Vol.130 マイナーキーのダイアトニックコードを使った基礎を固めた1曲。『ナイトステップ / フレデリック』
公開日:
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最終更新日:2018/07/23
ANALYZE GANO's ANALYZE, フレデリック

ナイトステップ / フレデリック
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
今までの自分が許せなくて、明日からは変わってやる! って意気込む時ってありますよね。
実際に明日から変われる人もいれば、足踏みしてしまう人も。後者の方が多い気がしますね。
今回紹介するのはこの曲!
フレデリック「ナイトステップ」
2016/10/19にリリースされた1st Album『フレデリズム』に収録されている楽曲になります。
いやぁ、古臭い。2016年にやたら古臭い楽曲となっていますね。
これはディスコソングですよ。70年代後半から80年代前半ですね!
この古臭さを出した楽曲がフレデリックらしさだと感じます。
では、歌詞とコード進行を勉強していきましょう!
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ナイトステップの歌詞について
歌詞の一部を引用して見ていきましょう。
ハイファイな生活の彼女の声は しがらみを飲み込む
ローファイな静寂の子供のままじゃ何も見えないから
ハイファイとかローファイは品質に関するときに使いますよね。言葉のままハイファイは良い方で、ローファイは悪い方。
ただ実際には良し悪しと直結してるとは言い切れません。ローファイなサウンドがカッコ良いってこともあります。
ここでの”ハイファイな生活”とは垢抜けたような明るく我慢のない状態のように感じます。
ただし、内気で暗く他者との接触を拒む”ローファイ”な生活を送ってきたこともあるので、そんな過去を飲み込んで無理をしながらハイファイを演じているのではないでしょうか。
ほらほら誰だ 誰だ あの子は誰だ よその子だ 雨の子だ
それでも僕は どこでも 全部捕まえるんだ
雨は急に現れていつの間にか過ぎていきますよね。雨の子も突然会った人を指しています。
どこの誰かも知らないけど、気になったから捕まえにいく。誰だ? ってビビりながらも行動を起こすところに葛藤を感じますね。
いまからディストーションなMUSIC スーツを脱ぎ捨てるんだ紳士
いまさらファンタスティックサイケ ドレスを脱ぎ捨てるんだガール
繰り返されるサビの部分になります。
スーツやドレスは、常識や型にハマっている自分を指しているように感じます。
世間の常識にとらわれて、周りの目を気にして、穏便に、静かに、殻にこもって。
そんな自分からおさらばするんだ! そんな決意を表明するような歌詞に僕は感じます。
歌詞を書く際の参考にしてくださいね。
続いて、コード進行との関わりです。
ナイトステップのコード進行について
では、コード進行を見ていきましょう。
ここではヴァース・コーラス・間奏・アウトロと考えていきます。
ヴァース
ヴァース1 譜面で
キーエディターで
ナイトステップのキーはE♭マイナーです。
E♭m→D♭→C♭なのでⅠm→Ⅶ→Ⅵです。
トニックから始まりダイアトニックコードを横に移動していくコード進行です。
3和音ですしシンプルですね!
安定した位置から徐々に場面が変化していく印象を与えるコード進行です。
ヴァース2 譜面で
キーエディターで
C♭→D♭→E♭mなのでⅥ→Ⅶ→Ⅰmです。
ヴァース1のコード進行を後ろから弾いた形ですね。来た道を引き返すような感覚です。
C♭→D♭とメジャーコードが2つ続き、G♭へ行けばメジャーらしく明るく終止できますが、ここではしっかりとE♭mに着地。
はっきりとマイナーだとわかるコード進行です。
The Motorcycle Boy Reigns / Broken Records でも使われています。
コーラス
コーラス1 譜面で
キーエディターで
A♭m→B♭m→E♭m→D♭なのでⅣm→Ⅴm→Ⅰm→Ⅶです。
マイナーキーのフォーファイブワンの最後にD♭を加えたコード進行です。
主要三和音を使用したフォーファイブワンは「それで、こうで、こうだったんだ」とハキハキ説明してくれているような気がします。
D♭は次の文章へつなげる大事な一言です。「それで、こうで、こうだったんだ。それでね」って感じです。
コーラス2 譜面で
キーエディターで
C♭→D♭→E♭m→G♭なのでⅥ→Ⅶ→Ⅰm→Ⅲです。
ヴァース1のコード進行の最後にG♭を加えた形です。
コード進行の機能はコーラス1のコード進行と似ています。コーラス1よりもハキハキとはしていないが流暢な説明という感じでしょうか。
G♭はC♭へ進むためのドミナントです。実際にはC♭とコード構成音の似ているA♭mへと進みます。
ベースラインが滑らかに動くコード進行となっています。
コーラス3 譜面で
キーエディターで
コーラス1を繰り返した後、コーラス3となります。
C♭→B♭→E♭mなのでⅥ→Ⅴ→Ⅰmです。
B♭はハーモニック or メロディックマイナースケールのダイアトニックコードとなります。
B♭mではなくB♭を使う事で、E♭mに着地した際により強烈な終止感を与える事ができます。
Natural Woman / ビッケブランカ でも使われています。
間奏
間奏 譜面で
キーエディターで
E♭m→D♭→C♭→B♭mなのでⅠm→Ⅶ→Ⅵ→Ⅴmです。
トニックから始まりダイアトニックスケールを横へ横へと駆け下りていくコード進行となります。
階段を一段一段降りていくような印象を受けますね。淡々としています。
Go Shoppin’ / Bran Van 3000 でも使われています。
このコード進行の後にコーラス2のコード進行が使われます。
アウトロ
アウトロ 譜面で
キーエディターで
E♭m→D♭/F→E♭mなのでⅠm→Ⅶ/Ⅱ→Ⅰmです。
トニックで始まりトニックで終わるコード進行です。
ベースは上に進もうとしているのに、和音は下に下がろうとしてますね。結局元の位置に戻ってきてしまう。
動きたいけどビビってる、始まりもしなければ終わった感も薄い中途半端な印象を与える事ができるコード進行だと言えます。
歌詞と連動している気がしませんか?
最後に
非常にシンプルで、そして古臭い楽曲でした。
このような古臭ダンスナンバーが流行ると嬉しいです。
GANO
そしてオドループするんですね


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