映画『トイ・ストーリー4』 幸せは生まれた瞬間には決まらない。自由意志と変化の物語。過去作を肯定しつつさらに前進!
公開日:
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最終更新日:2019/07/21
映画

映画『トイ・ストーリー4』 幸せは生まれた瞬間には決まらない
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
2019年7月12日に日本公開となった『トイ・ストーリー4』を観てきました!
大人気シリーズの4作目になりますね。
では、まず予告編を観ていきましょう!
「トイ・ストーリー4」日本版予告
9年ぶりとなる新作です!
生みの親であるジョン・ラセターが退社した後のトイ・ストーリーでもあります。
映画『トイ・ストーリー4』はこんな人にオススメ!
どんな人が『トイ・ストーリー4』を楽しめるか考えてみました。
・おもちゃを無くして悲しい想いをしたことがある人
・幸せはこうあるべきと強く思っている人
・完璧な存在になりたいと思っている人
こんな感じ。
その名の通りおもちゃのお話なので、おもちゃで遊んできた人、無くしちゃって悲しい想いをしたことがある人にオススメ。
さらに幸せってこうあるべきだよねって決めつけがちな人にも観て欲しい。本作に否定的な人もいるみたいですが、たぶんこっちの意見なんじゃないかなと。
最後に完璧でありたいと強く願っている人! 完璧ってなんなのかな? という部分ですね。
一応シリーズものなので、過去3作を観ておくとよりお話のラストが胸にくると思います!
ではネタバレを含んだ感想を載せていきますね!
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『トイ・ストーリー4』 生まれた瞬間に幸せの在り方は決まらない
日本で公開されてからかなり否定的な意見が多いように感じます。
確かにシリーズ前作まではおもちゃは持ち主のところに戻って遊んでもらうことが最高の幸せであるとされてきました。
そこにきての本作は、むしろ真逆とも言える結末です。ウッディ自らボニーの手を離れ旅立って行く、その部分を受け入れられない人が多数いるといった感じですね。
僕はむしろ、今までのシリーズをより前に進ませる素晴らしい話だったなと、感動しています。
大部分として、「生まれた瞬間に幸せは決まらないんだぜ」ってメッセージが占めているんですよ。
本作のメインキャラクターであるフォーキーは、ゴミ箱に捨てられていたプラスチックの先割れスプーンです。本人も言うようにゴミだったんですよ。
そのゴミにボニーが顔をつけ手足をつけ、フォーキーと名付けた。だからフォーキーは生きているしゴミではなくおもちゃになったんです。
ゴミ箱に捨てられることが幸せだったフォーキーが、ボニーを安心させるおもちゃとしての幸せを選んだんです。
おもちゃとして生まれてこなかったけど、おもちゃとしての幸せを選んでも良いんです!
じゃあおもちゃとして生まれてきたウッディは? やっぱりおもちゃなんだからボニーの元に戻らなくちゃダメ??
そんなことないですよね。フォーキーがおもちゃになることを選んだように、ウッディだって違う幸せを選んで良い。
何に生まれたか、どこで生まれたかがその人の幸せを決定するんじゃない、あくまで決めるのは本人なんです。
ウッディはボニーのおもちゃなんだからおもちゃらしくしろ! って、それはもう人種差別ですよね。
日本人に生まれたんだから日本人らしくしろ! って言われたらどうでしょう。勝手に決めるなよ! そもそも日本人らしくってなんだよ! ってなりますよね。
生まれに左右されることなく、自分で幸せの在り方を選んで良い。そう言ってくれる優しい映画なんです。
『トイ・ストーリー4』 過去の大きな決断を覆しても良い
アンディにとってウッディは大切な友達で、ずっと一緒にいたいと思える存在でした。
そんなアンディも大人になって変わっていって。おもちゃで遊ばないようになっていく。だからボニーにプレゼントして、ウッディたちの人生はまた動き出したんですよね。
アンディ、というか人間たちが変わっていくのにおもちゃは変わっちゃいけないの? いえいえ、おもちゃだって変わって良いんです。おもちゃたちは人間のメタファーだから。
ボニーにとって一番はフォーキーになり、ウッディは押入れに待機させられるような存在でした。
中間管理職みたいな立場も全うしようと必死になるウッディ、涙が出ますね。
持ち主のところに戻ることがおもちゃの幸せ、持ち主を安心させ幸せにするのが僕らの幸せなのさ! とバズやジェシー、そして今回はフォーキーに訴えてきたウッディ。
無意識のうちに自分自身への呪いの言葉になっていたのかもしれません。
そこに現れる持ち主のいない公園のおもちゃたち。特定の持ち主がいなくたって楽しそうです。
そして新しい価値観を得て強く生きるボーに再会し揺れるウッディ。最後は自分の人生を生きるとの決断をします。
でもね、過去作品で行ってきたことを否定しているわけじゃないんです。
だってギャビーが子供にもらわれていくように手助けしてくれたじゃないですか。ボーもウッディも、今までの持ち主がいる生き方を否定はしていないんです。
今までの幸せを生きても良い、別の幸せを探して見つけても良い。
そのウッディの決断を、バズもジェシーもフォーキーも受け入れ、笑顔で送り出してくれます。
過去の決断を覆しても良い、そして覆したからダメだと他者を否定しなくても良い。優しい、みんな優しい。泣いちゃう。
別れても、ウッディとバズは永遠の友達ですよ。
『トイ・ストーリー4』 完璧な存在なんていない
本作のヴィランとしてギャビー・ギャビーが出てきますが、彼女もかわいそうな存在だなと思います。
初期不良によって初めから声が出ない、そのためにいつまでも持ち主が現れず愛を知らないで生きてきたおもちゃです。
完璧になりたい、完璧になればハーモニーがきっと愛してくれる!
彼女の行動は他のおもちゃを危険に晒しますが、どれも愛を求めて起こしているんですよね。
ウッディに発声器をもらい受け、声を出せてもハーモニーには必要ないと判断されてしまうギャビー。なんとなくわかってたけどマジ悲しい。
完璧な存在なんていないし、完璧になれば愛されるってわけでもないんですよね。
発声器が壊れていても、愛されたいと願ってコーヒーカップを持つ練習をするギャビー、素敵じゃない!
もし完璧な存在がいるとするならば、生まれながらにしてみんなもう完璧なんです。それで良いんですよ。
必要とする子供と、助けたいと思うおもちゃ。タイミングもあるから、自分に問題があるって思わないでね。
『トイ・ストーリー4』 おもちゃを無くしても悲しまないで
ちょっと視点を変えて。トイ・ストーリーシリーズって、おもちゃも人間と同じだから雑に扱ったりすぐ捨てたりしないでねってメッセージを込めてやってきましたよね。
物を大切にするって精神を身につける素敵なメッセージなんですけど、同時に無くしちゃいけないっていう強迫観念にもなってしまう側面もありました。
おもちゃにも命がかるから大切にしたい、けど小さな子供だから、無くしちゃうこともあるじゃないですか。
どんなに気をつけてても何かに気を取られてて手から離してしまって無くしちゃう。そんなこともあるでしょう。
で、そこでトイ・ストーリー観てるとものすごい罪悪感にかられるんですよ。なんてひどいことをしてしまったんだ、かわいそうなことをした! って。
トラウマみたいにもなりかねないんですが、その部分もカバーしちゃう『トイ・ストーリー4』、さすがっす。
無くなったんじゃなくて、ウッディのように自ら新しい旅に出たんだよ、みんな笑顔で送り出したんだよってことにできるじゃないですか。
無くさないよう、悲しませないよう全力で遊び大切にする、それでも無くしちゃったときは、おもちゃ自身の意思で新しい人生を始めたんだよ。
そう子供に言い聞かせることができるようになりましたね。
僕もね、物をほとんど無くしたことないんですが、それでも稀に無くすんですよ。もうめっちゃ凹みますよ!
でもそれが、新しい旅立ちなんだって思えれば、少し気が楽になります。子供ならなおさらね。
ずっと優しい映画、最高です。
最後に
ダッキー&バニーのコンビも最高に笑ったし、デューク・カブーンも面白かったですね。トラウマ克服! キアヌ・リーブスいいよね。ジョーダン・ピールもね。
あとボーの格好良さがたまりません。知性にあふれた振る舞いに惚れました。
GANO
予告とは違うハートウォームな物語


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