Vol.6.5『サンプリングってなに? Daft Punk編』

公開日: : 最終更新日:2018/07/23 ANALYZE

サンプリングってなに? Daft Punk編

どうも、GANO(@Past_Orange)です。

今回はいつものアナライズとは少し違う視点からのお話です。

HouseやTechnoやHip Hopなどの音楽を紹介していくにあたり、どうしても出てきちゃう言葉について先に説明をしたいと思います。

近年のテクノロジーに進歩によってどうしても連呼しちゃう言葉「サンプリング」

もう当たり前のように言ってるけど、よく分からないって方も多いのではないでしょうか。

ザックリですが説明したいと思います。

サンプリングとは?

楽曲は、楽器を演奏したり歌を歌ったりしてできあがります。

つまりは「生音」ですね。その場で発生する音。

シンセサイザーなどの電子楽器も、電子回路を通して音が発生しているので、この場合「生音」です。

では楽曲にて「生音」ではないものを使用する場合、例えば鳥の鳴き声や、車のクラクションを録音して使う。

今ここには存在しないけど、事前に録音して音を出す。

このすべてが「サンプリング」です。

つまり音を録音して、それをサンプルとして楽曲に使用すること、これが「サンプリング」です。

非常に幅広いです。

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サンプリングの歴史

ミュジーク・コンクレート

古くは1940年代ごろからありまして、アカデミックな音楽「現代音楽」に区分される「電子音楽」から始まりました。

ミュジーク・コンクレートと呼ばれるものですね。

テープに録音したものをハサミで切っちゃって、そんで貼っちゃって。それを再生! このような音楽制作。楽曲ではここが最初でしょうね。

メロトロン

そこから数年経ち60年代にメロトロンという鍵盤のようなものがでてきます。

この鍵盤の後ろに並ぶ茶色の板を持ち上げると、なんとテープがついてるんですね〜。

鍵盤を押すと、テープに録音されている音が再生する仕組みになってます。

鍵盤を「押す」と「録音された(サンプリングされた)音」が出る。

このような機材を「サンプラー」と呼びます。

このメロトロンを使った楽曲

The BeatlesのStrawberry Fields Forever

イントロで鳴っているフルートの音がそれです。

これはフルートの音を1音ずつテープに録音してメロトロンで演奏されています。柔らかい音ですね

ドラムマシン

そこからサンプラーは進化をして、ドラムの音をサンプラーをたたいて出すような楽曲制作も出てきました。

これでドラムセットがなくても、多くのドラムの音源を録音すれば楽曲が制作できるようになりました。

Rolandのサンプラー SP-606

僕はこれを持ってます。DTMの時代ですので今は使えていませんね

実際に音を録音したものもあれば、音を合成して”ドラムのような”音を発するものも出てきました。

楽曲からのサンプリング

では、このドラムの音はどこで録音するのでしょう?

いちいちドラムセットの前で録音ボタンを押してたらきりがない。というか、だったらそのままドラム録音するし。

ここで、『既存の楽曲から録音しちゃえばいいんだ!』となり、主に70年代後半から

「既存の楽曲からのサンプリング」

が始まりました。

特に有名なのがAerosmithのWalk This Wayをサンプリングしたこの楽曲。

Run-D.M.C.のWalk This Way

これは完全にコラボしてますね。

このように既存の楽曲を使用すれば楽器が弾けなくても、作曲に必要な知識がなくても楽曲制作がでるようになりました。

こうやって曲ができて売れると、誰が作曲したの? 権利はどうなるの?? と、もちろんなりますよね。

この権利問題は難しいところで、いろいろな考えがあります。

Run-D.M.C.がサンプリングしたことによりサンプリングされた曲(元ネタや原曲って言います)側のAerosmithは再ブレイクすることができました。

そのような事例もあり、あえてお金は払わなくていいだろうという考えもありますが、いやいや作曲したのはこっちだから金払え! なんて考えもあります。

この問題は永遠に続くのではないでしょうか。

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Daft Punkとサンプリング

さて、サンプリングについての面白い動画を見つけました。

Daft Punkの2nd album Discoveryに収録されているほとんどの曲のサンプリング元ネタが確認できます。

「こんなところからサンプリングしてたのか、センスある〜!」って曲から「ま、まる使いじゃないっすか!!」なんて曲まで。

でも、こうやって原曲を探すって作業も楽しいですよね。

もちろんDaft Punkだって原曲が好きで使ってるわけですから、愛があるんです。

サンプリングって面白い。でも、センスがいります。

サンプリングからの回帰

前回Gotyeのカヴァーで紹介したPentatonix

彼らはこのDaft Punkメドレーでヒットしました。

この楽曲の背景が面白いんです。

Daft Punkはサンプリングという技術によって過去の曲を機械的に再構成して楽曲を作り上げました。

その「機械的」な楽曲をPentatonixはなんと生声で表現してしまってるのです!

生音→サンプリングで機械的に→生声で機械的な音をアナログに表現

この流れ、かっこ良すぎる。どちらもあっぱれ!!

このような音楽の流れも楽しさの1つです。

↓GANOが作った作曲ツールです!↓
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最後に

ホントにザックリと説明してきましたが、サンプリングについて伝わったでしょうか?

今後のアナライズにて「○○は□□のをサンプリングしていて」と出てきたら、あぁ□は○の元ネタかぁ。と、今回の話を思い出して頂けると幸いです。

GANO

ハウスはサンプリング音楽なんです。



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    作詞曲家・DTMer・WEBライター。DTMを中心に歌モノ・BGMを制作しています。シティポップ系やブレイクビーツなどを好んでます。
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