Vol.141 すれ違う2つの心を、コード進行が優しく包む。『One Of These Hearts / Benny Sings』
公開日:
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最終更新日:2018/07/23
ANALYZE Benny Sings, GANO's ANALYZE
One Of These Hearts / Benny Sings
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
恋愛での男女のすれ違いは必ず起こります。起こらないカップルがいたらどうしてそうなるか教えてほしいね。
すれ違いで生まれた亀裂を修復するのは難しい。どちらかが歩み寄らないといけません。
今回紹介するのはこの曲!
Benny Sings – One Of These Hearts
オランダのシンガーソングライター、Benny Singsの2015年の楽曲です。
Album「STUDIO」からのシングルカットとなりますね。リリックビデオとしてMVが制作されています。
Benny Singsらしい優しく語りかけるような曲となっていますね。
男性がなにやら険しい表情で紙をペラペラめくるMVですが、どんな内容なのでしょうか?
では、歌詞とコード進行を勉強していきましょう!
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One Of These Heartsの歌詞について
歌詞の一部を引用して見ていきましょう。
One of these hearts
Is breaking apart because it knows
One of these hands
Is ‘bout to let go
Most of these words
Will come out all wrong and some too late
Cause one of these hearts
Has went its own way
「One of these」でどちらか1つって意味ですね。この場合は男女どちらかはって意味になります。
仲良しだった2人が何かをきっかけに関係悪化、言葉は役立たずでうまくいかない。
だから2人はすれ違ったまま離れていってしまうんだねと、その状況自体を説明しているようです。
One of these days
One of these minds
Will not look back it will be made up
And it’ll take time
Before one of these hearts
Picks itself up and then
Skips a beat again
“One of these days One of these minds”は別の意味でも訳せますが、ここでは流れに沿ってあの日やあの時の気持ちとしてみました。
時は戻せないし、関係を修復するにも時間がかかってしまうけど、また仲良くやっていこうよと説得しています。
あの頃に戻るのではなく、傷を癒し理解しあって前進しようと話しかけます。
One of these hearts
Can no longer take the weight of love
Still one of these hands
Tries to hold on
Some of these tears
Will run out but most will flow in vain
Cause one of these hearts
Has went its own way
愛情のバランスが悪く偏っていて、強引に引きつけようとする側とそれが嫌で離れる側。悪循環にはまってしまったようにも感じます。
枯れたはずの涙もまた溢れてきて、耐えられずに離れてしまう。
う〜ん、説得は果たしてうまくいくのでしょうか?
よりを戻そうと語りかける内容となっています。
歌詞を書く際の参考にしてくださいね。
続いて、コード進行との関わりです。
One Of These Heartsのコード進行について
ではコード進行を見ていきましょう。
ここではヴァース・コーラスと考えていきます。
ヴァース
譜面で
キーエディターで
One Of These HeartsのキーはFメジャーになります。
FM7→B♭M7→C→Dm7→Gm7→Gm7/CなのでⅠM7→ⅣM7→Ⅴ→Ⅵm7→Ⅱm7→Ⅱm7/Ⅴです。
少し長いですが、流れが綺麗なのでこれで1つと考えます。
B♭M7→C→Dm7では、Cはパッシングとして入っているのでなくても良いです。
ただCが入るだけで順序立ててしゃべっているような、丁寧な歩みを感じますね。C7やCM7など7thを加えるとイメージが変わってしまうのでご注意を。
Dm7以降も強進行するのみですね。Gm7/CはC7の代用です。
C7だと強烈にトニックに戻りたくなるところを、分数コードを使うことで柔らかくほぐしています。
丁寧で美しいコード進行です。
コーラス
コーラス1 譜面で
キーエディターで
B♭M7→Am7→Gm7→A7→Dm7→Dm7/CなのでⅣM7→Ⅲm7→Ⅱm7→Ⅲ7→Ⅵm7→Ⅵm7/Ⅴです。
4度のB♭M7からダイアトニックコードを下降してきて、2度のGm7で切り返すコード進行です。
Am7を聴かせた後、Gm7を挟んでDm7へ進むためのセカンダリードミナントであるA7が現れるため、対比となりよりA7が切なく聴こえます。
最後のDm7/Cはベースをレ→ドと動かして頭のシ♭へスムーズにつなげるために挿入されています。
繰り返し使えるコード進行ですね。
A Dream Goes On Forever / Todd Rundgrenでは、似ているコード進行を使っています。
コーラス2 譜面で
キーエディターで
B♭M7→Am7→G7→Gm7/CなのでⅣM7→Ⅲm7→Ⅱ7→Ⅱm7/Ⅴです。
コーラス1と似たコード進行でして、コーラス1があってこそ威力がでると言えます。
G7はCへ向かうためのセカンダリードミナントですね。実際はCではなくGm7/Cですが、ドッペルドミナントだと言えます。
Gm7が来るべきところにノンダイアトニックコードであるG7がくるで、緊張感を与えることができます。
その緊張をGm7/Cで優しくほぐす、そんな流れのコード進行です。
最後に
優しい楽曲の中には、優しく語りかけるような内容がありました。
これを読んでからもう一度MVを見ると、最後の最後に女性が立ち上がったかのような目線を男性が送っています。
女性は男性の元へ駆け寄ったのか、それとも説得が通じず部屋から出て行ってしまったのか。
あなたはどちらだと思いますか?
GANO
Benny Singsの過去曲はこちら
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