家族』を観てきました!
貧富の差を扱った韓国映画ですね。
では、まず予告編を観ていきましょう!
『パラサイト 半地下の家族』90秒予告
何やら泥臭くホラーな要素が多そうな雰囲気です
タイトルの寄生に込められた意味が気になりますね!
映画『パラサイト 半地下の家族』はこんな人にオススメ!
どんな人が『パラサイト 半地下の家族』を楽しめるか考えてみました。
・格差社会を感じている人
・ブラックコメディが好きな人
・韓国の住宅事情に詳しい人
こんな感じ。
貧困層の青年が富裕層家族に家庭教師として雇われるところから始まります。格差社会を面白おかしく描いていますよ。
さらにブラックコメディ好きにオススメ。笑ってはいけないんだけど笑っちゃう、で恐怖する。そんなのが好きな人はどハマりします。
最後に韓国映画なのでね、韓国の住宅事情、生活に詳しい人はより細かなネタに気付けて面白いはずです!
ではネタバレを含んだ感想を載せていきますね!
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『パラサイト 半地下の家族』 能力だけでは食べていけない現状
本編で貧困層として描かれるキム一家は全員失業中。日雇いのバイトや内職でギリギリの生活をしている家族ですね。
じゃあ4人とも何も能力のない努力もしない落ちこぼれなのかというと、全然そんなことないんですよ。
息子ギウは大学入試に失敗し続けているが、家庭教師をするだけの能力はあるし予備校に通うお金がないがためにうまくいっていないように見えます。
娘ギジョンは書類偽装ではあるがパソコンを使ってデザインする力がある。父ギテクも職を転々としていたらしいが本人に問題があるようには見えない。
母チュンスクは元ハンマー投げの選手でメダリスト。ごく普通、というより能力面を考えるとハイスペックな家庭に感じますよね。
実際身分は偽っていますけど、それぞれのパク家での働きは問題なく評価も上々です。身分を偽らずに関係を築けたらうまくいったのではないかとすら感じます。
能力で見たらパク家と変わらなそうなのに貧困から抜け出せない、目に見えぬ階級制度があるように感じます。
ただ普通に生活したい、半地下の生活から抜け出したいと身分を偽りながらも働く姿はダメなんだけど応援したくなっちゃいますよね。
しかし、どんなに働きパク家に寄生しようと、そこにあるのは雇用関係。
実の娘よりも雇用先の子供のために車のキーを投げなければいけない状況に、本人たちの努力だけでは変えられない貧富の差を感じてしまいます。
映画のラストでギウはギテクに、ただただお金を稼いでお父さんが隠れているあの家を買うと手紙を書きます。
心からそう思っているだろうし、努力し詐欺ではなく真面目に働いてお金を稼ごうとするでしょう。
でもこの映画で描かれた世界、つまり今の韓国(だけのお話ですが、世界的に格差社会が問題になっています)にて、「真面目に働けば絶対に裕福になれる」と言えるでしょうか。
自己責任論であしらっていては解決しない問題が今あると感じます。
『パラサイト 半地下の家族』 寄生しているのは無気力感
タイトルの『パラサイト』は寄生を意味しますが、本作で寄生しているのは何なのでしょうか?
パク家に就職するキム家。この就職も公式サイトではパラサイトと表現されています。雇用関係はそのまま寄生と言えちゃうところが面白いですよね。
元家政婦のムングァンとその夫は、パク家の地下に住んでいます。これは移住なのでキム家以上に寄生している感じがします。
なるほどそういう寄生か〜なんて見ていたんですが、目に見えない寄生がありまして。キム家の大黒柱ギテクに根深く住み着く無気力感なんです。
この無気力感という寄生虫がいると、悪循環から抜け出せなくなってしまうんですよね。もちろん努力しても貧困層から抜け出すのは難しいのですが。
絶対に失敗しない計画は計画しない計画、無計画だとギテクが話すんですよね。なるようになるさ、プランなんて立ててもうまくは進まないのさと。無気力ですよね〜。
パク家の父ドンイクを殺害後も、逃げることを諦め何もない地下に隠れちゃう。
いつか誰かが家に住んでくれ、いつか息子がモールス信号に気がつき、いつか外に出れるかもしれないと、無気力に他力本願になってしまっています。
この無気力感、何もやっていなくて無気力になったわけではなく、努力してプラス思考で乗り切って頑張ってきた末に、あぁ意味なんてないんだと落胆した先に出た無気力なんですよね。
詐欺だし殺人だし犯罪なんだけど、キム家を責めることはできない。この無気力感を本人の自己責任で片付けることはできないなと思います。
貧困層の無気力と、富裕層の無関心。どちらも変えることができたらいいのになと思うばかりです。
『パラサイト 半地下の家族』 と合わせて観て欲しい映画
さてさて、2019年の映画なんですけども。同じようなテーマで描かれた作品が同年に出ていますね。
非常に似ている作品がアメリカから! 『アス』です。
自分にそっくりなやつらが現れた! とドッペルゲンガーを扱ったホラーコメディなんですけど、こちらも貧富の差を扱っています。
そして『ジョーカー』も貧富の差から生まれた悪を描いていますね。
バットマンの宿敵ジョーカーの誕生秘話みたいな感じに捉えてしまう人もいるかと思いますが、その部分より貧富の差から悪は出てくるんだという部分が大事になってくる内容です。
どちらも超面白いので、本作が大好きな人にオススメですよ!
最後に
日本公開が遅かったため、世界的にもう大絶賛だってのは聞いていまして。ハードル上がりまくりだったんですけどね。
もう全然ハードル越えまくり。爆笑して爆笑して恐怖して。時間と共にどんどん面白くなっていくのね。
韓国映画もどんどん観ていきたいですね!
GANO
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