Vol.11 流れるようなベースラインが明るさと怪しさを共存させる。『D.A.N.C.E. / Justice』

公開日: : 最終更新日:2018/07/23 ANALYZE ,

D.A.N.C.E. / Justice

どうも、GANO(@Past_Orange)です。

今回紹介するの初期フレンチエレクトロの代表曲であるこの曲!


D.A.N.C.E. / Justice

このTシャツの柄が変わっていくMVは見たことあるはず!

エレクトロデュオ、フランスのJusticeの2007年の楽曲になります。

彼らはDaft Punkからエレクトロというジャンルを引き継いだ存在だと僕は思っています。

Michael Jacksonへのトリビュート

ブリブリのベース音とサンプリングされたストリングス、そして少年聖歌隊(ロンドンのらしい)の歌声が心地いい曲です。

この曲はMichael Jacksonへのトリビュートということも有名です。

ストリングスと少年の可愛い歌声がJackson 5を思わせます。

残念なことに、この2年後にはマイケルは亡くなってしまうのですが...

では歌詞とコード進行を勉強していきましょう!

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D.A.N.C.E.の歌詞について

歌詞の一部を引用して見ていきましょう。

Do the D.A.N.C.E.
One, two, three, four, fight
Stick to the B.E.A.T.
Get ready to ignite
You were such a P.Y.T.
Catching all the lights
Just easy as A.B.C.
That’s how you make it right

Under the spotlights
Neither black nor white
It doesn’t matter
Do the dance
As strong as you might
Working day and night
Whatever happens

大まかな訳を載せてみました。

踊ろうよ! って歌詞でして。特に意味は、ないと言ってもいいでしょうか?

実はこの歌詞も、Michael Jacksonの楽曲から取り入れています。

例えば「A.B.C.」や「P.Y.T.」や「Black or White」など楽曲名や歌詞から引用されています。

P.Y.T.とはPretty Young Thingの略でして、マイケルが使ったことから広まった略語なんだとか。

歌詞の内容はマイケルの楽曲から引用して継ぎはぎしたようなので聴き心地重視な感じがしますね。

深みを持たせるよりは、歯切れの良さを重視している、これが歌ものではなくエレクトロだと言える要因だと思います。

歌詞を書く際の参考にしてくださいね。

続いて、コード進行との関わりです。

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D.A.N.C.E.のコード進行とメロディについて

では、コード進行を見ていきましょう。

イントロ・コーラスと考えていきます。

イントロ

イントロ1 譜面で
dance1

キーエディターで
dance2

ここではキーをF#マイナーとして考えていきます。

A→E/G#→F#m→EなのでⅢ→Ⅶ/Ⅱ→Ⅰm→Ⅶです。

Aメジャーだった場合Ⅰ→Ⅴ/Ⅶ→Ⅵm→Ⅴです。と考えると、ほぼカノン進行ですね。

非常に明るいコード進行ですね!

ベースがゆっくりと下降してくる感じが、語りかけてくるようで美しいです。

イントロ2 譜面で
dance3

キーエディターで
dance4

D→D#m♭5→EなのでⅥ→#Ⅵm♭5→Ⅶです。

イントロ1のコード進行に反して、ベースが半音で登っていきます。

経過的に入るD#m♭5という不穏な響きも美しさを引き立てていますね。

ここまでのコード進行は比較的明るくてスタンダードです。

イントロ3 譜面で
dance5

キーエディターで
dance6

D→Dm→C#m→B#m♭5→Bm→EなのでⅥ→Ⅵm→Ⅴm→#Ⅳm♭5→Ⅳm→Ⅶです。

D→Dmの部分や、Dm→C#m→B#m♭5→Bmと半音で下降していく部分など、ここにきて急に怪しい雰囲気が出てきましたね。

場面転換を予測させるようなコード進行です。

不穏な空気を漂わせながらも、最後はBm→Eで強進行をし勢いがついています。

繊細な怪しさを出したい時に使いたいコード進行ですね!

Aメロ

譜面で
dance7

キーエディターで
dance8

F#m→F#m7/E→D#m♭5→D→Dm/FなのでⅠm→Ⅰm7/Ⅶ→#Ⅵm♭5→Ⅵ→Ⅵm/♭Ⅰです。

またもやベースが下降していくコード進行です。この曲はこのベースラインがウリなんです。

演奏はとっても簡単。F#mを弾きつつ、ベースを下降していくだけです。

そして最後だけD→Dm/Fと動く。

これだけなのに非常に劇的で怪しいですよね。

ベースラインの動きで明るさや怪しさを表現している曲だといます。

コード進行とメロディの関係

この曲、アレンジもすごい冴えてるんです。

コードチェンジやメロディはまったく拍をくわずにカッチリと流れていくんですね、タイがいっさいないんですよねこの曲。

このすべてがカッチリの中でストリングスが拍をまたいでくる。ここがかっこいい!

特徴的なストリングスの音がグルーヴ感を出しているのだと感じます。

そしてメロディにも注目を。

イントロで歌われていたメロディがAメロでも歌われているんです。

動画では1:05からですね。

同じメロディに違うコードを付けるリハーモナイズという手法を使っているんです。

これを行うことによって、歌詞の聞こえ方(意味も含め)が変わるんですね。

繰り返すだけの歌詞をリハーモナイズすることによって、マンネリを回避しているんです。

dothe4

そしてBメロになってやっとメロディが滑り落ちるように拍をまたいでいきます。

動画では1:55から。

要所要所でダンスミュージックでありがちな”繰り返すだけ繰り返してマンネリ化する現象”を回避しています。うまい!

そして3分でスッキリと終わらせる、しっかりとパッケージされてる印象です。

↓GANOが作った作曲ツールです!↓
thumbnail

最後に

ダンスミュージックでありながらも一般ウケもいい要因は、こういった「マンネリ回避」でしょう。これが狙って常にできるといいですよね。

フランスエレクトロはどんどん進化しているので、ぜひ他の曲も探してみてくださいね!

GANO

Daft Punkも好きではないですか?



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    作詞曲家・DTMer・WEBライター。DTMを中心に歌モノ・BGMを制作しています。シティポップ系やブレイクビーツなどを好んでます。
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