アルバム形式、特にコンセプトアルバムは果たして死んだのか?

公開日: : 最終更新日:2018/07/23 BLOG

アルバム形式は時代にそぐわない?

どうも、GANO(@Past_Orange)です。

2013年にアメリカのR&Bシンガー、Chris Brownが最新アルバム『X』を『これが最後のアルバムになるだろう』というコメントと共にリリースしました。

また2014年にノルウェーのエレクトロ・ポップデュオ、Röyksoppが最新アルバム『THE INEVITABLE END』を『アルバムというフォーマットでは最後』というコメントと共にリリースしました。

どちらも引退かと噂されましたが、Chris Brownは『シングルに重点を置く』、Röyksoppは『アルバムというフォーマットを越えた、次のステップへ行く』という発言をしています。両者共にアルバム形式は今の時代にはそぐわないものだと考えているようです。

 

ではなぜアルバム形式は時代にそぐわないのか?CDの売り上げが落ち込み、音楽配信が主流となってもアルバム形式は売れるのではないかと思うのですが、どうもそうではないようです。

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アルバム形式とはなにか?

まずアルバム形式はいつからあるのか。

「レコードアルバム」(Record Album)という用語は、20世紀前半までの、最大収録時間3分(10インチ盤)~5分(12インチ盤)のSPレコード(78回転盤、シェラック盤)が主流だった時代に、何枚かのレコードを写真アルバムに似せた本という形で発売させたことに由来する。最初にアルバムと呼ばれたレコード集は、オデオンレコードによって1909年にリリースされた、ピョートル・チャイコフスキーのくるみ割り人形を収録した4枚組である。価格は16シリングであった(2007年現在の通貨価値だと約1万1000円に相当)。

1948年にアメリカのコロムビア・レコードから、ビニライト製の音溝を細くした、直径12インチにもかかわらず最大収録時間30分程度のLPレコード(33回転盤、ビニール盤)が生産された。LPは長時間再生 (Long Play) のアクロニム(頭字語)であり、その「長い」収録時間は、それまでのアルバムのうちかなりのものを丸ごと入れることができた。従来のレコードアルバムを1枚のLPにしたものや、新しく発売された複数曲収録のLPも、アルバムと呼ばれた。

Wikipediaより

前半部分の『レコードアルバム』と呼ばれていたものは、シングル曲のセット販売のようなものなのでこれは現在の『アルバム形式』とは違う印象を受けます。後半部分のLPレコードが最初のアルバムと言えるでしょう。ただこれもシングルの詰め合わせなだけであって、アルバムである意味はそこまでなかったのではないかと僕は感じています。

アルバム形式だからこそ意味があるもの、それは『コンセプトアルバム』です。

コンセプト・アルバム(Concept Album)は、ある一定のテーマまたは物語に沿った楽曲によって構成されたアルバム。アルバム全体でひとつの作品になっており、トータル・アルバムとも呼ばれる。

Wikipediaより

コンセプトアルバムの特徴は、アルバムを1つの作品としているところです。1曲目にIntroがあり最後にOutroがあるものや、曲と曲の間にあたかもその2曲が1つの曲であるかのような演出がされているものがあったり。アルバムを途中から聴いてしまうと違和感を覚えてしまう可能性があるのがコンセプトアルバムです。

 

世界初のコンセプトアルバム(実際には世界で一番最初に有名になったコンセプトアルバム)は1967年、The Beatlesの『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』です。

アルバムを1つのショーとして作られたものだと言われています。アルバムの曲を単体で聴いても十分楽しめる作品ですが、これはアルバムを頭からケツまで聴いてほしい!というビートルズファンも多くいると思われます。

この作品のリリースがコンセプトアルバムを生むことに多大な影響を与えました。80年代のCDの出現後も変わらずコンセプトアルバムはリリースされ続けます。

 

僕の好きなコンセプトアルバムを1つ紹介しておきます。2005年、Benny Singsの『I LOVE YOU・・・LIVE AT THE BIMHUIS』です。

タイトルから見るにライブ音源を収録したアルバムのようですが、実際にはライブ風に収録されたアルバムです。曲の前後に観客の拍手や歓声、ベニーの『Thanks!』ってあいさつなんかも入っていて楽しめるアルバムです。

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音楽アルバムの配信

音楽配信の出現はCDの売り上げ減少を招きました。確かに僕もCDを購入してもすぐにPCに取り込んでしまい、CD本体は本棚の片隅に置かれ埃をかぶっています。これを音楽データだけ入手できて、本棚も埋まらずゴミも出ず、何より安く音楽を入手できるのですからCDは売れなくなっても仕方がないなとも思います。

そして2001年のiPod・iTunesが登場し、シングルとしてリリースされたものだけではなくアルバム内の曲もバラして1曲ずつ買えるようになりました。以前は欲しい曲が1曲だけだったとしても(その曲がシングルカットされなければ)多くのお金を出してアルバムを購入しなければいけませんでした。1曲に2500円払うのはちょっと...と考えていた人もいるのではないかと思います。

 

音楽配信は『CDの衰退』と『アルバムの売り上げ低下』を招きました。これにより、コンセプトアルバムは死んだのではないか?僕はそう感じます。

 

2011年1月にiTunes今週のシングルとしてMICHELLE SHAPROWの『Back Down to Earth』が無料配布されました。

YouTubeでも確認できるように、この曲は2分半ほどで終わる短い曲です。ですが今週のシングルとして無料配布されたものはアルバム収録のままの尺だったため3:45ありました。なんとこの1分以上の部分にはアルバムの2曲目につなげるためのフックが入っていたのです!!

 

『Back Down to Earthプラス2曲目へのつなぎ部分』をiTunesはシングルとしてリリースしていたために、僕はフック部分も含めて『Back Down to Earth』だと思ってしまったのです。

 

僕はMICHELLE SHAPROWを気に入ってアルバムを購入したのでその間違いに気づいたのですが、アルバムを購入しなかった人は勘違いしたままでいるかもしれません。また無料配布のみで判断した人は『ミシェルは良い曲の最後をぶち壊す余計なものを入れる奴』と悪い印象さえ抱いてしまったかもしれません。

シャッフル再生にコンセプトは邪魔になる

音楽再生機器にて自分の好きな曲だけを集めたプレイリストを作成することがあります。僕はiPhoneには好きな曲だけを入れてシャッフル再生して楽しんでいて、その多くはアルバムから抜粋したものです。

仕事中にiPhone内楽曲をシャッフル再生させてBGMとして垂れ流しているのですが、コンセプトアルバムから抜粋した曲は時折邪魔になると感じます。

例えばFatboy Slimの『Right Here,Right Now』

とってもテンションの上がる曲なのですが、アルバム収録バージョンなので2曲目へつなげるため曲が終わった後30秒以上のフックが入っています。

それは男性2人の電話のやりとりで

『Fatboy slimって知ってる?』
『いや知らないよ』
『こんな曲だぜ!”the funk soul brother,Chick it out!”』
『知らないなぁ、もっと歌ってよ!』
『”Right about now, the funk soul brother.Check it out now, the funk soul brother”』

 

というもの。この流れで次に『The Rockafeller Skank』が流れてくれればかなりテンションが上がるのですが、DeBarge『I Like It』とか流れちゃうので。最近ではRight Here,Right Nowが流れると次の曲にしてしまったり。

コンセプトアルバム内の曲は、アルバムとして聴かないと違和感があるどころか邪魔と感じさせてしまうことさえあります。これは時代の流れだと思います。

今後アルバムは初期に戻る

今後コンセプトアルバムというものはなくなると考えています。アルバム収録曲を1曲ずつ買えるようになったので、IntroやOutroは邪魔でしかなくなったと感じます。

 

だからといってアルバム形式がなくなるとは思いません。コンセプトアルバムが死んだだけであって、アルバム形式は1900年初期の『シングル詰め合わせ・セット割引』のようなお得感だけを追ったものになると思います。

 

今後は楽曲を個別に購入するのではなく、定額で楽曲を聞き放題にするストリーミング配信が主になっていくかもしれません。日本は出遅れてるけどね

ストリーミング配信のSpotifyはイギリスにおいてアルバム単位ではなくプレイリスト単位で再生されることがほとんどだそうです。アルバムとして聴くことはほぼなくなると考えると、製作者側もアルバム単位で考えるのは危険かもしれません。

今まで以上に『1曲』に対して完成度を求めていかなければいけない時代になるでしょう。それが音楽の、特にポップスの本来なのかもしれません。

GANO

ライブハウス問題の記事もあります。



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    作詞曲家・DTMer・WEBライター。DTMを中心に歌モノ・BGMを制作しています。シティポップ系やブレイクビーツなどを好んでます。
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