Vol.152 1つのコード進行を応用して1曲に『What You Won’t Do for Love / Bobby Caldwell』

公開日: : 最終更新日:2018/07/24 ANALYZE

What You Won’t Do for Love / Bobby Caldwell

どうも、GANO(@Past_Orange)です。

うまいことを言いたい時に使いたい言葉「灯台下暗し」。

「灯台下暗し」は時に切なさや哀愁を生みます。恋の歌にも「灯台下暗し」的な表現は結構出てきますね。

今回紹介するのはこの曲!


Bobby Caldwell – What you won’t do for love

アメリカのシンガーソングライター、Bobby Caldwellの1978年のナンバー。

ミスターAORというような言われ方をするように、AORシーンを作った人ですね。

そしてこの定番曲! 多くのカヴァーと、そしてサンプリング曲を生み出しました。

では、歌詞とコード進行を勉強していきましょう!

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What You Won’t Do for Love の歌詞について

歌詞の一部を引用して見ていきましょう。

I guess you wonder where I’ve been
I searched to find a love within
I came back to let you know
Got a thing for you and I can’t let go

どうやらどこかに行って、そして帰ってきたみたい。口説きに戻ってきたようですね。

君は不思議がっていた、と言っているように、この主人公は急に出て行ったんじゃないでしょうか。

火遊びして飛び回って、でもやっぱ君が一番だったよ。そんなプレイボーイ感も感じられます。

My friends wonder what is wrong with me
Well I’m in a daze from your love, you see
I came back to let you know
Got a thing for you and I can’t let go

あんなに遊んでたのに、これまた急に1人の女性の元に戻るなんでどうかしたんじゃないの?

なんて友達に言われたのでしょう。遊ぼうと思えばいくらでも遊べる、でも君がいなきゃだめなんだと、すごい言い回し。

そういえばインディー・ジョーンズも『クリスタル・スカルの王国』でマリオンにそんなこと言ってましたね。

Some people go around the world for love
But they may never find what they dream of

コーラス部分ですね、今までプレイボーイ感満載、主語がIばかりだったのに、ここにきてとっても広いこと歌ってます。

この曲がどこか切なく、甘さだけでなく苦さも感じるのは、ただのプレイボーイソングではないからなんですね。

歌詞の最初であったように、主人公自身も愛を求めて世界を飛び回っていたはず。

そんな過去の自分を含めた、答えのようなものがコーラスにあります。

世界中に飛び回っても見つからない本当の愛、それは一番近くにあるもの。そんな、灯台下暗しな内容になっています。

主人公は気づくことができたけど、多くの人は気づくことができずさまよい続ける。ちょっと哀愁が出てますよね。

歌詞を書く際の参考にしてくださいね。

続いて、コード進行との関わりです。

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What You Won’t Do for Love のコード進行について

次にコード進行を見ていきましょう。

イントロもヴァースもコーラスもあるっちゃあるのですが、全体を通して3つのコード進行を使っているだけなので、今回は羅列していこうと思います!

そしてもう1つ、3つコード進行があると言いましたが、ぶっちゃけ全部同じです。

同じコード進行を、ちょこっとずつ変えて3つにしてあります。

なので、自分なりにちょこちょこアレンジして使ってみてくださいね。

コード進行1

譜面で

キーエディターで

What You Won’t Do for LoveのキーはF#マイナーになります。

DM7→A/C#→C#m/F#→A6なのでⅥM7→Ⅲ/Ⅴ→Ⅴm/Ⅰ→Ⅲ6です。

2個目のコードはA/C#と書いていますが、ところどころAM7add9/C#みたいなことにもなってます。

気分によって響かせる音が変わっているような。スタンダードな流れにしたいならC#m7にするのが良いでしょう。

どのコードも分数であったり6thを使っていたり曖昧な響きとなっています。

原型はDM7→C#7→F#m7→A7ですね。

セカンダリードミナント部分を強烈な進行にならないよう避けている印象です。リッチな流れ。

コード進行2

譜面で

キーエディターで

DM7→A/C#→C#m/F#→BなのでⅥM7→Ⅲ/Ⅴ→Ⅴm/Ⅰ→Ⅳです。

コード進行1と似てますね、最後がBになっただけです。

ここもB7にせず強烈な進行感を薄めている感じ。

Eへ進むためのセカンダリードミナントですが、DM7へ戻ってくるので元から避けてるんですよね。

だからB7でもそこまで強い流れは生まれません。メロディーとの兼ね合いで差し替えるとよいと思います。

コード進行3

譜面で

キーエディターで

DM7→C#m7→F#m7→B7なのでⅥM7→Ⅴm7→Ⅰm7→Ⅳ7です。

3つの中で一番スタンダードなコード進行となっています。

コード進行1と2を合わせて整えた形ですね。

ここから変形していって様々な響きが生まれているので、例えばC#m7をC#7に変えてみたりとちょこっとずつ変えて遊んでみると良いです。

そのうちに良いメロディーが浮かんできたりして、ここのメロディーはこう動きたいからコードはちょこっと変えよう! なんてやってるとコード進行1や2のようになっていきます。

ぜひ遊んでみてくださいね!

↓GANOが作った作曲ツールです!↓
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最後に

なんで今まで取り上げなかったんだというぐらい有名な、おしゃれコード進行曲でした。

コード進行はいろんな解釈の仕方があり、この曲もいろんなコードの書き方をされています。自分なりに分かりやすく解釈してみると良いです。

いきなり複雑なコードを使うんじゃなくて、徐々に崩していって自分のものにしてくださいね!

GANO

Bobby Caldwellに影響されまくった男



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    作詞曲家・DTMer・WEBライター。DTMを中心に歌モノ・BGMを制作しています。シティポップ系やブレイクビーツなどを好んでます。
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