Vol.138 怪しさとヒネくれで進みコーラスでは急に素直になるコード進行。『Universal / Nate James』
公開日:
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最終更新日:2018/07/23
ANALYZE GANO's ANALYZE, Nate James
Universal / Nate James
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
ソウルとかファンク系の曲は、チャラついていたり俺についてこいみたいな歌詞が多いんだけど、そこがセクシーだったりします。
今回のは思いの外??
Nate James – Universal
イギリスのシンガーソングライター、Nate Jamesの2005年の楽曲。
語尾の音程をフォールする感じや楽曲のテイストなど、Jamiroquaiを連想させる1曲ですね。イギリスですし。
では、歌詞とコード進行を勉強していきましょう!
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Universalの歌詞について
歌詞の一部を引用してみていきましょう。
See now I’m not the picky type,
But I’m gonna go out and get what’s mine
Got to quest my appetite,
So much choice yet so little time.
選り好みはしない、ストライクゾーンはめっちゃ広いんだけど、確実に自分のことを好きになってくれなきゃ困るって感じ。
モテモテだよ? でもずっと好きでいてくれるの? と、ちょっと疑心暗鬼にも思えるスタートです。
I’m not feeling lonely,
I’m just biding my time
I’m searching for my beauty,
What I’m sure will be just mine
Don’t fuss about love,
Just looking for a good time
If you wanna come see me,
Don’t hesitate girl.
楽しみたいだけなんだ、愛とか固苦しく重々しく感じないでと言ってはいますが、チャラつき過ぎてはいないですね。
確実に手に入れたいという堅実さが見えてしまっています。ちょっと弱い感じ?
I keep it universal,
Just want to get my fun
No need for no rehearsal,
I wanna see the final show.
Just keep it universal,
I play the game to win
No need for no rehearsal,
Seen everything I need to know.
‘Cause I’m keeping this universal.
Universalは当たり前のことと訳しましたが、世界基準、一般的みたいなニュアンスですよね。
リハーサルみたいになかったことになるのは嫌だ、繰り返すなんてごめんだね、僕の最後の人になってくれと和訳してみると結構重め。
チャラついたお話かと思いきや、恋に慎重な感じですね。曲とのギャップがありますが、これは珍しい。
歌詞を書く際の参考にしてくださいね。
続いて、コード進行との関わりです。
Universalのコード進行について
ではコード進行を見ていきましょう。
ここではイントロ(ヴァース)は割愛、ブリッジ、コーラスと考えていきます。
ブリッジ
ブリッジ1 譜面で
キーエディターで
UniversalのキーはE♭マイナーになります。
E♭7→A♭7→C♭6→G♭なのでⅠ7→Ⅳ7→Ⅵ6→Ⅲです。
E♭7はA♭7へ向かうためのセカンダリードミナントです。トニックをドミナント7thにすると急に怪しさと小洒落た感がでますね。
A♭7もセカンダリードミナントのようですが、ここではD♭へ進みません。
内声でのレ♭→ド→ド♭→シ♭という半音の流れを作るために差し込まれています。
最後は平行調のトニックであるG♭で着地。マイナーの曲ですが明るいコードを使うことで素直でなく怪しい感じが出ています。
ブリッジ2 譜面で
キーエディターで
C♭→F♭→B♭→G♭→B♭なのでⅥ→♭Ⅱ→Ⅴ→Ⅲ→Ⅴです。
C♭より強進行でF♭へ、スムーズですね! F♭はノンダイアトニックコードですので、違和感と元の調に戻りたいという欲求を感じます。
そしてそこから増4度飛んでB♭。B♭はハーモニックマイナーで出てくるダイアトニックコードです。
なので出てきても普通に聞こえるはずなのですが、増4度の飛躍で現れるため怪しく感じますね。
メジャーコードだけのコード進行なのに、明るさだけでなく怪しさやスカした印象を受けるのは、調性が掴みづらいところにあると思います。
ブリッジ3 譜面で
キーエディターで
C♭→F♭→B♭なのでⅥ→♭Ⅱ→Ⅴです。
これはブリッジの前半部分のみで止まっているだけです。
B♭(5度)で止まることで、トニックへ戻りたくなるような、期待感を抱かせています。
ただし、やはり増4度で飛躍してきているため通常より期待感は薄め。日本的なサビ感がコーラスに生まれないのはこういった部分ではないでしょうか。
コーラス
譜面で
キーエディターで
E♭m7→A♭7→D♭7→G♭なのでⅠm7→Ⅳ7→Ⅶ7→Ⅲです。
コーラスに来て急に怪しさが薄らぎましたね。ここにきて非常に正直なコード進行です。
コーラスはなんか物足りないんだよねと思った方、あなたはヒネくれた曲が好きなのです。
強進行の連続、D♭7へ向かうためのセカンダリードミナントA♭7。G♭へ行くことを考えるとドッペルドミナントですね。
シンプルで明るく元気、分かりやすいコード進行です。
みずいろの雨 / 八神純子では近いコード進行が使われています。
この後ブリッジ3と同じコード進行が使われてコーラスが1週します。
最後に
楽曲と歌詞の内容が釣り合っていないような気もしますが、こういったアプローチがNate流かも?
GANO
これも絶対好きなはず
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