映画『ビューティフル・ボーイ』 依存症は病気であり必要なのは適切な治療と身近な人たちの協力。なぜ心に穴が空いたのか
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映画『ビューティフル・ボーイ』 依存症は病気であり必要なのは適切な治療と身近な人たちの協力
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
2019年4月12日に日本でも公開となった『ビューティフル・ボーイ』を観てきました!
ドラッグに溺れる息子とその父親の物語ですね。
では、まず予告編を観ていきましょう!
映画『ビューティフル・ボーイ』日本オリジナル本予告 4/12(金)公開
ドラッグに苦しむ息子と父親の交流が主となる映画のようです。
違法なドラッグに手を出してしまった人にどう接するべきかの参考になる映画です。
『ビューティフル・ボーイ』はこんな人にオススメ!
どんな人が『ビューティフル・ボーイ』を楽しめるか考えてみました。
・子供がいる人
・お酒やタバコ、違法合法に関わらずドラッグ経験のある人
・近頃のドラッグ使用者へのメディア対応に疑問を持っている人
こんな感じ。
まず子供がいる人。自分の子供のことがどんどん分からなくなっていく時期があるかと思います。そんな時にどう接すれば良いか、映画を観て考えてみて欲しいです。
そしてお酒やタバコを含めドラッグ経験のある人。合法なだけでお酒やタバコも立派なドラッグ、依存しすぎると同じようなことになりますよ。
最後に、芸能人のドラッグ使用を報道するメディアのあり方に疑問を持っている人。映画を見ると気持ちが動くと思います。
ではネタバレを含んだ感想を載せていきますね!
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『ビューティフル・ボーイ』 依存症は本人の責任ではない
物語は息子がクリスタル・メス依存症になったことを相談する場面から始まります。メタンフェタミンの別名で依存性の強い薬物です。
そこから薬物依存が始まった1年前から現在までを描くわけですね。
仲のいい父親が優しく接しているにもかかわらず、遊び半分でドラッグに手を出して落ちていく息子ニックの姿は、なんてダメなやつなんだとも思えてしまうように写されます。
少し過保護な気もしますが、デヴィッドが思う気持ちには共感できます。心配ですもんね。
しかし物語が進むにつれ、なぜニックがドラッグに溺れるようになったかが見えてきます。
どうやらニックはデヴィッドの前妻ヴィッキーとの子供だったんですね。
ニックが幼い時に離婚をし、母に会うためにはロサンゼルスからニューヨークまで1人で飛行機に乗って行かなければなりません。
デヴィッドもヴィッキーも仕事に忙しく、構って欲しい時期にあまり交流ができなかったのかもしれません。
新しい母親カレンは優しくも、幼い子供2人の相手をしなければいけません。
急に母親が変わり、年の離れた弟妹ができたニックは、立派な息子であり続けようと努力したことでしょう。
デヴィッドも知らず知らずプレッシャーをかけていたのだと思います。
大好きな母親がいなくなってしまった喪失感と立派な息子でいなければいけないという責任感でニックの心にはぽっかり穴が空いてしまった。
その穴を一時的に埋めてくれたのがドラッグです。一時的というのが辛いところですね。
なぜニックはドラッグにはまってしまったのか? その背景を知ると、なんて愚かな息子なんだとは決して思えません。
ドラッグはもちろんダメです。ダメですが、ドラッグに溺れてしまう人にすべての責任があるのでしょうか?
ニックは被害者であり、救うべき存在なのです。
『ビューティフル・ボーイ』 依存症は病気であるため精神論では治らない
家庭環境によって空いてしまった心の穴を埋めるために始まったドラッグ依存。
特に依存性の高いクリスタル・メスにハマってしまったニックですが、その副作用もひどいもの!
強い不安感と恐怖に襲われる副作用があり、その苦しみから逃れるためにまたドラッグを使用してしまうんです。
脳の機能が落ちてしまうので、本人にはもうどうしようもないんですよね。病気なんだから仕方がないんです。
薬物依存症であったりうつ病であったり、日本では「それは心が弱いからだ、気持ちを強く持てば克服できる」というのが世論のように感じます。
ですが、この映画を観てまだそう言えるでしょうか。
依存症はりっぱな病気。インフルエンザにかかった人に向かって同じことが言えますか? きっとかける言葉は「まずは病院に行って、治療を受け家で安静にしてくれ」ですよね。
幼い弟からお金を盗んだニックに腹を立てデヴィッドは「これはお前自身の問題だ、自分でなんとかしろ!」と大声を出すシーンがあります。
きっとデヴィッドは後悔したことでしょう。息子も父親も、深い深い傷を負ったのです。
ニックに必要なのは罵声でなく治療と寄り添ってくれる人、気合いなんかじゃ依存症は治せないんです。
『ビューティフル・ボーイ』 子供だって親だって分からないのに他人が分かるわけない
映画公開現在、芸能人のドラッグ使用容疑でメディアが煽ったりSNSで批判している様を見かけます。
もちろん違法なドラッグはダメです。なんでダメかって、心と体がボロボロになってしまうからですよね。
違法ドラッグ使用はダメですが、被害者のいない犯罪です。本人とその周りの人たちが対処すればいい話なんです。
なのに批判して、病気の人に石を投げるような行為です。むしろその報道の方が人を傷つけるものではないでしょうか。
人に迷惑をかけない法に反した行為、人を傷つける法に反しない行為。
今ある法が完璧で絶対的な正義であると信じている人が多いように感じます。
人は間違います。法律は人が作ったもの、だから間違いだってあるはずです。何が間違いかも時代とともに変わっていきますしね。
芸能人の見える部分なんて、この映画の冒頭部分程度です。本人たちにどんな背景があるかなんて知る由も無いんです。
本人にも家族にも分からないことを、他人である僕たちが指摘し正すなんて無理な話だと思います。
この映画を観て、少しでも依存症に苦しむ人の気持ちを汲める人が増えることを切に願います。
最後に
とにかく辛い映画でしたね! ティモシー・シャラメの演技が冴えてて、本当に苦しかった。
シャラメ君の演技にしびれた人は、ぜひ『君の名前で僕を呼んで』を観てみてくださいね。
GANO
スティーヴ・カレルが真逆の役やっています
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