映画『バイス』 我々は釣られた魚。魚が釣れるから糸を引き続ける奴がいる。日本の話のようでクラクラする
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映画
映画『バイス』 我々は釣られた魚
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
2019年4月5日に日本でも公開となった『バイス』を観てきました!
アメリカの実在の元副大統領を主役とした映画ですね。
では、まず予告編を観ていきましょう!
『バイス』4.5(金)公開/本予告
またまた実話です。実話ほど怖いものはないよねって感じがしますね。
第91回アカデミー賞・メイクアップ&ヘアスタイリング賞受賞した作品でもあります。
『バイス』はこんな人にオススメ!
どんな人が『バイス』を楽しめるか考えてみました。
・社会派コメディが好きな人
・9・11、イラク戦争を知っている人
・日本人
こんな感じ。
まずこの作品はコメディですのでね。超ブラックなコメディなので、そういうのが大好物な人は絶対観て欲しいです。
そして、9・11からイラク戦争までを知っている人。当時を体感した人たちは、あの時何が起きていたかを知ることができます。
最後に、大きく日本人! これ今の日本向けに作られてるんじゃないの? って感想が出てしまうくらい、今の日本はね。日本人みんな観て欲しい。
ではネタバレを含んだ感想を載せていきますね!
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『バイス』 魚が釣れるから釣りを続ける
ディック・チェイニーの趣味がフライ・フィッシングということで、映画では何度も釣りシーンが使われています。
まさに彼の手口そのものでして、それが笑える部分でもあり恐怖する部分でもあるわけです。笑いと恐怖は表裏一体ですからね。
ミミズ(本当の情報)やルアー(偽、もしくは真偽が怪しい情報)を巧みに使い分け、獲物がかかるまで辛抱強く待ち駆け引きをする姿は釣りそのもの。
子ブッシュがチキンを口に引っ掛けているシーンは爆笑ですね!
この映画チェイニーを悪党として置きつつ子ブッシュは只のボンクラとして描いていて面白い。当時そんな風に思ってなかったですからね。まさか副大統領が裏でこんな動かしていたとは。
この映画のラストAパート、チェイニーがインタビューに答えるシーンですね。そこでカメラ目線で話します。
当時のインタビューの様子を写しているような形から、徐々に映画館にいる僕たちに話しているように変わります。
そこで彼は自分、そして多くの政治家は国民投票によって選ばれて政治を行なっていると語るんですよ。
つまり、このような結果になったのは君たちなんだよと言ってるんですね。
フェイクニュースに踊らされて、憲法や国際法を拡大解釈され上手いように転がされて、まるで釣られる魚ですよ。
本物と偽物の違いも分からずすぐ食らいついちゃう君たちがいるから、僕は釣りをいつまでも続けられるんだ。そんな感じですよね。
民主主義ですからね、国民が全て動かしているはずなんです。だから少なからず国民にも責任がある、のか?
メディアに踊らされず、知識を持って自分の意思で決められる人間にならないとチェイニーみたいなやつにずっと釣られ続けるよという警告でもある映画でした。
大統領は何でもできちゃう「一元的執政府」理論がかかれた拷問メモはいつでも大統領は見れちゃうよってのは恐ろしいですよね。今この瞬間もそうなるかもしれないって話ですから。
『バイス』 本物の悪党を正面から批判する映画
タイトルである「VICE」は副大統領を示す言葉です。代理、副って意味ですね。
チェイニーが副大統領だったからこのタイトル、でもあるわけですが「VICE」には悪徳って意味もあるんですね。
悪徳な副大統領! と直球に言ってるタイトルとなっているわけです。ほんとものすごい直球。
じゃあバイスが指すのはディック・チェイニーだけなのか? 違いますよね、妻のリンもバイスの対象です。
特に秀でる能力もなく酒に溺れる若者だったチェイニーを、副大統領まで押し上げたリンは、影のそのまた影のような存在です。
アメリカを操った男を、さらに操っていたリン・チェイニー。操る方も操られる方もVICEだったんですね。
さらに映画のラストBパートにて、現代の世論が出てきます。あそこだけ現代について言っているのがまた笑えますね。
こんな映画リベラル寄りだと批判する人と、事実を述べただけだと反論する人が殴り合いの喧嘩をはじめ、その真横で次のワイルド・スピードが気になると無関心を決め込む人がいる。
これが国民。政治家を選ぶのは国民投票。バイスなのは君たちかもねってオチになっていると感じました。釣られてたらダメだね。
映画の途中で意見を述べると、最後に赤っ恥かきそうな構造が面白いですよね。
『バイス』 ってこれ日本の今の話でしょ
政府の情報操作によって騙され続けている現状を暴く映画として、合わせて『ペンタゴン・ペーパーズ / 最高機密文書』 も観て欲しいです。
どちらも過去を描きつつ現在の問題を浮き彫りにする映画となっています。
ってこれ、どちらもアメリカ国内向け映画なんですけど。ものすごく今の日本のことに感じませんか?
憲法の拡大解釈やら傾向報道による情報操作やら、作り手は日本のことなんか一切考えてないのに、胸が痛みます。
チェイニーは影に隠れてゴモゴモと小さな声で操っている感じですが、今の日本は堂々としたものです。
アダム・マッケイ監督へのインタビューにて今の日本に向けてのコメントもあるのでぜひ観てください。
「権力を疑え」ですね。町山さん大事なこと聞いてくれてありがとうございます。
最後に
なかなかハイコンテキストで知識と高速処理能力を併せ持ってないと難しい映画でした!
なので予習復習が大事ですね、これ何事もですが。
GANO
過去を描きつつ今を写す
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