映画『ペンタゴン・ペーパーズ / 最高機密文書』 報道が仕えているのは政府ではなく国民である。真実を報じる勇気はあるか
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最終更新日:2019/01/20
映画
映画『ペンタゴン・ペーパーズ / 最高機密文書』 報道が仕えているのは政府ではなく国民である
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
2018年3月30日に日本でも公開となった『ペンタゴン・ペーパーズ / 最高機密文書』を観てきました!
アメリカの新聞社ワシントン・ポストの映画ですね。
では、まず予告編を観ていきましょう!
『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』予告編
社会派サスペンス映画ということがわかりますね
なぜ今この映画が作られたのか、も大事な部分ですね
『ペンタゴン・ペーパーズ / 最高機密文書』はこんな人にオススメ!
どんな人が『ペンタゴン・ペーパーズ / 最高機密文書』を楽しめるか考えてみました。
・歴史好きな人
・社会派映画が好きな人
・今現在起きていることに疑問を持っている人
こんな感じ。
この映画は1971年にアメリカで実際に起きた話を扱っているんですね。なので歴史に興味がある人、最近のトレンドとして史実を扱うってのが好きな人は楽しくてしょうがないはず。
そして社会派映画が好きな人。政府vs新聞社のお話ですから、ド派手なカーチェイスも魔法もありません。淡々と人々の心情と決断が描かれるのみ。その人間ドラマに酔いしれたい! そんな人、観ましょう。
最後に、今現在起きていることに疑問を持っている人。今現在、公開月から考えるとアメリカは2017年、日本は2018年ですね。どちらに当てはめても良い内容となっています。もうタイムリーすぎ! 観ましょう。
ではネタバレを含んだ感想を載せていきますね!
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『ペンタゴン・ペーパーズ / 最高機密文書』は政府と報道の戦いを描く
実話ベースでの映画ですのでネタバレも何もないんですが、これは政府と新聞社、報道ですね。その戦いを描いた作品となっています。
第二次世界大戦後、独立したベトナムとまた支配下に置きたいフランスが戦争を起こすんですね。南北に分かれたベトナム、フランスは南側です。
結果としてフランスは撤退するんですが、ベトナムは南北に分かれたまま。どちら側が政権を握るからでまた戦争が始まってしまいます。
南ベトナムを支援する形で軍事介入したアメリカでしたが、ここでペンタゴン・ペーパーズ! ベトナム戦争を記録・分析した文書が生まれます。
ソ連とアメリカは冷戦状態でして、ベトナム戦争はその代理戦争と言われています。ソ連は北ベトナム、アメリカは南ベトナムを支援していましたから代理的な争いになっていたんですね。
共産主義と資本主義の戦争で、ここで退いたら代理戦争ですから、ソ連にアメリカが負けたことになっちゃう、と政府は考えるんです。
だからどうしても戦って勝たなきゃいけない。でもどうやら、ベトナム戦争を分析してみると、どうやっても勝てそうにないぞ? と分かっちゃったんですよね。
負けは許されない、けど勝つことはできない。ん〜困った、これは文書を隠して戦争を続けよう! という政府の動きがあり戦いが続くこととなります。
若い男性が兵士としてベトナムに駆り出され、アメリカ政府のプライドを守る為に何十万人以上も亡くなったんですよ。
こんな戦い、なんで続けるんだ! とペンタゴン・ペーパーズを作成した本人がこっそり文書をコピーし各新聞社に送るんです。
最初に報じたのはニューヨーク・タイムズ、そのスクープに驚きつつも遅れるなと奮闘するワシントン・ポスト。この映画はワシントン・ポスト視点で描かれます。
ワシントン・ポスト視点ではありますが、政府vs報道と置き換えて観ることができます。
政府としては国民に嘘ついてたのがバレちゃうわけですから、阻止したいですよね。報道機関に圧力をかけていきます。反逆罪だ、ムショにブチ込め! と。
ワシントン・ポストとしては真実を報道したいんだけど、報道したら裁判になって負ければ投獄、会社は潰れるでしょう。
権力に屈するのか、恐れず報道するのか。その葛藤を描く作品になっています。なんだか歴史のお話ばかりしちゃってますね。そういう内容ですから!
渋い内容なんですけど、さすがスティーブン・スピルバーグ監督! サスペンスに仕上げ2時間ハラハラさせてくれます。もうめちゃめちゃ面白かったです。
『ペンタゴン・ペーパーズ / 最高機密文書』で女性の変化を観る
政府vs報道を描くことがメインではありますが、その一方で女性の躍進も描いた作品でもあります。
メリル・ストリープ演じるワシントン・ポスト社主・発行人のキャサリン・グラハムは投資家ユージン・メイヤーの娘です。お嬢様育ちってことですね。
夫であるフィル・グラハムが発行人になり、その後フィルが自殺してしまい“流れ”で発行人になってしまうんですね。お嬢様から急に会社を背負う重役となってしまう。
なので前半はもうオロオロする貴婦人といった感じで、周りの男性陣は話も聞かない。男尊女卑な時代だったんですかね。女性が会社のトップなんて馬鹿馬鹿しいと言わんばかりです。
そんな彼女が会社が潰れるかもしれない決断をせまられるんですね。
父親が買収し、夫が受け継いだこのワシントン・ポストを、もしかしたら政府に潰されてしまうかもしれない。社員たちやその家族の生活を台無しにしかねない。かなりの重圧です。
前半のキャサリンだったらすぐペンタゴン・ペーパーズの報道を辞めさせたでしょう。
そこでトム・ハンクス演じる編集長ベン・ブラッドリーが畳み掛ける。報道の自由がある、政府に屈するな! ベンはニューヨーク・タイムズに負けまいと奮起する野心家ではありますが、行動は真っ当ですよね。
真実を報じるか、嘘に屈するか。キャサリンは真実を報じることを選びます。この決断を下すシーンはめちゃめちゃカッコ良いですね。
キャサリンの勇気ある行動は報道の自由を守っただけでなく、夫や恋人、子供を戦場に行かせてしまった女性たちの救いにもなったんです。
裁判後に女性たちに見守られながら階段を降りるシーンは胸が熱くなりますね!
男尊女卑な流れを打ち切った瞬間を描く作品でもあり、なかなか爽快です。
『ペンタゴン・ペーパーズ / 最高機密文書』から時代を観る
1971年の映画ですから、現在2018年ですので47年前ですね。たった47年前と思っちゃうんですが、こうも違うのかと驚くシーンがありますね。
1970年代のタバコ事情
まず煙がモクモク! どこでもタバコ吸い放題です。レストランだろうとオフィスだろうと人の家だろうと好き勝手にタバコ吸ってます。
今は分煙が当たり前ですし喫煙スペースが設けられてその中で吸うのが基本です。
喫煙席をなくす飲食店も増えてきましたよね、喫煙者より非喫煙者の方がお金を多く落とすんだとか。集客もよくなるんだそうですよ。
パソコンなんてない!
映画『イミテーションゲーム』で今あるパソコンの元となる暗号解読マシンが出てきましたよね。
1940年代のお話でしたから、1971年ではあのデカデカとしたマシンはまだデスクに乗る四角い箱にすらなっていない時代です。
記事は何で書いているかというと、ワープロ? もまだありませんね。タイプライターです! 1971年ってまだタイプライターで記事書いていたんですね!
タバコ咥えてタイプライターをカチャカチャと。書き上げた原稿を持って走る! それを考えると今って便利ですよね。
でかい活版印刷機
今や新聞の存在すら怪しい時代、電子版が出ている時代ですが、1971年は新聞が情報源として強かった。テレビはその次と映画内で言われていましたね。
今の新聞はオフセット印刷ですが、1971年はなんと活版印刷!
あの小さな文字のハンコみたいなやつを一文字ずつ並べて文章の型を取ってまたそれを並べてと、1部作るのにどんだけの労力なのよって言いたくなる作業量です。
そんな活版印刷の流作業も劇中で観れちゃいます。紙なんかいらねーよ世代の僕ですが、さすがに興奮しました。
社内にエアシューター
エアシューター! 社内に通る一本の管! 日本語だと気送管ですね、というかエアシューターも和製英語なんだとか。
話には聞いていましたが実際に映像を観るのははじめてでした。
いやぁ、そんなん紙持って走って別の階行けよぐらいに思ってたんですが、一分一秒を争う場合にはエアシューターが重宝するんですね。
政府vs報道のドラマを観つつ、時代背景も楽しめちゃう良い映画です。
最後に
監督であるスティーブン・スピルバーグは、トランプ大統領就任45日後に本作を制作し始めたんだとか。
今こそこの事実を映画化し現在のメディアを運営する人たち、国民に伝えなければならないと思ったんでしょうね。ウォーターゲート事件も最後にありましたね、アメリカの今を考えて観ろよってことです。
日本も遅れて公開の2018年3月。遅れてしまったのか、このタイミングを狙ったのか。前者なはずなんですが、今現在の状況を考えると狙っているかのようですね。
何かおかしい、今起きていることはどういうことなのか? 考えるきっかけになる映画ですね。
ペンタゴン・ペーパーズ、めちゃめちゃ面白かった。分かってはいたが、日本リアルタイム過ぎる。
圧力と決断の連続で大きな動きはないんだけど、緊張の続く2時間です。スティーブン・スピルバーグとジョン・ウィリアムズのペア、やっぱりめちゃめちゃすごい!— GANO (@Past_Orange) 2018年3月31日
政府の嘘を暴く報道への圧力。報道の自由は守られるのか。
消えかけた報道の自由も、1人の決断から再び燃え広がる!
劇場高齢の方ばかりだったので、若い人も観てね!— GANO (@Past_Orange) 2018年3月31日
GANO
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