映画『プーと大人になった僕』 灰色になった人生に現れた真っ赤な風船。イマジナリーフレンドとしての側面とディズニー的お約束
公開日:
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最終更新日:2019/01/20
映画
映画『プーと大人になった僕』 灰色になった人生に現れた真っ赤な風船
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
2018年9月14日に日本でも公開となった『プーと大人になった僕』を観てきました!
ディズニーアニメで有名な『くまのプーさん』のその後を描いた作品ですね。
では、まず予告編を観ていきましょう!
「プーと大人になった僕」日本版予告
大人になったクリストファー・ロビンとかつての親友プーとの再会を描いた作品ですね。
なぜ今になってプーは現れたのでしょう?
『プーと大人になった僕』はこんな人にオススメ!
どんな人が『プーと大人になった僕』を楽しめるか考えてみました。
・様々な責務に追われている人
・家族との時間を取れない人
・イマジナリーフレンドがいる、いた人
こんな感じ。
まず責務に追われている人。主人公クリストファー・ロビンも責務に追われて苦しんでいる人です。そこに現れたプーさん。きっと救いの存在となってくれます。
そして家族との時間を取れない人。責務に追われている人とかぶりますね、時間がなくて苦しんでいる人も、作中に打開策が見いだせるかもしれません。
最後にイマジナリーフレンドがいる、いた人。空想上のお友達ですね。ピンとくる人は、見ると楽しめそうです。
ではネタバレを含んだ感想を載せていきますね!
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『プーと大人になった僕』は色を無くした大人の世界から始まる
物語は親元を離れ寄宿学校で生活することになった場面から始まります。
規則に沿った生活で「何かをしなければいけない」重圧を感じながら育ち、かつ離れ離れとなった父親の死をクリストファー・ロビンは経験します。
その後は妻となるイヴリンとの出会いで幸せな生活が続くかと思いきや、徴兵制により第二次世界大戦に駆り出されます。
第二次世界大戦終戦後も職場の中間管理職として働く日々。担当するカバン部門の業績が悪く、経費削減の名目のもとリストラをするよう迫られます。
愛する父親に抱きしめてもらうことすらできなかった幼少期、親元を離れて規則に縛られた生活、父親の死。子供ながらに責務を負い、孤独でずっとストレスにさらされていますね。
大人になってからもイギリス人であるための出兵という責務、夫である責務、父親である責務、上司である責務を負いストレスばかりの生活。
いつしかクリストファー・ロビンの人生は色のない灰色の世界となっていました。蒸気の白いモヤモヤや暗い色合いの服装、雨の街はクリスの心情を表現していますよね。
そこに現れたかつての親友プー。彼はクリストファー・ロビンのイマジナリーフレンドですね。空想上の、実在しないお友達。
きっと壊れそうになったクリスの心を修復しようと現れたのでしょう。真っ赤な服と手に持つ真っ赤な風船が、灰色の世界で際立ちます。
本作は灰色となったクリストファー・ロビンの人生に色を取り戻すお話なんですね。
『プーと大人になった僕』 親から子への負の連鎖を断ち切る
僕が本作で伝えたかったメッセージは「負の連鎖を断ち切ること」ではないかと考えています。
クリストファー・ロビンは寄宿学校に進むことを嫌がっていたにも関わらず、その頃の記憶を亡くし娘を寄宿学校へ行かせようとします。
親と離れ離れになることを嫌がっていたのに、我が子に同じことを強いてしまう。親はこうあるべきだという刷り込みからくる行動なのではないでしょうか。
妻イブリンにも「良い職に就くために萎縮学校に行かす」と説明しています。自分のようになれと言っているようですよね。
イブリンも突っ込むように、現在のクリスの生活が幸せとは思えません。結果的に寄宿学校へ進むことは断念しますが、このまま寄宿学校へ通っていたら娘マデリンも自分の子供に無理強いする大人になっていたかもしれませんね。
虐待を受けて育った人は、自分の子供に手をあげる傾向にあると聞きます。自分は子供の頃こんだけ我慢してきたのだから、我が子も我慢するべきという、負の連鎖が起こるそうです。
プーとの再会(子供心の復活)によって負の連鎖は断ち切られます。
負の遺産を残さないこと、過剰な責務を他者に背負わせないことが本作のテーマなのではないでしょうか。
相対的な幸せ
こちらもテーマ。プーは「風船を持っていると幸せな気持ちになる」と言います。クリスは「何も役に立たない」と返す。
幸せには理由が必要で、役に立たないものに意味はないと考えているんですね。自分の中の絶対的な評価があるのではなく、常に相対的な思考があると感じます。
「マデリンの幸せは自分の幸せ」だと話すクリスですが、結果としてその考えがマデリンを不幸にしています。
まずは自分自身を幸せにすること、相対的な幸せと絶対的な幸せの両立を図ることが大切なのではないでしょうか。
『プーと大人になった僕』でのまとめ方はディズニー的
システム仕事人間となっていたクリストファー・ロビンがネガティヴなイーヨー、ビビリのピグレット、お調子者のティガー、マイペースなプーと順番に自分の感情を取り戻していく前半部分。
自分の感情を探す旅である前半部分だけならイマジナリーフレンドとしてプーたちがいることはわかるのですが、後半部分ではプーたちが普通に街に出てきちゃいます。
クリストファー・ロビン以外にも見えるし喋れる。これではイマジナリーフレンドとしての立場が成立しなくなります。
さらにはオチでは強引にハッピーエンドに。嫌な上司は追っ払え、リストラの回避、業績回復、家族との幸せな時間。
綺麗にまとまりすぎててこっちの方が夢の中だと思わせてくれるところが非常にディズニー的ですね。良くも悪くもファンタジー。
そこで僕は思ったのです。妻子が旅立ったあの時から、クリスの心は本当に壊れて、そこからのお話はすべて妄想でしかないのではと。
クリスが慌てて仕事に向かう際にハチミツの瓶を倒してますよね、瓶が割れるんです。
ですが、プーが現れてハチミツを食べさせている際には瓶はそのまま。割れてもいないしこぼれてもいない。
序盤からストレスに晒されすぎて自分の殻に閉じこもってしまったクリスの妄想劇が本作の裏設定ではないかと思います。じゃないとあんな強引なハッピーエンドおかしいですからね!
だから世界は本当は灰色のまま。という解釈はどうでしょうか? ひねくれてますかね。『インセプション』的なことかと思ってます。
最後に
兎にも角にも、クリスに抱きつくプーが触りごごち抜群そうでたまりませんね。
イーヨーのネガティヴさもたまりません。励ましてあげたい。そして触りたい。
GANO
こっちの家族は幸せそう!
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