映画『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』 続く緊張と躊躇のないプロフェッショナルな戦闘に震える。デル・トロもブローリンもカッコ良い!
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最終更新日:2019/09/14
映画

映画『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』 続く緊張と躊躇のないプロフェッショナルな戦闘に震える
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
2018年11月16日に日本でも公開となった『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』を観てきました!
メキシコ麻薬組織とアメリカ政府の表には出ない戦いを描いた『ボーダーライン』の続編ですね。
では、まず予告編を観ていきましょう!
映画『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』予告編
前作での主役エミリー・ブラント演じるケイトは出てきそうにないですね
前作が良すぎただけに続編は心配?
『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』はこんな人にオススメ!
どんな人が『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』を楽しめるか考えてみました。
・メキシコとアメリカの国境付近の現状を知りたい人
・正義とは何かを強く持っている人
・渋いおじさんが大好きな人
こんな感じ。
『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』は邦題でして原題は『Sicario(殺し屋)』です。前作共に内容を観ると邦題の方が味わいがあって僕は好きですね。
そんなんで、邦題の通りこれはメキシコとアメリカの国境付近のお話が中心となります。そこでは今何が起こっているのか、これはフィクション? ドキュメンタリー? そんな内容です。
そこで「正義とはこういうもの」と強く思っている人、こんな人に僕は観て欲しい。正義って一体なんなのか、この映画を観てから再考して欲しいですね。
あとジョシュ・ブローリンとベニチオ・デル・トロが渋すぎカッコ良すぎなんで観て! もう痺れるぜ〜憧れるぜ〜
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『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』は続編として完璧
前作『ボーダーライン』がドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、ロジャー・ディーキンス撮影、故ヨハン・ヨハンソン音楽と弱点なし面子だったわけで、作品の完成度もかなり高い。
ヨハン・ヨハンソンは亡くなってしまいましたが、残る2人が続編を撮るとなっても、前作を越えようと相当なプレッシャーがかかったと思います。
なのに、なんと続編である『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』は2人は制作しない! なんてこと、これって続編と言いつつまったく違う作品になるパターン?! そう思った方も多かったでしょう。
僕もです。越えられんのか? 続編として成り立つのか? そんな不安な気持ちを持って劇場に行きました。
えぇ、抜群に良かったですよ。なんだったら前作よりさらに緊張感出てましたよ。
本作での監督ステファノ・ソッリマは政治の闇やマフィアの抗争を描くのが得意な監督らしくてですね、『ボーダーライン』の世界観をそのまま引き継ぐことに成功しています。
撮影監督のダリウス・ウォルスキーは最近だとリドリー・スコット監督映画『ゲティ家の身代金』を撮っていますね。
落ち着いたトーンで渋くカッコ良く、これまた『ボーダーライン』の世界観にマッチ。より泥臭く映るようにしたおかげで緊張感が増しました。
そして音楽はヒドゥル・グドナドッティル。彼はヨハン・ヨハンソンのお弟子さんなんですね。
ドゥニ監督作品『プリズナーズ』、『ボーダーライン』、『メッセージ』とヨハン・ヨハンソンと共に参加していたので、そのまま引き継ぐにふさわしい人物だったわけです。
ヨハン・ヨハンソンの「The Beast」はめちゃめちゃ良い、本作でも使われているので最高です。
脚本のテイラー・シェリダン、そしてジョシュ・ブローリンとベニチオ・デル・トロは続投してますので、ここも安定ですね。
大丈夫かよと心配している方々、問題ありませんよ!!
ではネタバレを含んだ感想を載せていきますね!
『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』でより曖昧になっていくボーダーライン
前作『ボーダーライン』では前半、主人公ケイト視点で物語が進みました。
正義とは何なのか、どの正義を通すためにどこまで手を汚すのか、信じるべき正義とは何なのか。
圧倒的無気力感とガラガラと崩れていく価値観、ケイトは映画を観ている僕たちだったわけですね。
本作では僕たち視点ではなく、マットとアレハンドロ視点でのお話になります。ガチ渋プロフェッショナル視点が最初から最後までなので、そりゃ前作より緊張感高いですわ。たまりませんわ。
前作では善の仮面を被ったまま冷酷無慈悲な行動を取っているようにも見える、まさにボーダーラインを曖昧にしていく役所だった2人。
前作との違いは、そのプロフェッショナルでブレのなさそうな2人のボーダーラインさえ曖昧になっていく様を描いている点です。
任務遂行がすべて、何が起ころうと最悪の事態さえ避ければOKな男マットが、政府の作戦中止に翻弄されアレハンドロとイサベル殺害をためらう。
冷血な殺戮マシーンのようなアレハンドロも、麻薬組織リーダーの娘を殺害しろと言われながらも自分の娘の姿をイサベルに重ね救おうとする。
最悪の事態を避けるためにブレずに動いてきた2人にも、同情や友情、愛情があると観せてくれました。情に流されないようギリギリのラインで生きている人たちの姿が本作の見どころですね。
アレハンドロが手話で聾夫婦と子供についての話す、それを見つめるイサベルを映すシーンでは、アレハンドロも良き父親だったことを感じられました。
どんなに冷血に見えようと、アレハンドロもマットも情のある人間なんですよね。
もっとも冷血なのは、責任を負わず簡単に人を切り捨てる政府である、そんなメッセージがあるように感じました。
『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』 自分の意思で動くこと
本作で生き延びた人々、アレハンドロ、イサベル、ミゲルの3人ですね。3人はそれぞれ自己判断にて動いて生き延びています。
イサベルはアメリカ国内に輸送される途中襲撃され、その際自己判断にて逃げ出します。
アレハンドロは逃げ出したイサベルを1人で追うことを選び、さらにマットからイサベルを殺害するよう命令されても殺さずに行動を共にします。
どちらもあのままマットと共にアメリカ国内に戻っていたら、マット以外の誰かに殺されていたかもしれません。
2人で行動するようになったことでアレハンドロとイサベルの間に、少しですが親子のような絆が生まれたように感じました。
アレハンドロがマットの命令を拒否したことで、マットもイサベルを殺さずに保護しましたし、絶対的であった政府の指示に従わないと、自分のボーダーラインを守ったことでアレハンドロは生き延びることが(これは運命という感じ)できたと感じます。
政府の指示に反してイサベルを保護したマットも、始末されずにいるでしょうね。じゃないとラストシーンでアレハンドロがミゲルにたどり着けないだろうし。
ミゲルも組織の車から自己判断で車を飛び降ります。逃げたと思われてその後殺されるかもしれないのに。
あそこで飛び降りなければマットによって銃殺されていたことでしょう。
その自己判断、無意識下による危機回避能力を買われ、ラストシーンにてアレハンドロに暗殺者に興味はないかと持ちかけられたのかもしれません。
自分の中のボーダーラインだけは守らないければならない。守りさえすれば死ぬことはない。という、結果論ですがお話になっていますね。結局重い!
最後に
どこで何が起こるかわかりませんから、ずっと緊張していました。
ジョシュ・ブローリンとベニチオ・デル・トロが本当にかっこいい。ラストシーンでスーツで立ってるデル・トロ怖すぎて笑っちゃいましたよ。
また前作と合わせて続けて観たいですね!
GANO
ドキュメンタリーとエンターテイメントを両立!


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