Vol.69 大人の失恋は切なさもごまかしてしまう。『セ・ラ・ヴィ~女は愛に忙しい~ / 土岐麻子』

公開日: : 最終更新日:2016/06/12 ANALYZE ,

セ・ラ・ヴィ~女は愛に忙しい~ / 土岐麻子

どうも、GANO(@Past_Orange)です。

大人っていつからなのか分かりませんが、歳を重ねるごとに素直な感情を表に出せなくなってしまいますよね。周りの目も気になりますし、「大人なんだから」という理由で自分自身に嘘をついてしまうなんてこともあります。

でも年齢に関わらず、失恋は辛く切ないもの。でも、ごまかしちゃうよね!

今回紹介するのはこの曲!

土岐麻子 / 「セ・ラ・ヴィ ~女は愛に忙しい~」

土岐麻子さんは解散したCymbalsのメンバーで、現在はソロで活動している歌手です。ジャンルで言えば渋谷系なんてのに分類されますが、上質で大人なポップス歌手って印象がありますね。柔らかく優しい歌声と大人切ない歌詞が魅力です。

この曲の作曲・編曲者はSchroeder-Headzとしても活動されている渡辺シュンスケさん。土岐麻子さんの楽曲を多く手がけていまして、他にも柴咲コウさんやさかいゆうさんなんかにも関わっていますね。

さて、どんな曲なのでしょうか?

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セ・ラ・ヴィ~女は愛に忙しい~の歌詞について

日本語の曲なので僕が気になったところをピックアップしますね。

セ・ラ・ヴィ
三度目の運命の恋も
ただの人違い
セ・ラ・ヴィ
忘れましょう
踊りましょう
ダンスフロア
Get ready tonight

セ・ラ・ヴィ(C’est la vie)とはフランス語で「これが人生さ」です。何か辛いことや悪いことが起こったときに、これも人生だから受け入れようってときに使います。日本なら「まぁ仕方ないね」「しょうがないね」みたいな感じですね。使ってこうぜ

この曲は3度目の正直でとうとう運命の人と出会ったと思った女性が、振られてしまい、でも大人だから「C’est la vie」で悲しいくせに紛らわして踊っちゃうって曲だと僕は解釈しています。切ないなぁ

今宵 リクエストはShalamar
“A night to remember”

はい、この部分を聴いて前回はShalamarのA Night To Rememberを取り上げましたよ!上記の「Get ready tonight」もこの曲のフレーズです。

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とっても甘い曲ですよね、男女の燃え上がる愛の歌です。そして、女性が男性に従うような立ち位置にいる印象も受ける曲。そんな曲でもしっかりと踊れれば恋もうまくいくのかもしれませんが、主人公はいつも同じところでステップがもつれてしまうんです。切ない!!3歩引いていることさえ上手くいかないなんて。でもその後のサビはこう続きます。

セ・ラ・ヴィ
最初の恋ほど酷く
傷つかなくて
セ・ラ・ヴィ
二度目の愛よりうまく
寄り添えたわ
上出来よ

過去2回の失恋より上手く振舞えたのだから上出来じゃない、良かった。C’est la vie。切ない。辛いのに誤魔化すように過去の恋愛と比較して良かったところを探しているんです。大人になればなるほど失恋を誤魔化すことに慣れてしまっているように感じますね。「若い頃は泣きじゃくったり相手にしがみついたりしたけど、大人だから大丈夫よ。」って感じ。大丈夫じゃない、本当は感情を表に出すのが怖いんですね。切ない〜

この曲は大人の切なさを明るく誤魔化している曲なんです。切なさは誤魔化すほどに増してしまいますね、辛い...

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セ・ラ・ヴィ~女は愛に忙しい~のコード進行について

日本の楽曲は1曲にコード進行がいっぱい入っていて楽しい反面、ブログに書くと大変です!!全部とはいかないので好きなところを少しだけ。

Aメロ部分 譜面で

toki1

キーエディターで

toki2

D♭メジャーの曲なのでⅥm/Ⅰ→ⅣM7→Ⅵm7→Ⅲm/Ⅴです。何かと面倒に見えちゃいますが、雑に説明するとピアノでは右手でB♭mを押さえておいてベースだけ動かせば(ちょっと違うけど)このようになります。すごく繊細なコード進行になってるんですね!動くのはレ♭がドになるかならないかぐらいで、半音で揺らいでいます。それに比べベースは強進行したりと大きく動いています。

これ僕は、表向きの顔が上物の響きで、内心がベース音なのではないかと思っています。動じてないように見えて内心すごい動揺しているような。そんな繊細なコード進行デス。大丈夫大丈夫って言いながら、心で泣いてる....

Bメロその1 譜面で

toki3

キーエディターで

toki4

Ⅱm→Ⅲm→Ⅳ→Ⅲm→Ⅲm/Ⅴ→ⅥmとⅡm7→Ⅱm7/Ⅴ→ⅠM7ですね。ここはダイアトニックスケールを上に駆け上がったり、メジャーコードの2→5→1をちょっとオシャレに演奏したりと、比較的明るくて正直な印象を受けます。これは歌詞との連動してまして、この部分は事実を述べているだけの歌詞になっています。明るいですね!ここだけわざと明るくしてまして、その対比として次につながります。

Bメロその2 譜面で

toki5

キーエディターで

toki6

Bメロその1より変化いたしまして、Ⅱm→Ⅲm→Ⅳ→Ⅲm→Ⅲ/#Ⅴ→Ⅵmとなります。FmからFに変わることでベースがラ→シ♭と半音で動きます。明るい気持ちが揺らいできてますね!!!そしてベースは下降していき#Ⅳm7♭5→Ⅱm7/Ⅴ→#Ⅳm7♭5となります。

このGm7♭5のディミニッシュの響きが悲しい!いったんE♭m7/A♭で明るく振る舞うため体勢を整えるんですけど、やっぱりガックリとG♭m7♭5に戻ってしまいます。ラ♭とソを半音で行ったり来たり。結局上がりきれずにサビのソ♭まで下っていっちゃいます。切ない!そしてよくできてるなぁ〜、感情の変化がしっかりとコード進行に。素晴らしい!

サビ 譜面で

toki7

キーエディターで

toki8

ⅣM7→Ⅲ7→Ⅵm7→Ⅲaug7/Ⅱ→Ⅵm/Ⅱです!出た!ソウルでよく使うコード進行!!と思いきや、4小節目は若干トリッキーです。3小節目まではありがちな「泣きのコード進行」ですが、4小節目はFaug7/E♭となかなか使わないコードが出てきましたね。これはB♭m7からベースは強進行で前向きに行こうとしてるのですが、上物はシ♭からラに半音下がってしまう。Aメロと逆のパターンですね!繊細、実に繊細。そして無理やりまたシ♭に戻ります。

心(ベース)と体(上物)がちぐはぐなんです。若い頃は思いのままに振舞えたのに、大人になると感情を出せなくなってしまう。だから大人の恋は切ないんですね、そんなことをサウンドからも訴えられているように感じます。

すごく良い曲。切ないよ!!!

最後に

大人の皆さん、どうですか?正直に感情を出せていますか?たまには世間体を気にせず泣きじゃくってみたりも良いですよ。僕はまだまだ子供なので普通に泣きます。

大人の恋、切ないけどサウンドはオシャレで少し憧れちゃったり。

GANO

こちらは結構感情出てる

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    作詞曲家・DTMer・WEBライター。DTMを中心に歌モノ・BGMを制作しています。シティポップ系やブレイクビーツなどを好んでます。
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