Vol.71 悪い人だけど、でもどうしても惹かれてしまう。『You’re a cad / The bird and the Bee』
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最終更新日:2018/07/23
ANALYZE GANO's ANALYZE, The bird and the Bee
You’re a cad / The bird and the Bee
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
不良、悪そうな男はモテるって話は昔からありますが、強そうな男性に惹かれる女性は今の時代でも多いのでしょうか?僕はどちらかと言えば逆サイドの人間なので、なんで悪いのに人気があるんだ!なんて思ってしまいますが、それこそ女心がわかっていないのかも知れないですね。
今回紹介するのはこんな曲!
The Bird and the Bee – You’re a Cad
The Bird and the Beeはアメリカのロサンゼルスで活動しているポップグループです。エレクトロポップとして紹介されているケースが多いですが、この曲はエレクトロ要素がないのでポップグループとしてみました。
怪しさと可愛らしさが混在した素敵な曲だと思いませんか?歌以外の部分をすべて担当するGreg Kurstinはジャズピアノの名手でして、The Bird and the Bee以外にもプロデューサーとしてLily AllenやKaty Perryなどなど多くの楽曲を制作しています。表舞台も裏方もできちゃうすごい人です!
『The Bird and the Bee』とは英語で「性に関する初歩的知識」という意味。子供から大人になる直前のような、不安定で楽しくてアホらしい時期だと僕は思いました。中学生ぐらいだろうな。
そんなコミカルな要素にもアダルトな要素にも聞こえるグループ名を付けちゃうところも魅力の一つですね。
さて、ラグタイムを現代風にアレンジしたような可愛らしいこの楽曲、いったいどんな曲なのでしょうか?
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You’re a cadの歌詞について
cadとは不良とか悪い人って意味ですね。
So now you want the whole world to notice that you’ve come around,
Now you expect,
We’ll see how you’re really so much better now,
But I know the truth, I won’t waste my youth
おお〜っと、冒頭からよくわかりませんね。あなたは悪い人というタイトルなのですが、男はみんなに好かれたいと思っているようです。主人公の女性は本当のことを知っているようなのですが、実際はどうなのでしょう?
On a cad and a bounder, a dog and a cheat
All the lives that you’ve had, all the hearts you eat
You’re a rascal and a rogue, a villain and a crook
Still I tug at your line, I’m a fish on your hook
I should be better, but I’m worse…
あっ、結局悪い男なんですね。世の悪い奴らを束ねて転がすような大物の悪のようです。でもそんな人って分かっているのに釣られてしまう私...って。これですよ、女性はなぜ悪い男と分かってて惹かれてしまうんでしょうかね〜困っちゃいますね〜良い人はただの良い人止りで魅力がないんですかね〜
What’s the point pretending that you could be a better man
Just give in, since you always end up right back where you began
Still I know the truth, but I have a sweet tooth…
相手の男性も良い人になろうと努力をするのですが、どうやら根本から悪なようで元に戻ってしまうみたい。でもそこに惹かれてしまう!甘党って厳しい奴より甘やかしてくれる悪い男が好きってことでしょうか?困っちゃうね!!
モテるために良い人を演じている男性皆さん、ちょっと悪い要素を出すと状況が一変する可能性ありですよ!
You’re a cadのコード進行について
この曲で歌われているのは、悪い人なんだけど良い人になろうとしている男性と、そんな男性にダメだと思いつつも惹かれてしまう女性の二人です。真逆の感情が行ったり来たりする歌詞になっていますので、それに合わせてコード進行もメジャーなのかマイナーなのか不安定です。
キーはAメジャーだとします。するとこれはⅡm→Ⅳm→Ⅰ→Ⅵですね。前半2小節はマイナーコードが続き怪しい雰囲気を出しているのに対し、後半2小節はメジャーコードで非常に明るく聞こえます。3和音なのでより怪しさと明るさが伝わってきますね。
Dmは同主調のAマイナーキーからの借用、F#はBmへ進むためのセカンダリードミナントになっています。4小節中の半分が借用になっていて、コード間の移動もスムーズとは言えずちょっとぎこちない感じ。ちぐはぐな感情をコード進行で表現していますね!歌のメロディーもとっても歌いづらいです!!
Ⅵm→♭Ⅵaug→Ⅱm→Ⅴ→Ⅰ→Ⅲですね。C#はF#mへ進むためのセカンダリードミナントです。Faugを抜かしたⅥm→Ⅱm→Ⅴ→Ⅰ→Ⅲであればすんなりと聴けるコード進行なのですが、あえてFaugを入れることで怪しさを保っています。
augやdimといったコードはコードとコードを繋ぐ際にベースラインに合わせて一瞬だけ入れるパッシングコードとして使うことが多いのですが、この曲ではしっかりFaugを押し出して使っています。
これもちぐはぐな感情を表す一手間ですね!F#m→Bm→E→A→C#で済むところに不穏なコードを1つ追加する工夫、この気配りが大事ですね。歌詞の世界観をコード進行でも支えてあげることでより良い楽曲に仕上がっています。
ありふれたコード進行でも、一工夫入れてあげることで印象をガラッと変える可能性があるので、手グセに悩んでいる方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
最後に
力が強い男性がモテる時代は終わって知性のある男性がモテる時代だと思っていたのですが、やっぱり悪くて危ない香りのする男性に惹かれる女性は一定数いるようです。
モテないと悩む男性皆さん、ありきたりな行動に一工夫入れて印象をガラッと変えてみてはどうでしょうか?
GANO
弱々しいダメ男は人気ないのかな...
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