映画『ファースト・マン』 様々な重力に耐えた男の話。時間と共に映像も変わっていく!
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映画
映画『ファースト・マン』 様々な重力に耐えた男の話
どうも、GANO(@Past_Orange)です。
2019年2月8日に日本でも公開となった『グリンチ』を観てきました!
初めて月面を歩いた宇宙飛行士ニール・アームストロングの体験を映像化した作品となります。
では、まず予告編を観ていきましょう!
『ファースト・マン』本予告映像
まるでドキュメンタリーを観ているようですね。
デイミアン・チャゼル監督の前作『ラ・ラ・ランド』に続いてライアン・ゴズリングが出演しています。
『ファースト・マン』はこんな人にオススメ!
どんな人が『ファースト・マン』を楽しめるか考えてみました。
・ドキュメンタリーが好きな人
・宇宙飛行体験をしてみたい人
・日々何かのストレスに晒されている人
まずドキュメンタリー好きの人。ドキュメンタリーではないのですが、そう思わせるような撮影をしています。圧倒的リアリティ。
そして宇宙飛行体験をしたい人。これは体験型映画と言ってもいいですね。宇宙飛行士になれますので、なりたいな! って人はどうぞ。
逆に閉所恐怖症や乗り物が苦手な人はキツイかも! コクピット内ってやたら狭いんですよ、缶詰状態なので気をつけてください。
最後に、日々ストレスに悩んでいる人。様々な出来事がニールを追い詰めていきます。同じ気持ちで観ると感情移入できると思います。
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『ファースト・マン』は『ラ・ラ・ランド』とは別物
チャゼル監督作品&ライアン・ゴズリング主演ということで前作『ラ・ラ・ランド』が前面に押し出されて宣伝されています。
人を呼び込むためにはそういう宣伝はもちろん必要ですし、間違いじゃないので責めるつもりはないです。
ただ、今回はデイミアン・チャゼル監督は脚本を担当しておりません!
精神攻撃型音楽教師と生徒のバトルを描いた『セッション』
そして夢追い人の成功と痛みを描いた『ラ・ラ・ランド』
は共にチャゼル監督が脚本しています。
なので上記2作のようなテンション上げ下げかつラストに花火ドン! な映画を期待して映画館に向かう人もいるかと思いますが、違いますのでね。
というかラストでドン! は月面着陸ですから。そこは歴史通りですので。観た後に『ラ・ラ・ランド』を期待したのに〜って感想は、期待した人が悪いですよ〜と先にお伝えしておきます。
ではネタバレを含んだ感想を載せていきますね!
『ファースト・マン』 様々な重力から解き放たれたニールの物語
ニール・アームストロングが月に降り立つまでのサクセスストーリーのような印象を勝手に受けてしまいますが、実際はかなり重苦しいお話です。
重い、そう重力ですね。地球上での重力から離れ月へ向かうお話と合わせて、ニールが感じている様々な重力を映す映画となっています。
お話の始まりは娘カレンの死。ニールは努力しましたが救うことができませんでした。娘の死に責任を感じているんですね。
夫であり父親であるため、妻や子供達に優しく接することも求められます。
多額の研究費を費やしている政府もニールに圧力をかけます。失敗すればまたお金がかかってしまう。
さらに国民からのバッシング。月に行くための資金があるなら国民に回せ、税金の無駄遣いだと国民は叫びます。ニールの責任ではないですが、感じてしまいますよね。
そして仲間たちの死。自分も同じ目に合うかもしれないという恐怖、仲間たちの死を無駄にしないために絶対成功させなければいけないという使命。
どんどん重力はニールを苦しめていきます。何も解消できずに映画終盤まで行くんですよ。
地球上の様々な重力から離れ、月のわずかな重力に触れることでやっとニールは解放されます。
そのわずかな重力の中で、娘の死を受け入れるんです。やっと1つ目を解消。
あれもこれも! ってなっていると何も解決しないんですよね。1つずつ、少しずつでいいんです。
『人間にとっては小さな一歩だが人類にとっては偉大な一歩だ』
この名言もかかってきますね。娘の死を受け入れる、その一歩を踏み出せれば次の問題を解決できる。一歩ずつでいいんです。
地球に帰還し、次に解消すべきは妻との関係。父親ではなく、恋人であり夫であるところから修復していきます。
だから僕はね、妻ジャネットとガラス越しに何も言わず対面するラストシーンが一番グッときましたよ!
ニールと様々な重力のお話だったわけですね。
『ファースト・マン』 映像が時間と共に変化する
フィルムでのザラザラした質感が特徴的な本作。開始早々はかなり粗い映像でして、当時の映像機器の質感で通すのかなと思っていました。
ですが途中からちょっと画質が良くなるんですよ。あれこれは、時間と共に映像を変化させていくんじゃないかなと。
どうやら本作、16mmカメラ、35mmカメラ、IMAXの65mmカメラの3週類のカメラを使用して撮ったようです。
ニールの心境の変化に合わせてカメラが変わっていった形ですね。
さらに、ありえない話なんですが、ニールのそばに8年間ずっとカメラマンがついていたらこんな映像になっていたのではないか? というような感覚で撮影されたのではないかと思います。
だから画面は常にブレていて、たまにピントが合わず、時間が経つにつれて画質が良くなっていく。
ドキュメンタリーを見ているような感覚になったかと思います。
最後の月面着陸はかなり鮮明! ニールの肉眼を通してみた月面の映像のようです。
ニールに8年間密着したカメラマン、かつニール自身になったような映画でした。
『ファースト・マン』 没入する感覚はアトラクションのよう
ドキュメンタリーぽく撮影されているから、その場にいる感覚が強いこと強いこと。
ありえないんですけど、宇宙船に自分も乗っているような感覚でしたね。
もう画面ガタガタ揺れるわ音はうるさいわで恐怖! こんな中で宇宙飛行士は判断しているのかと、すごすぎ!
管制センターも音声と手元の紙ッペラで指示するだけなんですから、飛行士の恐怖は計り知れないですよね。
後もう狭すぎ! 狭いコクピットに人が3人押し込められ蓋が閉まっていく感覚は、僕は閉所恐怖症ではないんですけど辛かった。
このフィルムのザラ付いた映像と没入感はクリストファー・ノーラン監督作品『ダンケルク』を思わせますね。
『ダンケルク』×『インターステラー』って感じですね。チャゼル監督、ノーランファンかな?
最後に
『セッション』や『ラ・ラ・ランド』とはかなり違いますが、ズシンと重い作品という意味では共通していますね。そこがチャゼル監督らしさとなるみたい。
いつも辛そうなゴズリング、最高でした。
GANO
ふわふわなグリンチたちを観て癒されましょう
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