Vol.127 ♭9や♭13が半音でぶつかり不穏な空気を演出する繊細な1曲。『Dream On / Aerosmith』

公開日: : ANALYZE ,

Dream On / Aerosmith

どうも、GANO(@Past_Orange)です。

「夢は必ず叶う」という歌詞は薄っぺらく聞こえることの方が多いという記事を以前書きました。

「夢」という自分にとって都合の良い言葉をうまく使うには、その背景に深みを出すと良いかと思います。

今回紹介するのはこの曲!

Aerosmith – Dream On

1973年、アメリカのロックバンドAerosmithの1曲です。1st Albumに収録され、その後人気がジワジワと出てシングルカットもされた曲です。

最後の最後になって「Dream On」が繰り返し歌われるのが印象的です。ためてためて最後にドン!

では、歌詞とコード進行を勉強していきましょう!

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Dream Onの歌詞について

歌詞の一部を引用してみていきましょう。

Every time I look in the mirror
All these lines on my face getting clearer
The past is gone
It went by like dusk to dawn
いつも鏡を覗き込むんだ
顔のシワがドンドンと目立つようになる
過去は過ぎ去った
まるで夜明けまでの夕暮れのように

日に日にシワが増えていく自分の顔を見て時の流れを感じていますね。

夕暮れがいつの間にか夜明けに変わる、当たり前のように時は流れていく。過去となった出来事だって、過ぎ去って忘れる。そんな感じ。

Isn’t that the way?
Everybody’s got their dues in life to pay
そんなものだろ?
誰にでも人生のツケを払う期日があるんだ

過ぎ去って忘れたことも、何もしなかったことも、すべてツケのようなもので払わなければいけなくなるよと歌います。

なんとなく過ぎていくけど、気がついた時にはもう遅い、そうなることを言っています。

I know nobody knows
Where it comes and where it goes
I know it’s everybody’s sin
You got to lose to know how to win
誰も知らないんだ
どこから来てどこへ行くのか
これは人々の罪なんだよ
勝ち方を知るためには負けなければいけない

この先どうなるかなんて誰にもわからない。罪とは、こんなことを考えてしまうことについてではないでしょうか?

勝つためには負けるしかない。う〜ん、挫折や失敗があるからこそ成功が生まれるということでしょうか。

Half my life’s in books’ written pages
Live and learn from fools and from sages
You know it’s true
All the things come back to you
半生はすでに本に書かれていた
愚か者や賢い者から生きながら教わった
それは真実だとわかっているはず
すべてのことはいずれ自分に返ってくる

自分の人生について考えだしたときには、もうすでに折り返し地点まで来てしまったと嘆いています。

愚か者や賢い者から人生の中で様々なことを教わってきたけど、どちらの言うことも本当だったと。

良い方向か悪い方向かわからないけど、どんな方向に進もうと自分に返ってくると歌います。

良き行いをすれば何か良いことがあるよと、前向きな考えなようにも聞こえますね。

Sing with me, sing for the year
Sing for the laughter, sing for the tear
Sing with me if it’s just for today
Maybe tomorrow the good Lord will take you away
私と一緒に年月を、笑いや涙を歌おう
今日だけでも一緒に歌おう
きっと明日は神がどこかへ連れ去ってくれるさ

だから今は人生の様々なことを歌おう。

良いことも悪いこともいろいろあったけど、その全てはもう過ぎたこと。すべてに感謝して、明日に進もうと歌います。

きっと明日になれば良いことが起こるだろうと。

「Dream On」夢を見ようというタイトルとは違い、内容や曲調はネガティブな感じがしませんか?

明日への祈りのような曲に僕は聞こえます。

歌詞を書く際の参考にしてくださいね。

続いて、コード進行との関わりです。

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Dream Onのコード進行について

ではコード進行を見ていきましょう。

ここではイントロ・ヴァース・コーラス・間奏・ブリッジと考えていきます。

イントロ

イントロ1 譜面で
dm1

キーエディターで
dm2

Dream OnのキーはFマイナーになります。

Fm→Cm/F→Fm6→Fsus2(♭13)なのでⅠm→Ⅴm/Ⅰ→Ⅰm6→Ⅰsus2(♭13)

Fmのワンコードと考えて大丈夫です。

内声がファ→ミ♭→レ→レ♭という動きをして印象的ですよね。

Fm6のレはノンダイアトニックでディミニッシュな響きを作り出していますし、Fsus2(♭13)のレ♭はFのドと半音でぶつかっています。

不穏でネガティブな印象を受けるコード進行ですね。

イントロ2 譜面で
dm3

キーエディターで
dm4

Fm→Fsus4→FmなのでⅠm→Ⅰsus4→Ⅰmです。

こちらもFmのワンコードですね。変化を与えるためにsus4が間に挟んであります。

ワンコードで停滞しているのですが、ラ♭→シ♭→ドと内声を動かすことで少し上を向くような、繊細な感情表現がされています。

イントロ3 譜面で
dm5

キーエディターで
dm6

B♭7→E♭7(13)→Edim7(♭13)→FmなのでⅣ7→Ⅶ7(13)→#Ⅶdim7(♭13)→Ⅰmです。

ここでもイントロ1で見られた半音のぶつかりが印象的に使われています。E♭7(13)→Edim7(♭13)ですね。

こちら、ぶつかっているレ♭を抜かして弾いてみるとCm7→C7の転回形だということがわかります。

そう考えるとフォーファイブワンのおなじみの流れになっていることがわかりますね。

半音のぶつかりはカッコ良いですがつかいづらさもあるので、B♭7→Cm7/E♭→C7/E→Fmに置き換えて使うのも良いですよ。

ヴァース

ヴァース1 譜面で
dm7

キーエディターで
dm8

イントロ1のコード進行を繰り返したのち、ヴァース1になります。

Dm7♭5→Csus4→C→Dm7♭5→Fsus2/D♭なので#Ⅵm7♭5→Ⅴsus4→Ⅴ→#Ⅵm7♭5→Ⅰsus2/Ⅵです。

ディミニッシュな響き、ノンダイアトニックコード、半音でのぶつかりなどアクが強いコード進行ですね。

Dm7♭5からCへと一気に解決するのではなく、sus4を挟むことで半音1音ずつずらして解決しています。繊細なコード進行ですね。

CはFへいくためのドミナントです。Fへはいきませんが、Fm6と構成音が同じDm7♭5へ進むので違和感なく聞こえるかと思います。

ヴァース2 譜面で
dm9

キーエディターで
dm10

C(♭9)→D♭/C→G♭m/C→C7(♭9)なのでⅤ(♭9)→Ⅵ/Ⅴ→♭Ⅱm/Ⅴ→Ⅴ7(♭9)です。

Cのワンコードですね。常にレ♭がルートとぶつかっていて不穏です。

Cに7thがついてドミナントセブンスとなる流れを構成音を半音で移動させることで作っているところがカッコ良いですね!

短3度音程が半音で上昇していく展開、そして半音でぶつかり続ける展開が合わさったコード進行です。

コーラス

コーラス1 譜面で
dm11

キーエディターで
dm12

Fm→E♭→D♭→E♭なのでⅠm→Ⅶ→Ⅵ→Ⅶです。

コーラスに解放されたかのようなシンプルさ、ダイアトニックコードを順番に鳴らす素直なコード進行です。

いままでの不穏な空気が一掃されたような力強さと前向きさがありますね!

Somebody That I Used To Know / Gotye feat. Kimbraでも同じコード進行が使われています。

コーラス2 譜面で
do1

キーエディターで
dm14

Fm→E♭→Fm6/D→C♭M7→C7(♭9)なのでⅠm→Ⅶ→Ⅰm6/#Ⅵ→ⅥM7→Ⅴ7(♭9)です。

コーラス1で前向きで力強い印象を与えたにも関わらず、ここではまた不穏な響きへと戻っていきます。

ベースがE♭から半音で降ってくるところが最も特徴的ですね。そしてディミニッシュな響きと半音のぶつかり。徹底しています。

間奏

間奏1 譜面で
dm15

キーエディターで
dm16

Fm→C7/F→Cm/F→B♭7なのでⅠm→Ⅴ7/Ⅰ→Ⅴm/Ⅰ→Ⅳ7です。

内声がファ→ミ→ミ♭→レと半音で下降してきます。ここ、めっちゃ美しい。

Fで停滞してしまう気持ち、ドミナントセブンスコードで前に進みたい気持ちが混在するようなコード進行だと思います。

最後の最後で強進行するところも、決心して立ち上がったような印象を僕は受けます。

間奏2 譜面で
dm17

キーエディターで
dm18

E♭7(13)→Edim7(♭13)→FmなのでⅦ7(13)→#Ⅶdim7(♭13)→Ⅰmです。

イントロ3で使われていたコード進行ですね。

同様に、ぶつかっているレ♭を抜かして弾いてみるとCm7→C7の転回形だということがわかります。

Ⅴ→Ⅰmをより繊細にしたコード進行だと言えます。

ブリッジ

ブリッジ1 譜面で
dm19

キーエディターで
dm20

B♭→C→D♭→E♭→FmなのでⅣ→Ⅴ→Ⅵ→Ⅶ→Ⅰmです。

メジャーコードをスライドしてつなげたわかりやすいコード進行です。明るく、上昇していく動きが特徴ですね。

「Dream On」と連呼する部分で使われています。最後の最後で「夢を見よう!」と心を奮い立たせているような印象です。

ブリッジ2 譜面で
dm21

キーエディターで
dm22

ブリッジ1の最後、Fmへ行かずにブリッジ2へつながります。

F→G→A♭→B♭→C7(♭9)なのでⅠ→Ⅱ→Ⅲ→Ⅳ→Ⅴ7(♭9)です。

ブリッジ1と同様、メジャーコードをスライドしてつなげたわかりやすいコード進行です。明るく、上昇していく動きが特徴ですね。

問題は最後のC7(♭9)、ここまでガッツリと気持ちを高ぶらせ前向きになってきたのに、やっぱり不穏な空気が出てしまいます。

100%完璧に前向きにはなれなかったのでしょう。夢に酔いしれ切ることができず、♭9が混じってしまいます。

楽曲の最後もC7(♭9)のまま、解決できず不完全燃焼で終わります。

夢を夢だと認識している時点で、現実を意識しているわけですから、少しのネガティブが混ざるのは当然なのかもしれません。

↓GANOが作った作曲ツールです!↓
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最後に

コード進行、ギターのリフから繊細な感情表現がされている楽曲でした。

前向きなだけの楽曲は深みがないと感じることが多いです。このような、少しの陰りを混ぜてみてはいかがですか?

GANO

とてつもなくやりきれない絶望感



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  • gano1
    作詞曲家・DTMer・WEBライター。DTMを中心に歌モノ・BGMを制作しています。シティポップ系やブレイクビーツなどを好んでます。
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