Vol.101 複雑なコード進行、展開を感じさせない美しいメロディ。『What A Fool Believes / The Doobie Brothers』
公開日:
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最終更新日:2018/07/23
ANALYZE GANO's ANALYZE, The Doobie Brothers
What A Fool Believes / The Doobie Brothers
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
少々ポップスからジャズにかけての音楽理論を勉強し始めると、小難しいことを不慣れながら取り入れたくなりますよね。
コード進行をバッキバキの凝ってしまってメロディがうまくつけられなくなるなんてことも。
今回紹介する曲は、美しいメロディが複雑な構造を包み込んでいる良曲です!
The Doobie Brothers ~ What A fool Believes
Steely Danのバンドメンバーを経てThe Doobie Brothersに途中加入したMichael McDonaldの色がバンバン出ているAORの1曲です。
かなり有名ですよね!Michael McDonaldとKenny Logginsの共作ですが、Michael McDonaldが歌っていることもありそっちにばかり目がいっちゃいますよね。
実はKenny Logginsの方が先にリリースしているそうなのですが、The Doobie Brothersの方が売れてしまったため、The Doobie Brothersのオリジナルソングのような扱いになっています。
それはさて置き、美しく聴きやすい作風のこの曲、歌詞やコード進行が難解です。
サラッとも聴けてしまうし、深く掘り下げることもできる名曲です。
歌詞とコード進行を見ていきましょう!
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What A Fool Believesの歌詞について
放題は「ある愚か者の場合」です。つまり「あいつほんとアホだな〜」です。
歌詞の一部を引用していきましょう!
He came from somewhere back in her long ago
The sentimental fool don’t see
Trying hard to recreate
What had yet to be created once in her life
歌詞冒頭部分でお分かりの通り、未練タラタラ男の曲です。
以前よりこのサイトでは未練タラタラ男を題材にした楽曲を分析してきましたが、それは全て一人称でした。
この曲は珍しく第三者から見た男女のやりとり(主に男)を歌っています。
フラれたのに未練タラタラな男、愚かに見えるほど可能性がないのでしょう。
But what a fool believes he sees
No wise man has the power to reason away
What seems to be
Is always better than nothing
And nothing at all keeps sending him
もう彼女は戻ってこないと周りから見て明らかなのに、彼自身はまだ可能性があると信じ込んでいるようです。
恋は盲目ですからね、別れた後も盲目に信じ続けてしまうのでしょう。愚かですね〜、ダメな自分に気がついていないような印象を受けます。
Somewhere back in her long ago
Where he can still believe there’s a place in her life
Someday, somewhere, she will return
過去付き合っていた時があったから、その時の思い出に浸って帰ってくると信じ込んでいる模様。
現状の自分が不甲斐ないことに全く気がついていないようです! 愚か、愚かですねこれは!
彼自身は彼女が帰ってくることを妄想しているため、言い回しが未来のこと語っているようになっています。
マジで愚かな男の歌だったようです。
What A Fool Believesのコード進行について
では複雑なコード進行を見ていきましょう!
今回はAメロBメロサビの流れで見ていきます。特殊なコード、特殊な展開ばかりで少々、いやかなり見づらいですが、僕のせいではありません。Michael McDonaldに文句を言ってください。
まず、この曲はサビにてガツンと転調します。AメロBメロまではD♭メジャーとして考えていきます。
A♭7sus4→A♭7sus4/G♭→D♭/Fなので、Ⅴ7sus4→Ⅴ7sus4/Ⅳ→Ⅰ/Ⅲです。
ベースラインがなだらかで気持ちが良いコード進行ですね! そのなだらかさを重視するため分数コードが使われています。
実際にはA♭7で弾いてしまっても良い気がしますが、これはMichael McDonaldの手グセでsus4が使われていると感じます。
また、メインのリフとの絡まりも考慮してのsus4ですね! この曲ならではの部分が大きいので、A♭7→A♭7/G♭→D♭/Fで使用するのがオススメです。
E♭m7→A♭7→B♭m7→Faug7(G♭♭aug7)/A(B♭♭)なのでⅡm7→Ⅴ7→Ⅵm7→♭Ⅳaug7/♭Ⅵです。
ややこしいです、実際にはこの書き方ではありません。Michael McDonaldの手グセがこのようなややこしいことを…
E♭m7→A♭7→B♭m7まではわかりやすいですのでいいのですが、問題は最後のFaug7(G♭♭aug7)/A(B♭♭)です。
いや、Faug7(G♭♭aug7)/A(B♭♭)でも書き方は間違っていますね。実際は『G♭m6/B♭♭の根音が半音下降した形』です。
おそらくこの曲のトリッキーな部分はMichael McDonaldが作曲したと思います。彼は非常にインテリ。
Michael McDonaldはクラシックなどアカデミックの部分もがっつり勉強していたと思われるので、このようなコード進行を手グセで出してしまうと感じます。
使う際には最善の注意が必要です。
B♭m→A♭sus4なのでⅥm→Ⅴsus4です。ここをA♭メジャーへの転調と考えてもいいですが、一時的な借用だと僕は考えます。
A♭ではなくあえてA♭sus4使うことで開放感を出しています。
sus4コードは3thへの解決を促すような響きとして使いますが、ここではそのような使い方ではないと感じます。
B♭mの3thを「保留」することで変化しない、立ち止まっている情景を表現していると僕は感じますね。
3thを「保留」するためsus4を使う、このようなコード進行も使ってみてはいかがでしょう?
E♭sus4→A♭→D♭→A♭m7/C♭→B♭m7なのでⅡsus4→Ⅴ→Ⅰ→Ⅴm7/♭Ⅶ→Ⅵm7です。ややこし…
実際にはE♭sus4は前の小節にかかっていますし、B♭m7は半拍早く終わります。
強進行すること、そして内声がスムーズに流れることを意識してのコード進行ではないでしょうか。
横の流れが重視されていて、そう考えるとクラシック的なような。
Bメロ3へつなぐためE♭sus4→A♭がもう一度差し込まれます。
ここまで4小節周りで進んできたのに、ここだけ3小節周り。サラッと聴いてしまいますが変わった流れがいっぱいです!
B♭m→Gm7♭5(A♭♭m7♭5)なのでⅥm→♭Ⅴm7♭5です。
ベースがディミニッシュな響きをつくるため短三度下に移動したと考えると弾きやすいです。いや、厳密に言うと増二度下。ややこしい。
このコード進行はサビへ向かうために用意されたと考えていいです。
転調するためのつなぎとして、F#m7へ行くためのC#6の5thを半音下降させたGm7♭5を使用したんですね。
このコード進行単体で聴くと不安な響きが続く進行なので、危機迫った場面で使用すると効果的です。
ここにきてEメジャーに転調です。
F#m7→B7→EM7→C#m7→AなのでⅡm7→Ⅴ7→ⅠM7→Ⅵm7→Ⅳです。
ここにきていきなりシンプル!これはMichael McDonaldからKenny Logginsに作曲が移りましたね?多分直前のBメロ3からKenny Logginsじゃないかな。
ニーゴーイチロクと定番のコード進行、複雑で緊張する流れが一気に解放されますね!
再びAメロに戻るため最後にAをつけています。C#m7の響きを残しつつ、スライドでA♭7sus4へ行けるようになっています。
強引といえば強引なのですが、それを感じないのはメロディラインが美しいからですね。
複雑な構造と、それを感じさせないメロディからなる名曲だといえます。
最後に
名曲なので多くのミュージシャンがカバーしてきました。
中でも有名なのはMatt Miancoですね!
What A Fool Believes | Matt Bianco
原曲よりもMatt Biancoの方が好き!って人も多いようです。僕はどっちも好き。
GANO
複雑でよくわかりません
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