Vol.131 近親調から”トゥーファイブワン”を借用して終止感を薄めるディスコサウンド。『Back Seat Lover / Mayer Hawthorne』

公開日: : ANALYZE ,

Back Seat Lover / Mayer Hawthorne

どうも、GANO(@Past_Orange)です。

自分が本命だと思っていたら、ただの浮気相手、火遊びだったなんて知ったらやってられないですよね。

それをも飲み込めてしまう愛情とは一体なんなのか。男は結局アホなのか。

今回紹介するのはこの曲!

Mayer Hawthorne ‘Back Seat Lover’

Mayer Hawthorneの2013年の楽曲になります。

これ公式のLyric Videoなんですが、かなり古臭いですね。昔のカラオケ風。

Mayer Hawthorneはあえてこのような古臭い演出をするところがあります。楽曲同様、温故知新。過去のやり方にリスペクトを持ってやっているのかもしれません。

では、歌詞とコード進行を勉強していきましょう!

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Back Seat Loverの歌詞について

歌詞の一部を引用して見ていきましょう。

I can’t believe what you told me
You know that I’d never hit and tell
You got me right where you want me
With candy apples and sweet caramel
君が僕に言ったことを信じることができないよ
君にはそんなこと絶対に教えないけど
君は思い立ってすぐに僕を”もの”にした
りんご飴や甘いキャラメルと一緒にね

告白をされて内心驚いているのだけれど、男としてのプライドがあるので動じてないフリをしているようです。

でもまんまと”もの”にされちゃってるわけですね。

りんご飴や甘いキャラメル、これはなんでしょう。他の”もの”も一緒にってことでしょうね。

You know I won’t say a word
We can keep it discreet
Darling, no one in the world
It’s just between you and me
そう僕は何も言わないさ
慎重にことを進めないとね
そうさ、この世界には誰もいない
君と僕以外にはね

You knowやDarlingはラブソングによくある相槌みたいなものです。歌詞の間を埋める役目ですね。

ここでは何も言わず事態を飲み込んでいるような状況を歌っています。

いろいろあるけど、とりあえず今は2人っきりだからいいじゃないか。相手に歌っているようで自分自身に言い聞かせているようにも思えます。

If I gotta be your cheap back seat lover
Cruising down the street to nowhere
If I gotta be your cheap back seat lover man
Well let’s get it on then
もし僕が2番目の彼氏になるのなら
この道をどこまでも転げおちるよ
もし僕が2番目の彼氏になるのならね
さぁ楽しもうよ

cheap back seat lover=安い後部座席の男、つまり2番手。本命は助手席に乗りますからね。

どうやら相手の女性はいろんな男に手を出しているみたい! りんご飴や甘いキャラメルとはそういう意味だったのね。

だから告白された時に驚いちゃったようです。

ただ本人もどちらかと言うと三枚目な感じがするので、補欠でもいいからこの状況を楽しもうと吹っ切れているようです。

女性に振り回されているけど、好きだからそれでもいいやとなっちゃってる内容です。

セクシーな歌声なのに内容はちょいダサ? もしかしたら女性目線なのかもしれません。

歌詞を書く際の参考にしてくださいね。

続いて、コード進行との関わりです。

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Back Seat Loverのコード進行について

では、コード進行を見ていきましょう。

ここではヴァース・コーラス・ブリッジと考えていきます。

ヴァース

ヴァース1 譜面で
bsl1_1

キーエディターで
bsl1_2

Back Seat LoverのキーはE♭メジャーです。

E♭/B♭→G→CmなのでⅠ/Ⅴ→Ⅲ→Ⅵmです。

いきなり分数コードから始まるコード進行です。

E♭/B♭はトニックであるE♭の第二転回形ですね、安定感が薄くなり明るさも抑えられるため使用されているように感じます。

また、最後のCmからベースのみ動かせばE♭/B♭に戻ってこれることもあり使用されています。

ベースラインが重要になるコード進行だと言えます。

ヴァース2 譜面で
bsl2_1

キーエディターで
bsl2_2

E♭/B♭→Gm→CmなのでⅠ/Ⅴ→Ⅲm→Ⅵmです。

ヴァース1のコード進行に似てますね、GがGmになっただけです。

ヴァース1ではCmへ進むためのドミナントGでしたが、こちらは素直にダイアトニックコードのGmが使われています。

落ち着いたコード進行だと言えますね。

バリエーションとして加えられたと考えられます。

ヴァース3 譜面で
bsl3

キーエディターで
bsl4

B♭m7→E♭7→A♭M7→E♭/G→CmなのでⅤm7→Ⅰ7→ⅣM7→Ⅰ/Ⅲ→Ⅵmです。

B♭m7→E♭7→A♭M7の部分までは下属調のA♭メジャーからの借用になります。トゥーファイブワンになっていますね。

近親調からコード進行ごと借りてくると場面転換したことがわかりやすく伝わります。

A♭M7自体はE♭メジャーでもダイアトニックコードなのでそのまま元のキーに戻ることができます。

A Dream Goes On Forever / Todd Rundgrenでも同じように借用してくる箇所がありますよ。

Vol.17 様々な調からコード進行を借用して期待感を出し感情表現をするパズルのような曲。『A Dream Goes On Forever / Todd Rundgren』
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ヴァース4 譜面で
bsl5

キーエディターで
bsl6

B♭m7→E♭7→A♭M7→Cm♭5→E♭/GなのでⅤm7→Ⅰ7→ⅣM7→Ⅵm♭5→Ⅰ/Ⅲです。

ヴァース3同様に、前半部分は下属調のA♭メジャーからの借用です。

特徴的なのはCm♭5です。これはA♭7の根音省略形でして、A♭M7→A♭7と変化が少ない進行になるのを避けるため根音が省略されていると感じます。

不穏な雰囲気もありますし、何かが起こる予兆のような使い方ですね。

コーラス

コーラス1 譜面で
bsl7

キーエディターで
bsl8

Cm/F→A♭M7→B♭/C→CmなのでⅥm/Ⅱ→ⅣM7→Ⅴ/Ⅵ→Ⅵmです。

コーラスに使われるコード進行なだけに、非常に美しいですね。

Cm/F→A♭M7はCmを押さえたままベースを動かすだけです。

強進行もなく分数コードばかりでカッチリ決まった響きがなくフワフワとしたコード進行だとも思います。

最後のCmから強進行で頭のCm/Fへ戻ってくることもできるので、ダンスミュージックなど繰り返す系にどうでしょうか?

コーラス2 譜面で
bsl9

キーエディターで
bsl10

Cm/F→A♭M7→E♭/G→CmなのでⅥm/Ⅱ→ⅣM7→Ⅰ/Ⅲ→Ⅵmです。

コーラス1とほとんど変わりませんね、B♭/CがE♭/Gになっただけです。

E♭/G→Cmもコード構成音がほとんど同じなため、強進行している以外は大きな変化はありません。

決め手がない分繰り返して使用できるコード進行だと言えます。

コーラス3 譜面で
bsl11

キーエディターで
bsl12

Fm→F/A→Fm/B♭なのでⅡm→Ⅱ/#Ⅳ→Ⅱm/Ⅴです。

トゥーファイブをより細かく表現したコード進行です。

F/Aはベースをラ→シ♭と半音で動かすため、F7(セカンダリードミナント)な響きを加えるために挟んであります。

最後はB♭7の代わりにFm/B♭でよりリッチな響きに。

このままトニックで終止させず、曲頭に戻ることが多いコード進行な気がしますね。

ブリッジ

ブリッジ1 譜面で
bsl13

キーエディターで
bsl14

Fm7→Cm7/B♭→E♭M7→A♭M7なのでⅡm7→Ⅵm7/Ⅴ→ⅠM7→ⅣM7です。

Fm7→Cm7/B♭→E♭M7はトゥーファイブワンの形ですが、Cm7/B♭にトライトーン(レとラ♭)がないためドミナント感が非常に薄く、終止感も薄れています。

加えて最後のA♭M7が何か次にあるような雰囲気を醸し出していますね。

落ち着いていいはずなのに、何か胸騒ぎが…。そんな感じのコード進行だと感じます。

ブリッジ2 譜面で
bsl15

キーエディターで
bsl16

Dm7→G7→Cm→C/EなのでⅦm7→Ⅲ7→Ⅵm→Ⅵ/#Ⅰです。

ここで平行調Cマイナーからトゥーファイブワンを借用してきます。

ブリッジ1で胸騒ぎなコード進行が使われていただけに、ここでマイナーなコード進行が来ると”待ってました感”がありますね!

平行調からトゥーファイブワンを借りてくるだけで明らかな転換ができるので、このようなコード進行は大サビ前など、一度空気を変えたいときにオススメです。

ブリッジ3 譜面で
bsl17

キーエディターで
bsl18

Cm→B♭→Em7♭5→E♭M7→A♭M7なのでⅥm→Ⅴ→#Ⅰm7♭5→ⅠM7→ⅣM7です。

Em7♭5がやはり目立ちますね、ディミニッシュな響きはアクセントになります。

Em7♭5はB♭→E♭M7の強烈な進行感を和らげるために加えられていると考えられます。

ファイブワンと進むと終止感が強く出てしまうため、ブリッジ1同様に薄めるようEm7♭5が加えられています。

ブリッジ4 譜面で
bsl19

キーエディターで
bsl20

Dm7→Cm/G→G7なのでⅦm7→Ⅵm/Ⅲ→Ⅲ7です。

ブリッジ2の流れと同じように、ここではCマイナーのトゥーファイブが使われています。

Dm7→G7だとCに行くようで明るいコード進行に聞こえてしまいますが、Cm/Gが入ることで怪しさが増しマイナー感が出ています。

Cm/Gの正体(というと大げさですが)はF7/Gです。

メロディックマイナースケールで出てくるコードですので、この響きが追加されるとマイナー感が増すんですね。

Cm/G→G7の時に構成音が半音で下降してくる所も不穏な雰囲気が出ていてカッコ良いです!

↓GANOが作った作曲ツールです!↓
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最後に

コード進行では近親調に移ってフラフラしていますが、これは心境の表れでしょうね。

浮気相手をやめたいけど好きだからずっとイチャイチャしていたいし〜みたいなフラフラ具合です。

それほどに魅力的な相手なのか、それとも男はやっぱりアホなのか。

どっちもな気がしますね!

GANO

Mayer Hawthorneの他の解説はこちら

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  • gano1
    作詞曲家・DTMer・WEBライター。DTMを中心に歌モノ・BGMを制作しています。シティポップ系やブレイクビーツなどを好んでます。
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