『ゲット・アウト』は新しい角度で楽しむ映画。観ている最中はホラーでありサスペンスだけど、観終わるとコメディに変わります。
公開日:
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最終更新日:2019/01/20
映画
『ゲット・アウト』は新しい角度で楽しむ映画
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
2017年10月27日に日本でも公開となった『ゲット・アウト』を観てきました!
人種差別、白人による黒人差別を扱った作品です。
では、まず予告編を観ていきましょう!
『ゲット・アウト』予告編
ホラーではあるけれど、黒人差別を扱った人間の怖さが主軸だとわかりますね。
今こそ観なければとも思いますし、常にこういった作品は観ておかないとなとも思いますね。
『ゲット・アウト』はこんな人にオススメ!
どんな人が『ゲット・アウト』を楽しめるか考えてみました。
・ユーモアをしっかり理解できる人
・恐怖と笑いは表裏一体であると考える人
・人種差別を考えたい人
こんな感じ。
なんかちょっと上から目線な言い方になっちゃってますが、でもこんな感じなんです。
ユーモアってもの、笑いってものは知識がないとわからないものなんですね。
監督はコメディアンのジョーダン・ピール、コント師なんですよ。主観で観ると怖かったり悲しかったりするのに、客観的に観ると笑えるよねってことをやる人なんですよ。
コメディアンって様々な角度で物事を考えています。非常に知的、だからそれを観る側も知的にならなきゃいけない。
何がおかしいかに気がつけないと、面白さに気がつけない。ユーモアに気がつけないで表面だけ見ちゃうとひどい映画と感じちゃうかもしれません。
また、ゲット・アウトは表面はサスペンスでホラーです。でもちょっと見方を変えると爆笑コメディでもある。
その恐怖と笑いは表裏一体であるということがわかっている人なら楽しめます! わかってないと「あんま怖くないな」で終わるかも。そういうことじゃないよ。
あとはもちろんですが、人種差別を考えたい人。もうそれが主軸ですから。これは、お勉強的な側面もあるかもしれませんね。
ではネタバレを含んだ感想を載せていきますね!
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『ゲット・アウト』では3種類の意識が表現されている
『ゲット・アウト』は白人の心の奥底に潜む黒人差別をホラー仕立てにした映画作品です。
人種差別で考える『マルコヴィッチの穴』みたいな映画でしたね。
表面上では差別なんかしないよと言いつつも、心の底にある差別意識が出てしまっている人たちが出てきます。
その心の底にある差別意識が3パターンで表現されているのが怖いところでもあり面白いところでもあります。
主人公クリスが訪れたアーミテージ一家がわかりやすいですね。
ローズの弟 ジェレミー
恋人ローズの弟であるジェレミー、彼はわかりやすい差別主義者だったと思います。
言葉では仲良くするよなんて言いつつも、明らかに攻撃的。何をするにも見下している感じがしちゃいますよね。
差別主義者でもあるし、典型的ないじめっ子。あからさまに嫌な奴!
ただわかりやすいので、そこは回避するには良かったりします。嘘が下手って意味では逆に助けられますね。
ローズの両親 ディーンとミシー
あからさまな態度をとるジェレミーをたしなめるような両親。クリスを受け入れる良き夫婦のように見えますよね。
オバマに3期目があったら投票してたさなんてさらっと言っちゃう感じ、なかなか良さそうじゃないですか?
でもやっぱり差別意識あり。差別はしないんだ、えらいだろ? と差別していないことをステータスのように思っている層を指していると感じます。
ヒラリーvsトランプの時も、ヒラリーが圧勝だろうという話だったのが蓋を開けてみるとトランプ勝利。
企業が優遇されることや低賃金労働者が移民に追いやられるのを嫌がっているなど、隠れた思惑があったわけですよね。
そこには隠れ差別主義者の票も多くあったと言われています。
表面上は黒人も白人も関係ないよ! と言いつつも、誰にもばれない投票という場では白人至上主義に振り切っている。
そんな層をディーンとミシーが演じていると感じます。
恋人ローズ
いじめっ子ジェレミーや表面だけの両親を否定する良き理解者ローズ。唯一の救いのように描かれてますよね、途中まで!
いじめっ子も上辺だけの奴も全然ダメ、私は心の底からあなたを愛してる!
そんな彼女ですが、自分でも気がついていない部分で差別をしている層を演じているんだと僕は感じます。
自分でも気がついていない、心の奥底の裏側ぐらいに潜む強い差別意識。
正直一番厄介かもしれません、本人も気づかないほど根っこの部分で差別しているのですから。
ラストには真っ白のシャツを着て真っ白のミルク飲んでる! やりすぎ感に爆笑。
もちろん映画ですから最後にペロンと本性が出てきていますが、現実ではこうはなりませんよね。
このように3層の差別主義者が描かれています。
『ゲット・アウト』で黒人差別を逆手に取っている
表面上は黒人も白人もないよと装っている人々。でもなんだかおかしい?
異常に黒人であるクリスのことを褒めます。これって皮肉なんじゃないかとクリスは感じるんですよね。
この映画の面白いところは、「表面上は差別をしない風の差別主義者」を「マジで黒人に憧れている白人」として扱っているところです。
時代は黒だよな〜なんて明らかに失礼な言い回しじゃないですか。
すごい肉体、夜の方も強いんでしょ? とか。それを本心で言っちゃってる。おかしいですよね?
黒人を差別する白人は、実は黒人になりたくて仕方がないんだろ? と言っている感じがします。
大好きな子をいじめちゃう子供、そんな感じだよお前らは。そう言っている感じですね。
だってどんどん黒人を誘拐して、白人が肉体を手に入れていくとどうなると思います?
最終的には全員黒人になるんです。クリスが最後逃げなければ黒人人口は増え続け、黒人を差別すればするほど黒人が増えることになる。
非常におかしい! 皮肉っているんですよね。アイロニー
黒人を差別してる=憧れてるってことだぞ? マジに嫌いなら差別はやめろよな。そんな差別意識を逆手に取った映画となっています。
日本だと黒人差別ってあんまりないからピンとこないかもしれないですが、例えるならブロガーを叩く人たちとかですかね。
あいつのブログはくだらね〜! ってツイッターで言っちゃう人、それブログのアクセス増えちゃうよ? みたいな。
どっちにしろブロガーの思う壺。褒めてもけなしてもブログアクセスが増えるんです。
『ゲット・アウト』でロッドの存在に救われる
(予告にロッド映ってないがな)
クリスの友人ロッド、下品な奴なんだけど彼だけがまともにコメディやっていましたよね。
終始「セッ◯ススレーブ!」って叫んでます。何言ってんだこいつって感じなんだけど、一番核心をついていましたよね。名探偵だよ彼は。
ローズとの会話を録音しようとするも勘付かれて、返り討ちにあうロッド。
「ちくしょーあの女、天才かよ!」って褒めちゃってる。めっちゃ笑える。
最後のオチも彼ですよね。
「だから白人の家に行くなって言ったろ?」
彼の存在があったからこそ絶妙なバランスの映画になっているんですね。
もちろん終わってからは全部コメディに観えるんだけども。
夜中のウォルターダッシュ、何かがおかしいと思いきやマジで走りたかっただけとか。
ぜひ2回繰り返してみてほしい映画です。
最後に
結構他の映画からの引用があるみたいです。
肉体だけ若返りを図るところは『マルコヴィッチの穴』ですよね。脳味噌パカッは『ハンニバル』を僕は思い出しましたが、他のやつかも。
それ以外にも小ネタがいっぱい入っているので、映画好きの人は楽しめますね。
ぜひまた観たい!
GANO
マイノリティの中のマイノリティ
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