映画『ゲティ家の身代金』 増えるほどに人を孤独にしていく金。群がるハエは私たち?
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最終更新日:2019/01/20
映画
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映画『ゲティ家の身代金』 増えるほどに人を孤独にしていく金
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
2018年5月25日に日本でも公開となった『ゲティ家の身代金』を観てきました!
実際に起きた誘拐事件を元に作られた映画ですね。
では、まず予告編を観ていきましょう!
映画『ゲティ家の身代金』予告編
誘拐事件と、お金を払わない富豪を描いているのがわかります。
まるで2つの敵がいるような、一筋縄ではいかない雰囲気プンプンです。
『ゲティ家の身代金』はこんな人にオススメ!
どんな人が『ゲティ家の身代金』を楽しめるか考えてみました。
・お金とは何かを知りたい人
・リアリティのある映画が観たい人
・グロさに耐えられる人
こんな感じ。
テーマは「お金」ですね。お金っていったいなんなのか? いっぱいあると幸せなのか? そんな疑問に、1つの答えを提示してくれる映画ですね。
そしてリアリティ! そりゃ実話に基づいて作られていますから、リアルですよ。ここで言いたいのは、映画冒頭で「これはフィクションです」と出すほど、リアルだってこと。
最後にグロ耐性。リドリー・スコット、15禁、グロい。映像だけじゃないですよ、音もすごいグロいです。う〜、きつかったね〜!
ではネタバレを含んだ感想を載せていきますね!
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『ゲティ家の身代金』 お金に人生を狂わされた人々の映画
実話に基づいて制作された本作。ただただお金持ちの誘拐事件をスリル満点に描いただけかというと、それだけではありませんよね。
誘拐事件を描きつつ、お金に翻弄された人たちを描いた映画となっています。
孤独な死を遂げるゲティ
世界一の大富豪である石油王のゲティ。愛する孫の命よりも原油価格が気になるところなんて嫌な奴に見えますよね。
彼が映るシーンでは孤独感たっぷり、誰もゲティを愛していないように思えます。
生活を豊かにするはずのお金が増えれば増えるほど、確かに不自由ない生活ができてはいるのですが、孤独になっていく。
寄ってくる人すべてがお金目当てに見えてしまうのでしょうね。で、しかもそれは本当の話で。
その事実も分かっちゃうほど鋭いゲティは、心変わりのない芸術品をこよなく愛する。
最後には親子の絵を抱いて警報の鳴る中、息を引き取ります。
お金がいくらあろうと、孤独は埋められないんですよね。
常に危険な身のポール
ゲティの孫、誘拐されたポールもお金に人生を狂わされています。
尽きることのないお金に溺れ、毎日遊んでばかりいる父親と一緒にいれば、まともな感覚はなくなります。
無防備にフラフラと外に出て、名前聞かれて答えちゃうぐらいに感覚ガバガバ。
感覚ガバガバと言いましたが、ゲティの孫でなければ普通のことですよね。
普通、ができないと言いますか。お金があるばかりになんでも手に入るが不自由なんです。しかも生まれてきた時点からずっと。
お金のために誘拐され耳を切られ、報道もされていますからこれからも危険なままでしょう。
貧困から誘拐を企むチンクアンタ
ポールを誘拐した最初の犯人グループのボスであろうチンクアンタ。
確かに悪い奴なんですが、イタリアのマフィアにポールが売られてからは、まるでポールを守る父親のようにも思えました。
最後はポールを助けるためにマフィアを裏切っていますからね、きっと命はないでしょう。
彼もお金に狂わされた1人。
家はボロボロ、トイレも外の草むらです。貧困から犯罪に手を染めたのでしょう。
家族と仲間想いな部分も見え隠れし、根っからの悪党というわけではないんですよね。
お金のなさに苦しめられた、被害者だと僕は思います。
金銭感覚が麻痺した家族に囲まれるゲイル
大富豪なのにドケチで冷酷な態度の義理の父ゲティ、金に溺れ薬漬けになり何もできない夫ジョン、父親と共に遊んで暮らす息子ポール。
愛する夫とは離婚となり、息子の親権も奪われる。
豪邸に住んでいようと、常に苦しそうなゲイルが劇中にいましたね。
誘拐犯とも義理の父親とも対決、交渉しなくてはいけない苦しさがある彼女も、お金がたくさんあることで被害を受けた1人です。
有り余るお金は人を不幸にする、そんな気持ちになってくる映画でした。
『ゲティ家の身代金』 お金持ちになる方法
さて、大富豪となったゲティがどんな人物だったのか。劇中での描かれ方から、どうやったら彼みたいな大金持ちになれるかを考えていきます。
無駄金を払わないこと
何を持って無駄とするかは置いといて、ゲティは無駄金を払うことが嫌で嫌で仕方がないようでしたね。
孫1人を助けるためのお金は、さらに家族が誘拐されるリスクとの引き換えだから払わない、そんなのは無駄金である。う〜ん、わからんでもない。
リターンの分かりづらい人間にお金を使うより、心のない芸術品にお金をかける。うう〜ん、わからんでもないが寂しいな。
ホテルの洗濯サービスなんてものにお金を払うぐらいなら自分で洗濯する。これはちょっと、時間の方がもったいなくない? と言いたくなっちゃいますが。
ゲティ氏、非常にケチなんですよね! どんなことでもお金で考えて、損は絶対にしないように動く。
非情だ! とも思える行動ばかりですが、その非情さがお金持ちの秘訣のように思えました。
価値のないものに価値をつける
街の市で1時間かけ11ドルに値切ったブロンズ像をポールに「実際は100万ドルの価値がある代物だ」とプレゼントしますね。
でもゲイルが身代金にと売りに行くと、同じものが15ドルでお土産として売られているんです。
それを見てガクッとうなだれるゲイル。息子は救えないわ義理の父には騙されていたわ、散々ですね。
ほんと、100万ドルの価値があるものが11ドルで買えるなんて、そんなわけないと思うじゃないですか?
そんなホラ話でもゲティが言うと、本当なんだと大人も信じてしまう。
交渉術と言えばいいでしょうか。話術がお金を生む、そんな意味合いを感じましたね。
頭もキレて、ドケチで、交渉もうまい。なるべくして大富豪になったゲティですが、愛までは手に入れられなかった。
自分がやってきたことを、逆に周りにされるのではないか。みんなお金目当てに寄ってきているのではないかと疑って、孤独になっていく。
お金がたくさんあれば幸せになれると思っていましたが、ゲティを見ると、ほどほどがいいなと思っちゃいますね。
『ゲティ家の身代金』 お金に群がるハエ
劇中で印象的だったのが、群がるハエ!
誘拐されたポールの近くには、いつもハエがたかっていました。
なんだか蒸し暑そうだったし、なま肉を外で調理していたりとハエが寄ってくるのも分かりますが、あえてハエを写しているような感じでしたね。
じゃあお金持ちで綺麗な場所にいるゲティやゲイル側では何が写っていたか。
お金持ちの誘拐事件に群がる報道記者たちが写っていたんですよ。
ポールを誘拐した犯人たちも、大富豪の家族の危機に群がる記者たちも、その新聞を読み漁る国民も、みんな金の匂いにたかるハエと一緒だぜ! とリドリー・スコットが言ってるような気がします。
お金を持てば持つほど孤独で危険になっていき、死に近づく。その死の匂いを嗅ぎつけ群がる人々。
僕たちもまた、ゲスいハエだったのかもしれません。どよ〜ん。
『ゲティ家の身代金』映像と音のリアリティ
『ゲティ家の身代金』はR15指定なんですけど、誘拐事件でエッチなシーンが出てくるのかなと、いや思ってなかったですけどね。
何がどうR15なのかと思ってると、耳切断シーンですね。これがきつかった。
実際にポールは耳を切られているわけですが、予告で見ると切られた耳だけが軽く映るぐらいで、それぐらいだと思ってたんですよ。
そしたら、もう耳切断をモロ見せる。耳が切れて行く瞬間と、苦しむポールの顔。ピューピュー出る血! これ、気絶する人いるでしょ。
これがまた、劇場のすごいところでね。本来劇場って映像も音も良くて、家のテレビで観るより何百倍も映画を楽しめるんですよ。
その劇場で、目を塞いでも、耳の切れる音と血が出る音、叫び声がしっかりと聞こえちゃうんですよ、、、
手術シーンとか結構大丈夫なんですけど、今回の耳切断シーンはスパッと切れないしモロ見せるし、さすがに気持ち悪かった。
いやぁリドリー・スコット。そういうところが好きだよ。
最後に
お金に翻弄される人々と、グロさと、ストーリーの暗さで、どんよりした気持ちになる映画でした。
言い忘れましたが、冒頭部分からチンクアンタ家襲撃までは、ちょっと説明的すぎて退屈でしたね。
かと言って後半部分のハラハラグログロが頭から続くのもきついですが。
この映画観た後は、何かコメディでも観て笑うといいです。ぼくは『マイティ・ソー バトルロイヤル』観たよ。
GANO
男と女の愛もサスペンスやね!
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