映画『ジョーカー』 何も失うものがない「無敵の人」を生むのは社会である。今の日本に生きる私たちはアーサーとさして変わらない
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映画『ジョーカー』 何も失うものがない「無敵の人」を生むのは社会である
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
2019年10月4日に日本公開となった『ジョーカー』を観てきました!
バットマンの宿敵ジョーカーの誕生を描いた映画ですね。
では、まず予告編を観ていきましょう!
映画『ジョーカー』本予告
めちゃめちゃ辛そうですよね。
「劇薬」と評される理由も気になります。
映画『ジョーカー』はこんな人にオススメ!
どんな人が『ジョーカー』を楽しめるか考えてみました。
・メンタルが安定している人
・生きづらさを感じている、感じたことのある人
・無敵の人という言葉を聞いたことがある人
こんな感じ。
メンタルが安定している人というか、安定している時に観てねって感じです。劇薬と呼ばれるのは、それぐらい影響されやすい映画だからなんです。
そして現代に生きづらさを感じている人。貧富の差を感じて苦しんでいる人は、共感できる部分があると思います。
最後に「無敵の人」という言葉を聞いたことがある人。ネットスラングですね。この映画はそんな人が生まれる映画だと言えます。
本当は全人類にオススメしたいほどの名作なんですが、かなり危険なので。少し解釈を違えるとジョーカー側になりえる、そんな映画です。
ではネタバレを含んだ感想を載せていきますね!
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『ジョーカー』 全てを失った人を作り出すのは社会と、無関心なあなた
本作は悪のカリスマであるジョーカーがどのようにして生まれたかを描く作品です。
あの狂気まみれの激ヤバ悪党はどんな奴がなるんだ? と観てみると、そこにいるのはごく普通の人間。
親の介護をしながら貧乏ながら仕事をしつつ、病気と闘いながら夢を追いかけて勉強をするごくごく普通の、僕らと変わらない人なんです。
ごく普通の人の延長線上に、狂気に満ちた悪がある。その怖さが伝わってくる作品となっています。
子供の頃に受けた暴力によって脳に支障をきたし、緊張すると笑ってしまうアーサーは、不気味がられ友人もできずに孤独そのもの。
仕事は無くなり、薬はもらえなく、見ず知らずの人に殴られ、恋人は妄想、母親と血の繋がりはなく虚言ばかり。
様々な繋がりが断たれていき、アーサーは何も持たないものになってしまいました。
「無敵の人」になるのは瞬間ではなく、日常的にじわじわと追い込まれていってなるってことがわかると思います。
何も失うものがない人ほど怖いものはありません。日本でもそういった人が無差別に人を殺し自らも命を断つ事件が起きていますよね。
彼らはアーサーなんですよ。世の中に絶望しルールを守る必要もなくなった人は、どんな恐ろしいことも平気でできてしまう。
じゃあアーサーは、アーサーのせいで無敵の人になってしまったのでしょうか? 殴られオモチャにされたのは自己責任?
そんなことないですよね。ジョーカーを生み出したのは社会そのものであり、無関心を決め込んだ人々みんなです。
「無敵の人」事件が起きると、その人個人を攻撃するような人たちも多くいます。確かに許されることではないんですが、そんなことしてもアーサーはより追い込まれるだけですよ。
アーサーのような孤独な人を生み出さないこと、貧困層から抜け出しやすいよう社会を変えていくことが大切なんです。
「私は攻めたりしない」「よくわからないから黙っておく」という人もいますが、果たして何もしないことは正しいのでしょうか?
先日公開された『アス』でも貧富の差をテーマにしています。
この映画でも同じですね、少し違えばモンスターに自分自身がなり得るんです。
あなた自身がジョーカーにならないように、あなたの周りの人が、あなたの知らない人がジョーカーにならないように。
思いやりと優しさと想像力を。おかしいことにおかしいと言える世の中づくりを。
そう言いたくなる映画です。
『ジョーカー』が劇薬と呼ばれるのは似た世の中だから
本作を観た人たちの感想でよく「劇薬」という言葉が使われています。
摂取すると体に大きな影響を与える危険な薬物に対して使う言葉ですね。
本作は80年前後を舞台にしていまして、というのも実際にロナルド・レーガンが80年代に行った富裕層減税と福祉削減が元なんですよね。
富裕層がより豊かになれば、お金が降りてきていづれ貧困層も豊かになるというトリクルダウン理論ですね。
その後どうなったかというと、景気改善とは言われたものの貧富の差はより広まったそうです。
なんで今そんな映画(『ジョーカー』だけでなく『アス』も同じテーマ)をやるの? というのも今も同じようなことをアメリカでやっているからなんです。
だから今の貧困層が本作を観ると、作中で起こった暴動が実際に起きかねないんですよ。だから劇薬と呼ばれています。
そして『アス』の感想にも書きましたが、これは日本の現状でもあるんです。
法人税減税と福祉削減と、映画公開時には消費税増税です。日本は30年ほどずっと不景気ですしね。
「トリクルダウンを信じてここまできたけど、実質賃金減少していくんだけど」って思っている人も多いのではないでしょうか?
今のアメリカも日本も、アーサー予備軍な人が多いんですよ。「無敵の人」事件が続くのはこのせいなんですよね。個人攻撃してる場合じゃないんです。
本作を観て吹っ切りてしまいジョーカー化する人が出てくるかもしれない、だから劇薬。
逆に、本作を観ることで今の貧富の差に目を向け真剣に考える人が増える、良薬にもなり得る作品だと僕は思います。
こんなひどい時代があったねと、本作を昔話として観れる時代が早くきてほしいと願うばかりです。
『ジョーカー』の感想でその人がどのタイプかわかる?
公開初日からかなり話題になっていて驚いています!
バットマンの関連映画って印象が強いのかなと思ったんですけど、DC知らないけど観たって人多いですよね。素晴らしい!
様々な人が観ているので感想も様々。どんな感想を言っているかでその人がどんなタイプの人か分かっちゃうかも。
こういう人を生み出しちゃいけない
アーサーに寄り添い、感情移入し、悲しい結末を避けなければいけないと嘆く人たちですね。
アーサーを演じたホアキン・フェニックスも「この映画を見て考えて話し合ってほしい」と言っているので、しっかり受け取れた人たちですね。
真面目なタイプ、物事は何層にも重なっていると知っている人たちです。信頼できますね。
良薬として受け取れたタイプと言えます。
かっこいい、なりたい!
おっと危ない! 劇薬として摂取してしまったタイプ。止めましょう。
確かに苦しそうにゆっくりと階段を上るより、愉快に踊りながら降りてくる姿の方が魅力的でカッコ良いですよね。
でもやっぱりジョーカーは悪だから。思うままに自由気ままに破壊するのはよくないです。
表面の暴力性だけ受け取ってしまったタイプ! または無敵の人予備軍かもしれません。ぜひ、周りの人は止めましょうね。
ただの悪党、意味がわからない
この感想が一番危ないのではないかと思います。
本作の世界を、現代の闇を作り出している人たちなのかもしれなせんね。トーマス・ウェインタイプです。
意味がわからないというか、他者の痛みを理解する努力をしない人。想像力がない人ですね。
ただわからないながらも映画を観に行っているので、まだ救いは残っています。
この人たちをどう変えていくかが鍵となるでしょう。
人生経験が浅いからノレなかった
この感想ね、多くなかったんですけど。何タイプってわけではないんですけど。
多分この感想を抱いた人は、何不自由なく生活してこれて、家族も友人もみんな幸せでこれたんだと思います。
だからアーサーの気持ちにノレなかった。ノレなかったけど、それは自分の人生経験が浅かったからだと言っているんですよ。
本人としてはノレないことを嘆いていたんですけど、僕としては「それだよ!!」って感じだったんです。
自分の人生で経験できるものってほんの一部だし、人の心なんてほとんどわかりません。
それを少しでも理解しようとするために映画を観るんですよね。
「人生経験が浅い自分ではわからなかった」と言えるその考え方は素晴らしいです! きっとわかるときも来るし、繰り返し観てほしいと思います。
この人のような感想を抱く人が多くなってくれると、世の中はもっと良くなると思います。
最後に
いや〜めちゃめちゃ良かったですね。『ダークナイト』のジョーカーと並びますね。
ティム・バートン『バットマン』やクリストファー・ノーラン『ダークナイト』を感じるシーンもあり、ファンにも嬉しい要素満点で楽しめました。アルフレッドだけ気にかかりますが。
ホアキン・フェニックスの演技も抜群でしたね!! 惚れました。
あとはキャスティングも抜群。ドラマの『トゥルー・ディテクティブ』や『アトランタ』が好きなのですごく良かったですよ。
正直オールタイムベスト10に入る気がします。
GANO
孤独から帰って来る強い人もいる
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