Vol.126 マイナーキー、スリーコードのみでコード進行を展開。痛みを感じるネオソウル。『Fool To Love / Nao』

公開日: : 最終更新日:2018/07/23 ANALYZE ,

Fool To Love / Nao

どうも、GANO(@Past_Orange)です。

喜びと悲しみが同居する、そんな時ってあると思います。人間1つの感情には絞れないんですよね、不思議ですが。

嫌な相手と離れたのに、一緒にいるときと同じぐらい悲しいという、謎の精神状態を経験したことはありますか?

今回はそんな曲。


NAO – Fool to Love

NAOはイギリスのシンガーソングライターです。

楽曲としてはネオソウル・エレクトロ・ファンク系に分類されるものが多いですね。

音数の少なく重いビートとシンセに澄んだ歌声がよく混ざっています。聴いてるとなんだか切なくなっちゃいますね。

では、歌詞とコード進行を勉強していきましょう!

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Fool To Loveの歌詞について

歌詞の一部を引用してみていきましょう。

I was a fool to love
I was a fool to love you

愚かだったと過去形になっていますね、過去を振り返って後悔しているような感じです。

あなたを愛していた私は愚かだった。なぜあなたみたいな人を愛してしまったのかと別れた後に相手に文句を言っているようにも聞こえます。

Hey lonely
Sorry, but I’m leaving you, my friend
You don’t own me
On back and teasing me again

別れて独りっきりになった相手に語りかけます。もう友達以下の存在、だからそばにはいたくないと。

束縛の強い相手だったのでしょうか、所有されているような感覚だったのかもしれません。

最後にagainとついていますね。別れる前も背中越しにからかわれたり罵られていたのかも。

以前はどんなに罵倒されても2人だったけど、今はあなた独りだと、優位な立場にたっているみたいです。

And I begged ya
Hide from me this pleasure over pain
But who loved ya?
Insisting but, it rains on me again

確かに愛し求めていた、だからどんなに攻撃されてもそばにいたと、そんな内容ですね。

多くの痛み、ここでは精神面だけのようですが暴力もあったのでしょうか。その痛みの後にくる少しの優しさに喜びを感じていたようです。

DVに苦しみながらもそばを離れない人の心境のようですね。そばにいても悲しみの雨は降っていたけど、別れても悲しいまま。そんな感じです。

I was a fool to love you
Yeah, we could’ve had it all

すべてを手にしたような感覚に陥ることができるほどに、何もいらないと感じるほどに愛し合っていたのに、結局あなたのせいで別れてしまった。

後悔しなさいよといいながらも、まだ本人も傷心のようです。

このような内容を知ったあとMVを見ると、”恨み”が男性に殴りかかっているように感じますね。

愛し合っていたはずなのに、別れた後はお互いに痛みと苦しみのみ。説明は少ないですが、辛い内容です。

歌詞を書く際の参考にしてくださいね。

続いて、コード進行との関わりです。

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Fool To Loveのコード進行について

ではコード進行を見ていきましょう。

ここではイントロ・ヴァース・コーラス・ブリッジと考えていきたいと思います。

イントロ

譜面で
ftl1

キーエディターで
ftl2

Fool To LoveのキーはBマイナーになります。

Bm7→Em7なのでⅠm7→Ⅳm7です。

トニックで始まりサブドミナントで終わるコード進行です。

繰り返す際もサブドミナントからのトニックなので強烈な進行感を与えず繰り返します。

マイナーコードのみなので変化も少なく感じますね。

ヴァース

譜面で
ftl3

キーエディターで
ftl4

Bm7→F#m7→Em7なのでⅠm7→Ⅴm7→Ⅳm7です。

ダイアトニックコード、主要三和音のみのコード進行です。

ナチュラルマイナースケールを使ったマイナーコード3つのみなので、進行感は薄く明るさ暗さの差も感じませんね。

強烈な印象は与えにくいコード進行ですが、繰り返しも簡単で語り出しのようなAメロやヴァース向きだと思います。

コーラス

譜面で
ftl5

キーエディターで
ftl6

Em7→Bm7なのでⅣm7→Ⅰm7です。

サブドミナントからトニックに行き終止するコード進行です。

ダイアトニックコードでマイナーコード2つのみ、強進行もなく落ち着いたコード進行だと言えます。

しれっとトニックで落ち着きたいときに使いましょう。

ブリッジ

譜面で
ftl7

キーエディターで
ftl8

F#m7→Bm7なのでⅤm7→Ⅰm7です。

ドミナントからのトニックなので、強進行ですし終止感が強いですね。

とは言ってもマイナーコード2つだけですので強烈な印象を残すほどではありません。

ドミナントから始まるコード進行なので、オヤっと思わせることができるかも。

全体的にコード進行としての印象が残らない楽曲となっていますね!

↓GANOが作った作曲ツールです!↓
thumbnail

最後に

歌詞の内容に沿うようコード進行ははっきりしないものばかりでした。

ドミナントセブンスが出てきて勢いよくトニックへ! みたいなはっきりした感情表現がない分、曲の悲しさが滲み出ている気がします。

GANO

ネオソウルの1曲を紹介します。



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    作詞曲家・DTMer・WEBライター。DTMを中心に歌モノ・BGMを制作しています。シティポップ系やブレイクビーツなどを好んでます。
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